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『ウェディング・ハイ』でさらなる躍進を遂げたバカリズム脚本の誠実さ

文=ヒナタカ

『ウェディング・ハイ』でさらなる躍進を遂げたバカリズム脚本の誠実さの画像1
C)2022「ウェディング・ハイ」製作委員会

 現在公開中の『ウェディング・ハイ』が、うるさ型の映画ファンからも好評を博している。超豪華キャストそれぞれの持ち味を生かしたクセの強いキャラクター、ウェディングプランナーの仕事や結婚式の素晴らしさを讃える誠実なアプローチ、そして真っ当な「コメディ」として作られていることなどが、その理由だ。

 大衆向けのコメディ邦画とされる作品では、俳優のおどけた様子や、もしくは短絡的な一発ネタの連発など、コメディではなく「ギャグ」に始終していると思える内容も少なくはない。もちろんそうした作品の需要があることもわかるし、一概に悪いというわけではないが、個人的に2時間弱の時間を使って集中して観る映画では、やはり「前後の展開の繋がり」や「伏線の回収」があってこその、「頭の良い人が作っているコメディ」が観たいと思ってしまう。

 この『ウェディング・ハイ』で脚本を手がけたバカリズムは、お笑い芸人として確固たる地位を築いているのはもちろん、その枠もとっくに超えて、これからのコメディ邦画の重要な担い手、脚本家としてこれからも躍進していくのではないか。過去の映画またはドラマを振り返ると、作品ごとに実力をつけ、完成度も上がっていっていることがはっきりとわかったからだ。『ウェディング・ハイ』以前の3作品を紹介すると共に、作家としての特徴も記していこう。

『架空OL日記』:狂気も少しだけ内在する、ゆるい日常の笑い

 バカリズムは2006年から架空のOLになりきって日常を綴るブログを手がけ、後に書籍化。2017年にドラマ化、2020年に映画版が公開され、現在はどちらもHuluで視聴できる。その内容を端的に言えば、銀行に勤めるOLの日常を「ゆるい」タッチで描き、そこに自嘲気味だったり、冷静なツッコミのモノローグが加わるというものだ。

 その(バカリズムの想像上の産物にも関わらず)「あるある」な共感があってこその笑いは、なかなかクセになる。どこからどう見てもおじさんのバカリズムが主人公のOLに扮しており、当たり前に女子社員の中に溶け込んでいる様は狂気的でもあるが、次第に違和感なく見えてくる(?)独特の雰囲気も味わい深い。

 筆者が観たのは映画版のみだが、聞いたところによると「良い意味でドラマ版と変わらない」内容だそうだ。しかし、「給湯室のスポンジにいつも洗剤の泡を残す犯人がいる」という一見くだらない問題が少しだけゾッとさせる緊張感につながっているし、クライマックスおよびラストにはインパクトのある展開も用意されるなど、映画ならではの醍醐味もしっかり担保されていた。

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