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『石子と羽男』RADWIMPSの主題歌が涙を誘う…歌詞とリンクする「お見事」演出

文=東海林かな(しょうじ・かな)

『石子と羽男』RADWIMPSの主題歌が涙を誘う…歌詞とリンクする「お見事」演出の画像
Paravi配信ページより

 中村倫也と有村架純のW主演で話題のTBS系金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』が、今夜22時に第3話の放送を迎える。第1話・第2話ともに見逃し配信サービスの「TVer」では総合ランキング首位を2日にわたってキープ。また「Paravi」の週間ランキングでは総合で2位、ドラマだけでは1位となるなど、『石子と羽男』は配信でかなり好調の様子だ。

 『石子と羽男』は“天才”に憧れるワケあり高卒弁護士「羽男」こと羽根岡佳男(中村倫也)と、5回までしか受験できない司法試験に4回落ちてあとがない東大卒パラリーガルの「石子」こと石田硝子(有村架純)が、町の弁護士事務所に舞い込む小さなトラブルと向き合っていくリーガルドラマだ。

 キャストは言わずもがな豪華であるが、製作スタッフもドラマファンとしては注目の布陣。脚本は2016年のNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』などを手がけた西田征史。プロデューサーと演出は、『最愛』『アンナチュラル』(いずれもTBS系)など数々のヒットドラマを打ち出している新井順子×塚原あゆ子の強力タッグである。『石子と羽男』が早々に視聴者の心を掴んでいるのも、実力に裏打ちされた結果といえそうだ。

最高の主題歌が最高のタイミングで流れる

 この『石子と羽男』をさらに盛り上げているのが、RADWIMPSがこのドラマのために書き下ろした主題歌「人間ごっこ」である。RADWIMPSといえば、2016年の映画『君の名は。』で主題歌となった「前前前世」が一世を風靡した。2017年の綾野剛主演『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)でドラマ主題歌を初めて担当しているが、これは前年にリリースされていたアルバム『人間開花』収録曲からの起用であり、連続ドラマへの書き下ろしは『石子と羽男』が初となる。

 RADWIMPSの野田洋次郎が台本を熟読して練り上げたという「人間ごっこ」は、まさにこのドラマのための一曲だ。主題歌が流れるラストシーンは「RADの主題歌が涙を誘う」「主題歌が入るタイミングが本当にいい」とSNSでも評判が高い。

 22日に放送された第2話では、子どもがゲームに高額課金してしまったシングルマザーの相田瑛子(木村佳乃)からの相談をきっかけにストーリーが展開。当初は「中学受験のストレスでわざと課金し、塾をやめたかった」と証言した息子の孝多(小林優仁)だが、ラストではその思いの真相が明らかになる。羽男が「ひとつ質問してもいいかな」と、孝多が母親に内緒で法律事務所の無料相談に電話していたことを確認すると、すべては自分を塾に通わせるためにダブルワークで働き続け、日々疲労困憊となっている母を思っての「作戦」だったことを語り出す。未成年の課金は基本的に返金されるということを知った上で、受験ノイローゼで課金したという設定にし、母親になるべく迷惑をかけない形で塾を辞めたかったのだ。そして羽男の「でもホントは君、受験やめたくないんじゃない?」という優しい語りかけが孝多の本音を引き出し、母子の心は通じ合うのだった。

 演出を担当する塚原は主題歌の“使い方”に定評のある人物であり、今回もその手腕は見事に発揮されている。孝多が母親への思いを告白する最中、「この手すり抜ける 数えきれない 未来を 眺め続けることを『生きる』と呼ぶの?」という歌のフレーズに差し掛かると同時に、ふと石子が見上げる。その目線の先にある、壁いっぱいに飾られた、生まれてから今までの母子の写真。「人間ごっこ」は、第2話を代表する非常に印象的なシーンを美しく彩っていた。経済的に苦しくても子どもが望む未来をサポートしようともがく母親の心中が、歌詞とリンクするさまは「お見事」の一言。RADWIMPSが作り上げた主題歌を最大限に生かしたことで、名シーンとなったと言えるだろう。

 「人間ごっこ」は、第2話では子どもを思う母親の歌であったが、羽男の歌でもあるという見方もできる。「この手すり抜ける 数えきれない 期待を 眺め続けることを『生きる』と呼ぶの?」というフレーズは、依頼人を前にしてなお「役に立ちたい」と「自分にはできない」の間を行き来する羽男の葛藤そのもののようだ。また、続く「届かぬ声をいくつおし殺せば 僕の 身体突き破り 全世界中にはじけ飛ぶのだろう」という歌詞は、羽男が抱えている“何か”を想起させる。叱責を受けると震えて固まってしまい、何か言おうとしながら躊躇して口をつぐむ羽男の内なる声を代弁しているかのようだ。

 作中で石子は、トラブルを抱える人たちに向かってことあるごとに「声を上げていただきたい」と訴える。それが、時間をかけて“声を上げられない”羽男にも届く日がくるのだろうか。今夜放送の第3話には羽男の父・泰助(イッセー尾形)と姉の優乃(MEGUMI)が登場予定だ。第2話では優乃からの着信に怯えた様子を見せていた羽男。第3話ではこの謎が明かされるのだろうか。視聴者がまだ知らない、羽男の新たな一面が見られることも期待したい。

■番組情報
金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー
TBS系毎週金曜22時~
出演:有村架純、中村倫也、赤楚衛二、おいでやす小田、さだまさし ほか
脚本:西田征史
音楽:得田真裕
主題歌:RADWIMPS「人間ごっこ」(Muzinto Records / EMI)
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山本剛義
編成:中西真央、松岡洋太
製作著作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ishikotohaneo_tbs/

東海林かな(しょうじ・かな)

東海林かな(しょうじ・かな)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

最終更新:2022/07/29 12:00

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