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藤波辰爾が37年ぶりに迷曲「マッチョ・ドラゴン」熱唱、笑いながら感動させられた“受けの美学”

文=寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

藤波辰爾が37年ぶりに迷曲「マッチョ・ドラゴン」熱唱、笑いながら感動させられた受けの美学の画像1
藤波辰爾Twitter(@dragondradition)より

 9月3日と10日の2週にまたがって放送された、『1オクターブ上の音楽会』(NHK)が抜群だった。

 新たな企画案のパイロット版を制作する、『レギュラー番組への道』なる枠で放送されたプログラムである。是非とも、レギュラー番組になってもらいたい。

コサキンが「マイクを持つと小学生」と藤波をネタに

 謎の洋館に住む名盤コレクター(竹中直人)が主宰する奇妙な音楽会を舞台にした、この番組。「1オクターブ上」とは、歌謡曲全盛の時代に常識を突き抜け、異色の輝きを放った名曲を指すのだそう。

 第1回(3日放送)で紹介されたのは、演歌の巨匠・船村徹が手掛けた「スナッキーで踊ろう」(海道はじめ)と、大瀧詠一が手掛けた「イエロー・サブマリン音頭」(金沢明子)。第2回(10日放送)で紹介されたのは、プロレスラー・藤波辰巳(現・辰爾)の「マッチョ・ドラゴン」と、麻里圭子の「かえせ!太陽を」である。

 なに、この選曲は? TBSラジオで放送されていた、小堺一機と関根勤による「コサキン」リスナーがまさしく歓喜するセットリストだ。今回、取り上げられたのはコサキンソング(番組内で話題になった曲)ばかりなのだ。企画したスタッフは絶対にリスナーだと思う。

 本稿で取り上げたいのは、第2回に紹介された藤波の「マッチョ・ドラゴン」だ。

 同曲がリリースされたのは、1985年。そして翌86年、「マッチョ・ドラゴン」はコサキンリスナーに見つかってしまった。この曲の何が注目を集めたかというと、藤波の歌唱力だ。書籍『コサキンのひとみと悦子』(シンコー・ミュージック)には、以下のように記されてある。

「そのあまりの歌のヘタさに“マイクを持つと小学生”と番組で度々ネタされていた」

 藤波の歌唱力は、いろいろな意味で定評がある。愛妻・伽織夫人と『オールスター家族対抗歌合戦』(フジテレビ系)に出演した際は、審査員の近江俊郎から「誰か1人、音を外した人がいる。それを研究中です」と、ジェームス三木からは「このチームは上手い人がいないんですね」と酷評される始末だった。藤波の「マッチョ・ドラゴン」は、下手するとライバルの長州力に「これ聴いたら飛ぶぞ」と言われかねない迷曲なのだ。

蝶野正洋「藤波の歌手デビューは誇りだった……聴くまでは」

 番組は藤波の半生をおさらいしながら、「マッチョ・ドラゴン」の誕生秘話を掘り下げた。

 1953年に大分県に生まれ、16歳の頃にアントニオ猪木に憧れて「日本プロレス」に入団した藤波。その後、師匠・猪木が立ち上げた「新日本プロレス」に旗揚げから参加。ジュニア・ヘビー級を確立した立役者となり、“ドラゴンブーム”を巻き起こすまでに成長している。元祖・イケメンレスラーの藤波は、新日を代表するスター選手に躍り出たのだ。

 しかし1984年、新日は長州をはじめとする選手の大量離脱に見舞われて大ピンチに陥った。団体を揺るがす未曾有の危機を救うべく持ち上がったのは、看板選手・藤波の新たな入場曲を作るビッグプロジェクトである。しかも、歌うのは藤波本人だ。

 なんで、こうなるのだろう……? 社運を賭けるプランが、よりによって藤波の歌だなんて。人間、ピンチに陥るとまともな判断ができなくなるものだが、だとしても謎の思考だ。

 確かに、当時は「全日本女子プロレス」でクラッシュギャルズが音楽活動を行っていたし、プロ野球選手も頻繁にレコードをリリースしていた。なにより、男子プロレスラーのレコードデビューも少なくなかった。80年には阿修羅原の「想い出さすぜ」が、81年にはジャンボ鶴田の「ローリング・ドリーマー」と木村健吾(現・健悟)の「らしくもないぜ」が、84年にはマイティ井上の「エマの面影」が、そして86年には長州の「明日の誓い」が、それぞれ世に出ている。この流れに藤波も乗っかったのだ。

 当時の状況を藤波本人と、藤波の後輩でこの頃はまだ若手選手だった蝶野正洋が振り返っている。

「自分がレコードを出すという話が来て、メラメラとするものがありましたね」(藤波)

「藤波さんはプロレス界の顔ですし、新日本プロレスの顔です。スーパースターの藤波さんが歌を出すっていうのは、やっぱり我々にとっては誇りですよね。……聴くまでは」(蝶野)

 蝶野のコメントが相変わらず秀逸だ。素晴らしすぎる倒置法だと思う。窮地を救わんとメラメラ燃える“スーパースター”藤波は、若手勢からしたら誇らしく見えたのだろう。聴くまでは。

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