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格闘技イベントRIZINが宿す『誇り』の正体【特別無料公開】

鳴神どもの矜恃──格闘技イベントRIZINが宿す「誇り」の正体 ③

3.榊原信行代表への質問状

〈(前略)
冠省 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。フリーライターの片田直久です。

 6月19日に東京ドームで行われた「THE MATCH 2022」について記事を執筆するに当たり、実行委員各氏による大会総括は必須と考えます。プレスリリースに明記され、大会当日に○○××(筆者註・広報担当者の氏名)様が「行う」と明言されていたにも関わらず、一夜明け記者会見ではその機会が予告なく奪われました。私が質すまで何ら説明もありませんでした。とすれば、実行委員を務められた貴社の榊原信行代表への単独取材は必須と考え、何度かメールでお願いしてまいりましたが、笹原圭一様、○○様(同前)から拒否のご回答をいただきました。

 やむを得ず、下記の通り質問をお送りいたします。笹原様からは貴社にメリットのない取材は受けない旨の理念をうかがっております。しかし、内容をご覧いただければおわかりの通り、企業の社会的責任や法令遵守の精神、ファンやスポンサー、出場選手への説明責任、リングに夢を託してきた子供たちや格闘技界の未来への影響といった観点から公益性の高い問題であると考えます。あらためまして榊原代表に対面でお話をうかがう機会をいただくことは難しいでしょうか。

 不本意ながら、同様の質問状をK-1やRISE、大会スポンサー企業や関係省庁、貴社主催大会の各会場、配信プラットフォーム各社などにもお送りし、ご回答をお願いする所存です。今度こそ誠意あるご回答を賜れるよう願っております。 不一

  記

1 週刊ポストが「Y氏」と報じてきた人物はA 氏【編註:noteで公開されている原文では実名】であると複数のニュースソースが断定しております。間違いないでしょうか。

2 A 氏は貴社の「顧問」的なお立場で「トラブルシューティング」を担当されています。具体的な業務の中身を教えていただけますでしょうか。

3 A 氏の人物、来歴、榊原信行代表との交際についてご説明ください。

4 週刊ポストが二度にわたって記事を出した後もA 氏は「THE MATCH 2022」に関するスポンサー筋への釈明や後述する折衝の業務に当たっています。その理由は何でしょうか。A 氏には余人を持って代え難い格別の資質や能力、人格、経験が備わっているのでしょうか。

5 榊原代表は記者会見などの場で再三にわたって地上波放送の放映権料の低さや地位の低下に言及されてきました。しかし、フジテレビの放映中止決定後、貴社は在京キー局に放送を申し入れ、断られています。ファンへの説明と矛盾しないのでしょうか。会見で嘘をついてまで地上波に固執する理由は何ですか。

6 PRIDEのオーナーが石坂徳州(金徳州)氏であったことは格闘技関係者、旧ドリームステージエンターテインメントの取引先の間では周知の事実です。石坂氏は山口組系太田興業とは昵懇の間柄でした。A 氏と貴社の関係も同じ構図が繰り返されているだけではないのでしょうか。榊原代表が「THE MATCH 2022」の一夜明け会見で示唆した格闘技の新しいビジネススキームには石坂氏やA 氏のような方々の存在も含まれるのでしょうか。

7 2006年3月に週刊現代が掲載を開始した追及記事「格闘技とテレビ局と暴力団」に対し、榊原代表は当時の記者会見で刑事告訴し、民事でも訴訟を起こすと明言されました。しかし、版元の講談社や告発者の川又誠矢氏には訴状すら届いておらず、司直の取り調べも今日に至るまで一切なされておりません。週刊ポストに対しても「法的アクションを取る」と同じく明言されましたが、同様の沙汰です。なぜ、公の場で嘘をつき、実際に法的な対処をなされないのでしょうか。一点の曇りもなく、事実無根の記事を二度にわたって書かれた企業経営者として潔白を証明することの意義をどうお考えですか。

8 「THE MATCH 2022」当日、会場である東京ドームのスイートルームにA 氏がいたことを複数の関係者が目撃しております。A 氏の来場を許可した理由は何でしょうか。

9 榊原代表は週刊ポストの取材に応じ、同誌が入手した音声データがご自身のものだと認めておられます。同データの中には次のようなやりとりが含まれます。
〈「Y自身が例えばですよ、稲川会の○○(音声では実名)との付き合いがあるということも、榊原さん、ご存じなんでしょう?」
「そうです、知ってます」〉
 これでは代表が「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」や「暴力団排除条例」が定める「密接交際者」であると自ら認めていることにはなりませんか。フジテレビ側はこの記事を見て放送中止を決定したと指摘する関係者がいます。その判断をどうお考えでしょうか。

10 榊原代表が記者会見で言及された「反社チェック」の具体的な内容はどのようなものなのでしょうか。結果についても全てオープンにされるのが自身の嫌疑を払拭する最良の道と考えますが、いかがでしょうか。

11 A 氏が貴社の業務でたびたび関係性を強調してきた「山口組弘道会傘下の小松組幹部」「稲川会幹部」とは誰なのでしょうか。榊原代表とのお付き合いについても教えていただけますか。

12 今日に至るまでA 氏を公の場でも「Y氏」と呼び、実名公表を避けてきた理由をお教えください。A 氏ご自身にも取材をお願いしたいと考えます。取り次いでいただくことは可能ですか。今後、記者会見の場でA 氏が報道陣の質問に答える機会を設ける考えはおありですか。

13 朝倉未来と9月に対戦することが発表されたフロイド・メイウェザーはブッキングに暴力団が関与していると複数の関係者が証言しています。記者会見やルールミーティングへの出席にまでギャランティーを要求するほど足元を見てくる選手を招請しなければならないのはなぜでしょうか。

14 「THE MATCH 2022」のメインイベントで死力を尽くして闘った那須川天心、武尊の両選手をはじめ出場各選手、これまでRIZINに関わった選手たちは上記のような貴社の状況をご存じなのでしょうか。ご存じないとすれば、あらためてどのような説明が可能でしょうか。榊原代表がたびたびおっしゃる「子供たち」「ファン」にはどう申し開きをされるおつもりでしょうか。
(後略)〉

 榊原信行宛の質問状は6月28日に送付。7月1日17時を回答の期限とした。

(敬称略、つづく)

※  ※  ※
この続きである「鳴神どもの矜恃──格闘技イベントRIZINが宿す「誇り」の正体④ 暴力団との関係を盾に金主へ『対応』」からは、以下のリンクで読むことが可能です(有料)。

片田直久『鳴神どもの矜恃──格闘技イベントRIZINが宿す「誇り」の正体』
第4話 
https://note.com/ohdohmono/n/n6f3249241eeb
全話 https://note.com/ohdohmono/m/md2b79e4fc7fa

 

片田直久(ジャーナリスト)

1968年宮崎県日向市生まれ。出版社、編集プロダクション勤務を経て、現在はインディペンデントとして政治や医療、経済、抵抗文化などの分野で企画・取材・執筆・編集に携わる。渡世上の師は作家・大下英治。2020年よりYouTube「前田日明チャンネル」で合いの手を担当。現在、「リングス」について鋭意取材敢行中。日本ジャーナリスト協会運営委員。著書に『タモリ伝』(コア新書)。

かただなおひさ

最終更新:2022/11/08 17:00
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