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芸風? 拡大解釈? 『チコちゃん』だけじゃない「マナー講師」の“炎上”ヒストリー

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『チコちゃんに叱られる!』(NHK)

 NHKの人気バラエティ番組『チコちゃんに叱られる!』に批判の声が上がっている。

 問題は5月20日の放送内容だ。「フォークの歯が4本のものが多いのはなぜ?」という疑問に対し、「スパゲティを上手に食べるため」という説を立証するため、歯の本数がさまざまなフォークで実際に食べてみるという展開となったが、ここに「鬼のマナー講師」の異名を持つ平林都(みやこ)氏が招かれた。

「18世紀のイタリアの宮廷で上品にスパゲティを食べるためにフォークの使用が求められるようになり、4本歯のフォークのほうが上品に食べられた……という逸話から、女性スタッフが実際に検証してみるという流れ。しかし、平林氏のあまりに厳しい態度に泣き出す事態に。まず、対面するなりいきなり『すごい仏頂面』『コミュニケーションの第一歩は相手を見ること』と指摘し、女性が頭を下げると『下を向くな!』と一喝。この厳しい態度に、女性スタッフは思わず涙をこぼしてしまいますが、さらに『泣くな! ええ年して』と追い打ちをかけていました。ようやく食べるとなっても、女性スタッフが『いただきます』と言えば、『人といる時は「頂戴いたします」やろ!』と怒鳴りつけるありさまで、これに視聴者からは『ただのパワハラ』『不快。このマナー講師が上品じゃない』『これを“笑い”と捉えるのはどうなの?』と批判が殺到しました」(テレビ誌ライター)

 もはや「フォークの歯」とは関係のない展開だが、“既定路線”だったとテレビ関係者は話す。

「平林氏は10年以上前から民放テレビのバラエティ番組に出演しており、最近ではYouTubeでそのキャラクターが受け、ヒカルやエミリンといった人気YouTuberや、元NEWSの手越祐也らともコラボ。『鬼のマナー講師』という芸風で、彼らを理不尽に怒鳴りつけるシーンは好評でした。そもそも『チコちゃん』は5歳の女の子という設定のチコちゃんが『ボーっと生きてんじゃねぇよ!』と毒づくのが話題になったこともあり、番組側は平林氏の芸風もハマると考えたのでは。しかし、相手がMCのナインティナイン・岡村隆史など芸人やタレントであればまだよかったでしょうが、令和の時代に素人のただのスタッフを怒鳴りつける構図が“ウケる”と考えたこと自体に時代錯誤感がある。NHKで全国に流すという部分も、視聴者からすれば“ふさわしくない”と捉えられて当然。制作側の悪ノリが過ぎた形でしょう」

 もっとも、「マナー講師」はこれまでもたびたび議論を呼び、炎上騒動に発展してきた。

「昨年3月まで放送されたTBSのバラエティ番組『この差って何ですか? 』では、マナー講師・井垣利英(としえ)氏がたびたび登場していましたが、2018年1月の放送で、『緑茶はお祝いのお返しに贈ってはいけない』とし、その理由を『お葬式の時に手土産として使われることが多い。そのため、お葬式を連想し、縁起が悪い』と説明した。しかしこれに老舗茶屋が反論する事態に発展。地域によっては葬式に緑茶を持ち帰る風習があるが、結納の品として贈る地域もあり、一般的なマナーかのようにテレビで流すのはおかしいとの指摘で、番組内容に違和感を覚えていた人たちから、マナー講師への批判と共に、お茶屋さんの肩を持つコメントが殺到しました」(芸能ライター)

 昨年2月には『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)の内容も議論を呼んだ。

「マナー講師の鈴木真理子氏が“マスク着用マナー”なるものを提唱。色や柄で仕事上OKなもの、NGなものがあるという話で、派手なものが疎まれるのはまだわかりますが、『イラストや柄は“相手に気を遣わせるから”NG』『黒、紺、グレーの色はスーツやシャツの色と合っていなければNG』とずいぶん細かい。これにはコメンテーターの玉川徹氏もさすがに不可解そうな顔を見せ、他の出演者からも『面倒くさい』という声が上がったため、視聴者も同調していましたね」(同上)

 近年は「マナー講師」そのものへの反発の声も大きく、ネット上では「失礼クリエイター」なる不名誉な称号も生まれているが、そのためか、思わぬ騒動も生まれている。

「マナーコンサルトの西出ひろ子氏が『超基本 テレワークマナーの教科書』(あさ出版)を2020年に出版。しかし、発売前になぜか『ZOOM会議を終えるときは深々と頭を下げながら会議終了ボタンを押す』という“謎マナー”が載っているとのツイートが広まり、批判の的に。すると、実際にそんな内容は掲載されていないと出版社側が声を上げました。どうやら元のツイートは“ネタ”として書かれたものが、事実かのように広まったようで、西出氏もこの状況に戸惑ったようです」(同上)

 「マナー講師」という職業はこれからも続いていくのだろうか。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2022/06/02 13:11
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