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『ベイビー・ブローカー』是枝監督が正真正銘の“韓国映画”を撮った、でも逆境ばかりじゃない

『ベイビー・ブローカー』是枝監督が正真正銘の韓国映画を撮った、でも逆境ばかりじゃないの画像1
ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

『そして父になる』(2013)や『万引き家族』(2018)など、法律制度や貧困問題などによって生じた状況下で生きる人々を描き、倫理観が迷子になりながらも“何が正しいのか”を見つめ直す機会を与えてくれる作品を多く手掛けてきた、是枝裕和監督。

 そんな是枝監督が、仏映画『真実』(19)に続いて、今度は韓国映画を撮ってしまった。それが、6月24日から日本でも公開されている『ベイビー・ブローカー』だ。

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 日本でも度々話題になる「赤ちゃんポスト(ベイビー・ボックス)」は、世界中で議論されている。子どもを“捨てる”ことへのハードルが低くなるとの批判もあるだろうが、さまざまな事情を抱えて子どもを預けざるを得ない親の救済措置は必要だし、そのおかげで命を落とさずに済む子どもがいるのも事実だ。

 本作で描かれるのは、“ベイビー・ブローカー”、つまり赤ちゃんの売買を斡旋する者たちの物語。だが、ソン・ガンホ演じる主人公のサンヒョンは、育てられない環境の者や、さらに転売しようとする者に対しては、赤ちゃんを売らないというポリシーを持っている。それは赤ちゃんの将来を想い、純粋に助けたいという願いからだろう。ただ、そもそもブローカーとは、赤ちゃんを盗んで売りつける立場だ。

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 子を捨てたことを後悔しながらも、現実的に考えれば考えるほど育てることができない事情を抱えて、せめて自分の子どもの行く末を見守りたい。そんな女性・ソヨン(イ・ジウン)が一行に加わることで、その奇妙な関係性がいつしか疑似家族のように変化していくロードムービーだ。

 複雑なテーマを扱っていながらも、ほのぼのとして笑えるシーンもあり、ハートフルなコメディとしての側面も持ち合わせている。だからこそ、本作を観ていると、テーマと画のギャップによって心が揺さぶられるようであり、人間の倫理観というのが、いかにあやふやで脆いものなのかを痛感するのだ。

【ストーリー】
古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、<赤ちゃんポスト>がある施設で働く児童養護施設出身のドンス。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨンが<赤ちゃんポスト>に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジンと後輩のイ刑事は、決定的な証拠をつかもうと、静かに後を追っていくが……。こうして、<赤ちゃんポスト>で出会った彼らの、予期せぬ特別な旅が始まる……。

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