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『インビジブル』の無神経さに視聴者落胆…ドラマにはびこる「痴漢冤罪」展開

文=東海林かな(しょうじ・かな)

『インビジブル』の無神経さに視聴者落胆…ドラマにはびこる「痴漢冤罪」展開の画像
ドラマ公式サイトより

 高橋一生が主演するTBS金曜ドラマ『インビジブル』。5月13日に放送された第5話で物語はターニングポイントを迎えたが、それと同時に明かされた設定が視聴者を落胆させている。

 志村(高橋一生)の元相棒・安野(平埜生成)が殺された3年前の通り魔事件について、別の事件で逮捕されていた元暴力団員・武入(鈴之助)が犯行を自供した。しかし自分はあくまで実行犯であり、“犯罪コーディネーター”の「インビジブル」に依頼されて殺しただけだと証言する。志村はインビジブルを名乗るキリコ(柴咲コウ)を問い詰めるが、何も語らない。さらに武入を乗せた護送車が襲われ、武入が逃亡するのに合わせ、キリコも行方をくらます。志村はハッカーのラビアンローズ(DAIGO)に協力させてキリコの居場所を突き止め、キリコが桐島という人物を追いかけていることを知る。そして、その桐島こそが本物の「インビジブル」であり、キリコの弟・キリヒト(永山絢斗)であることが明らかになるのだった。

 真の「インビジブル」キリヒトの登場により、安野が殉職することになった「通り魔事件」の真相に近づいてきた志村だが、一方、上司である塚地(酒向芳)も別の角度から事件の意外な真相について迫った。

 武入の証言により、実際には“通り魔”事件ではなく、依頼殺人であった可能性が出てきたことで、事件の被害者・一ノ瀬利奈(江村あかり)の遺族に改めて話を聞きに行くと、被害者が生前、痴漢冤罪のトラブルを抱えていたことが浮き上がる。痴漢冤罪で犯人と疑われた男性は自殺しており、その妻・高梨順子(伊勢佳世)に任意同行をかけたところ、彼女は、夫が自殺した翌日に見ず知らずの人物から電話がかかってきて「代わりに恨みを晴らしてあげる」と誘われたと明かし、一ノ瀬利奈の殺害を依頼したと告白。「まさか本当に殺すなんて思ってませんでした」と言いながらも、「でも……後悔はしていません」「自分ではできないことをその人は代わりにやってくれたんです」と訴えるのだった。

 殺人事件が起こった要因が「痴漢冤罪」にあったという設定に対して、SNS上では落胆の声が多数上がった。「日本のドラマは本っっっ当に痴漢冤罪が好きだな」「痴漢冤罪である必要性が全然なかったので、ドン引きした」「男性の妻が殺害依頼して痴漢被害を訴えた女性を殺すという“女の敵は女”要素も加わってミソジニーのハッピーセット状態」「痴漢冤罪の報復に殺されるなんてシナリオ出されたら余計に痴漢被害は言いづらいと感じてしまう人は多いのでは」「軽くネタとして扱う前に、もっとよく考えてほしいよ」などなど。SNSで上がる非難は、どれも現実を加味した上で、ドラマの影響をもう少し考えて欲しいというものだ。

 「CHIKAN(痴漢)」は、「KAROSHI(過労死)」と並んで世界共通語となった不名誉な日本語だ。性暴力やセクハラ被害者の支援を行なう「#WeToo Japan」が2018年に行った調査(関東圏で暮らす15~49歳の男女約1万2千人が対象)によると、女性の70%、男性の32.2%が電車やバス、道路など公共の場で体を触られるなどの被害を経験しているという。また、痴漢被害に遭った人の約半数が「我慢した」という実態も明らかになっている。

 そのような現実があるにもかかわらず、痴漢冤罪を扱ったドラマや映画は多い。 1エピソードとして痴漢冤罪が登場したドラマはここ5年ほどにおいても、『PTAグランパ!』(NHK)『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)『デジタル・タトゥー』(NHK総合)『特捜9 Season3』(テレビ朝日系)『監察医 朝顔』(フジテレビ系)『イチケイのカラス』(同)『演じ屋』(WOWOW)などある。

 無論、冤罪があってはならないのは大前提だが、痴漢は多くの被害者が存在する現在進行形の社会問題であり、痴漢冤罪が起こるのは、痴漢そのものが多発しているからだ。フィクションとはいえ、痴漢冤罪を扱うのならば相当な熟慮が求められるべきだろう。

 しかし、『インビジブル』のこの先のストーリーで「痴漢冤罪」というポイントが重要になってくるとはあまり思えない。すなわち、物語のカギとなるだろう殺人事件の背景として痴漢冤罪を出す必要性はなかったということだ。ストーリーの粗は許せても、こういった“無神経さ”は許せないという視聴者がいることを製作陣は肝に銘じるべきではないだろうか。

■番組情報
金曜ドラマ『インビジブル』
TBS系毎週金曜22時~
出演:高橋一生、柴咲コウ、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、堀田茜、谷恭介、大野いと、平埜生成、板垣李光人、西村元貴、結城モエ、田中真琴、村井良大、酒向芳、原田泰造、桐谷健太
脚本:いずみ吉紘、槌谷健、香坂隆史
主題歌:「Tiny World」Dragon Ash(Victor/MOB SQUAD)
音楽:得田真裕
プロデューサー:佐藤敦司、浅野敦也
編成:東仲恵吾、佐藤美紀
演出:竹村謙太郎、棚澤孝義、泉正英
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:tbs.co.jp/invisible_tbs

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東海林かな(しょうじ・かな)

東海林かな(しょうじ・かな)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

最終更新:2022/05/20 20:00

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