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劇場版『ラジハ』まったく話題にならず…『バスカヴィル家の犬』『ナンバMG5』に高まる不安

劇場版『ラジハ』まったく話題にならず…『バスカヴィル家の犬』『ナンバMG5』に高まる不安の画像
『劇場版ラジエーションハウス』公式サイトより

 誰もが予想していた事態だったと思うが……。

 昨年末から今年頭にかけて公開されて大ヒットしたTVドラマの劇場版がこの5月~6月にかけて相次いでソフト化されている。長澤まさみ主演の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)はこれまで3作公開された劇場版がいずれも大ヒットしており、今年1月に公開された最新作『コンフィデンスマンJP 英雄編』も興収28億円超えを記録。初の映画化となった『あなたの番です 劇場版』(ドラマは日本テレビ系)や『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』(ドラマはTBS系)も、それぞれ興収19億円、29億円を超えるヒットとなった。

 こうした状況もあってか、連続ドラマの映画化は相次いでいる。ここ数年だけでも『シグナル 長期未解決事件捜査班』『ルパンの娘』(フジテレビ系)、『今日から俺は!!』『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)、『おっさんずラブ』『科捜研の女』『相棒』(テレビ朝日系)、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』『深夜食堂』(TBS系)、『きのう何食べた?』『バイプレイヤーズ』『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)など枚挙に暇がない。

 中でも目立つのがフジテレビだが、4月29日に公開された『劇場版ラジエーションハウス』は「失敗」に終わったともっぱらだ。

「元は2019年と2021年に放送された月9ドラマで、世帯平均視聴率の全話平均は第1シリーズは12.1%、第2シリーズは10.7%と支持を得ただけにフジの鼻息は荒かった。窪田正孝主演で、広瀬アリス、本田翼ら売れっ子も揃えており、番宣にも余念がなかったが、上映館数300館近い規模での公開にもかかわらず、4月30日・5月1日の全国映画動員ランキングで初登場4位。翌週に6位、翌々週に8位と落ち、その次の週には圏外となった。公開1カ月で累計興行収入は8.7億円と見られ、この公開規模でのヒットの目安である10億円には届かないまま終わる可能性が高い」(テレビ誌ライター)

 公開前には、2018年の劇場版が興行収入93億円という日本映画史に名を刻む大ヒットとなった月9ドラマ『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』の再来として期待する声もあったというが、なぜこんな結果となったのだろうか。

「救急医療を題材とした『コードブルー』と違い、『ラジハ』は診療放射線技師と放射線科医にスポットを当てた作品で、医療ドラマの新たな切り口として新鮮だったものの、基本的には直接治療にあたるわけではないため、どうしても地味。連続ドラマならそれでもよかったが、劇場版となると話は別。しかも、『ラジハ』は人気同名マンガの実写化だが、劇場版は完全オリジナルで、離島で広がる未知の感染症に専門医などを差し置いて主人公たちが立ち向かうという設定は、映画の盛り上がりを作るためだろうが、さすがに無茶苦茶すぎる。そもそもドラマ自体、2021年放送の第2シリーズは全話ドラマオリジナルで、『最初のシリーズのが面白かった』『ラジハ2はなんか微妙だった』と評判を落とし、盛り下がっていた。チームで活躍するという点はドラマ版を踏襲し、安定した仕上がりではあったが、わざわざ観に行こうという熱心なファンは少ない作品だったのが低迷の理由だろう」(同上)

 『劇場版ラジエーションハウス』が期待外れに終わったことで、ますます不安が高まっているのが、2019年の月9ドラマ『シャーロック』、そして現在放送中の水曜ドラマ『ナンバMG5』の劇場版だ。

 あの探偵小説の金字塔『シャーロック・ホームズ』シリーズを原案とし、舞台を現代の東京に置き換えた『シャーロック』は、初回の世帯平均視聴率こそ12.8%を記録したが、以降は伸び悩み、最終回も9.8%とひとケタで終わった。主演のディーン・フジオカ、バディ役を務める岩田剛典(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS)は人気であり、原作などへのオマージュもさまざまな形で取り入れられていたことも評価されていた印象だったが……。

「やはり終わり方に問題があった。ホームズの宿敵“モリアーティ”にあたる守谷とは誰なのか、その正体に注目が集まったが、最終回に登場したのはニセ者。それはまだいいとして、知名度の低い舞台俳優が突然登場して謎に『守谷です』と連呼したので、シリアスな場面のはずなのに視聴者は爆笑の渦に。Twitterでは『守谷 誰』が連呼された。結局さまざまな謎を残したまま終わってしまい、多くの視聴者に不満を残す形となった」(同上)

 同ドラマの劇場版となる『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』は6月17日に公開を控えているが、さらなる不安要素もあるという。

「ドラマ版は『語られざる事件』と呼ばれる、原作で言及はあるものの具体的な詳細は描かれていないエピソードを元にしていたため、自由が利いたし、他の映像作品と比較されづらかった。しかし劇場版は『ホームズ』シリーズの一作『バスカヴィル家の犬』が原作。人気の高い作品の映像化を選択したのは、映画で外したくなかったからだろうが、原作に縛られればオリジナリティが薄れ、逆にオリジナル色を出すことを意識しすぎると、話が破綻してしまう可能性もある。そもそも『バスカヴィル家の犬』は名作の誉れ高く、これまで何度も映像化されているだけにハードルは上がる一方だろう。ドラマ版で残された謎の解決まではとても望めそうにない」(同上)

 一方、『ナンバMG5』の映画化の話は正式に発表されていないが、すでに不穏な動きを見せている。

「一部報道では、映画化前提でドラマがスタートしたとされています。『踊る大捜査線』シリーズで知られる本広克行監督が初回の演出をしていたのもそのためでしょうか。ドラマ自体は『笑って泣ける』『ほっこりする』と好評で、オリコンの満足度ランキングでは1位にもなっていますが、裏番組の強い水曜22時ということもあり、視聴率上は大苦戦。配信はまだ好調ですが、それでも大人気というほどでもない。そのため映画化の話が消えたとも報じられていますね」(芸能記者)

 『踊る大捜査線』『ガリレオ』『コードブルー』『コンフィデンスマンJP』に続く「TVドラマ発の映画化」大成功の新たな例をフジテレビは生み出せるだろうか。

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宇原翼(ライター)

雑誌、ウェブメディアの編集を経て、現在はエンタメ系ライター。

うはらつばさ

最終更新:2022/06/01 12:00
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