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ジャニーズ事務所の奇妙な「文春キンプリ告訴」とかつてない動揺

文春を告訴、ジャニーズ帝国のこれまでにない動揺ぶり

 今週の第1位は、文春のジャニーズ事務所の大騒動を報じた特集に捧げたい。

 ジャニー喜多川の後継者だといわれ、本人もそれを意識して、裏方に徹してきた滝沢秀明(40)が突然、退社した。

 さらに、SMAPや嵐のなき後、事務所をけん引してきた『King & Prince』(以下、キンプリ)から平野紫耀(25)、岸優太(27)、神宮司勇太(25)が来年5月で脱退して、事務所から退所することが発表されたのだ。

 いったい何があったのか?

 その火種は、2019年7月9日にジャニー喜多川が87歳で亡くなったあたりから始まったと見る向きがい多いようだ。

 その後、2021年8月に姉のメリー喜多川も亡くなった。ジャニーの後継として社長についたのがメリーの娘・藤島ジュリー景子(56)であった。

 将来性のある才能を見出す『異能』に恵まれていたジャニー。経営やテレビ局への売り込みの才に恵まれていたメリー。

 類まれな2人によって、日本で初めての男の子たちだけのアイドルグループ事務所は、帝国と呼ばれるようにまで大きく膨れ上がってきた。

 その2人がいなくなれば、誰が考えても、帝国崩壊は必然だというに違いない。

 滝沢は、ジャニーから後継を託されたが、ジャニーのように、金の卵を見つけ出す“不思議”な能力を持っているわけではない。

 キンプリはジャニー喜多川の最後の傑作だといわれてきたそうだが、その寿命もそう長く続くものではないだろう。

 その上、文春によると、

「ジャニーさんや滝沢は舞台やショーが中心で、メリーさんとジュリーさんはテレビと映画が中心。それゆえ経営に対する考え方が違う。ジュリーさんは叔父を『天才プロデューサー』と認めつつも、一定の距離を置いていました」(ジャニー氏の知人)

 滝沢は、ジャニーでも売れないよといっていた『Snow Man』や『SixTONES』を売るために積極的に動いたという。

 スイスの有名寄宿学校を出て、上智大学を卒業、卒業後はフジテレビに就職したジュリー社長とは、タレントのデビューまでは滝沢、デビュー後はジュリーと住み分けしていたそうだ。

 だが、『Snow Man』の成功でそれが一変したという。

「彼女の中で焦りもあったのでしょう。関西ジャニーズJr.の売り出しに注力し出した。(中略)そして大阪支社に子飼いの女性スタッフを派遣するなど関西ジャニーズJr.への影響力を強め、二一年十一月には『なにわ男子』をCDデビューさせたのです」(事務所関係者)

 見事このプロジェクトを成功させたのだから、ジュリーも面目を果たしただろうと思うのだが、彼女には好みがあり、そうでない相手には対照的な扱いをしていたと、文春が報じている。

 さらに、ジュリーが目指したのは、「普通の会社にする」ことだったという。

「ある程度、タレントの弱いところも受け入れて許容していた昔と違い、すぐに処分に。当時、タッキーが社長としてメディアに注目されていたため、あたかもタッキーのジャッジのように映ったが、タッキーは『オレにそんな権限あるわけないでしょ』と迷惑がっていました」(滝沢の知人)

 ジュリーは大手レコード会社や民放テレビ局の人間たちを入れ、長年事務所に尽くしてきた人たちを排除していったというのである。

「滝沢にはジャニー氏後継者との自負があり、ジュリー氏にビジネス展開を提案していた。しかしことごとく撥ねつけられたそうで、『ジュリーさんとは合わない』と洩らしていた」(事務所関係者)

 滝沢は、『Travis Japan』をデビューさせたら辞めるといっていたという。

 それがスピードアップして、10月28日にアメリカのレーベルから全世界に配信デビューしたそうだ。海外進出はジャニー喜多川の夢だった。

 退所した滝沢は、ツイッターなどで配信を始めたという。これから、滝沢を慕うタレントたちが続々退所する可能性もあると、文春は見ている。

 ジュリー社長は、退所者が雪崩を打たないか、若手を呼び出して面談を行っているという。

 どこにでもある、二代目社長と古手の幹部との争いに見えるが、若い女性たちに夢を売る商売では、致命的なイメージダウンになりかねない。

 解せないのは、この文春が発売されてすぐに、事務所側が、文春に法的措置を検討していると動いたことである。

 サンケイスポーツ(11月10日付)は、

「ジャニーズ事務所が、藤島ジュリー景子社長(56)らをめぐる週刊文春の報道を受け、発行元の文芸春秋に対して法的措置を検討していることが10日、分かった」

「同事務所はサンケイスポーツの取材に応じ、今回の報道について『事実と全く異なる虚偽の内容を多々含む記事』と回答。文芸春秋に対しては『法的措置を検討しております』との姿勢を示した」

 などと報じている。

 私には、どこが告訴するほどの箇所なのかわからない。おそらく、キンプリのメンバーにジュリーがいったという言葉のところかと思うが、訴えるほどではないのではないか。

 そうした過剰反応が、やはり二代目は度量がないなどといわれてしまう由縁ではないのか。

 私は長くジャニーズ事務所を見てきたが、今回ほど、この事務所の動揺ぶりをかつて見たことがない。

 タレント、それも多くの大衆の心をつかむタレントを見出すのは、砂浜に落ちたハリを探すのに等しい。それが次々にできたジャニー喜多川は、好き嫌いは別にして、稀有な才能を持った異能の人だった。そうした人がいなくなれば、2度とそうした逸材は出てこない。

 それを前提にして、これからどうするかを考えない限り、この事務所の存続は厳しいものになると、私は思う。(文中敬称略)

 

元木昌彦(編集者)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

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もときまさひこ

最終更新:2023/02/28 10:58
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