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『親愛なる僕へ殺意をこめて』山田涼介の復讐に燃える別人格の演技に鳥肌!

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ドラマ公式サイトより

 Hey! Say! JUMP・山田涼介主演のフジテレビ系水曜ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』の第6話が11月9日に放送された。第6話は主人公・浦島エイジ(山田涼介)の”別人格”である通称「B一」からの視点で展開され、これまでの気の弱く腰抜けの大学生を演じてきた山田が、復讐に燃えるB一を見事に演じ分けていると絶賛の声が多く上がった。

次々と明らかになる“真相”と、徐々に見えてきた物語の全貌

 累計発行部数130万部を超える同名マンガを原作とする本作は、15年前の猟奇的な連続殺人事件「LL事件」の容疑者・八野衣真(早乙女太一)が実の父親であることを隠して生きてきた大学生・浦島エイジが主人公の二重人格サスペンス。

 畑葉子(浅川梨奈)という女性が殺害された事件の容疑者として警察に疑われたことなどをきっかけに、自身が二重人格であると気づいたエイジが、もうひとりの自分を「B一(ビーイチ)」と名付け、B一が畑葉子殺害事件に絡んでるのではとにらみ、事件を追うところから始まったこの物語。第5話では、葉子を殺したのはエイジの恋人・雪村京花(門脇麦)だったことが明らかになった。幼少期、母親に虐待され、父親や姉にも見てみぬふりをされていた京花は、姉がLLに殺され、さらに母親が後を追ったことで“地獄”から解放されたといい、LLを救世主として崇拝。そして「LLの息子」であるエイジに意図的に接近した京花は、エイジが二重人格であることを察知し、B一が売春クラブで働く畑葉子と会っているのを見て、売春婦ばかりを狙う殺人鬼だったLLのようにB一が葉子を殺すのだと期待したが、B一にその気がないことを知ると、京花は「目を覚ましてあげたい」と、LL同様に生きたまま拷問にかけて葉子を殺したのだった。

 さらに第5話では、B一こそが主人格で、“浦島エイジ”は15年前にB一が生み出した「別人格」だということも明らかになり、この物語の全貌の輪郭がようやく見え始めたが、第6話ではさらなる真相が。B一こと八野衣エイジは、実の父・八野衣真が殺人鬼LLとして逮捕されたことをきっかけに、周囲から人殺しの子といじめられ、周囲からの嫌がらせを苦に母親が自死してしまうなど人生が一変。そのとき「俺の代わりに苦痛を受けるためだけ」に生まれたのが“浦島エイジ”という別人格なのだという。そして本来のエイジ=B一は、自分の父親はLLではなく、真犯人がいると信じていること、そして父の冤罪を晴らし、真犯人に復讐をするためだけに生きてきたのだと明かす。

 京花がLLの手口を真似て葉子を殺したのは、まさにこのためだった。真犯人など存在しないとB一に突きつけることで、八野衣エイジはあくまで「殺人鬼・LLの息子」なのだと受け入れてほしい、そしてLLの後を継いでほしいと京花は願っていたのだ。しかし、B一も浦島エイジも、京花の願いを受け入れることはなかった。

 そしてLL事件に真犯人がいる可能性は、浦島エイジが気を失ったあとに何者かに刺され、重傷を負って病院に運ばれた京花の口から示唆された。京花が意識を取り戻したことを知り、病室へ忍び込むB一。首元にナイフを突きつけた瞬間、目を覚ました京花は、冷静に「会いに来てくれると思ってたよ、B一君」と告げる。京花が誰に刺されたのか訊ねるB一だが、京花は「B一君、ごめんね。私が間違ってたみたい」と唐突に語りだす。そして「私を刺したのは、B一君が捜してた人だよ」「LLが姿を現したの」「嘘じゃないよ。LLは、生きてたの。私たちのすぐ近くで生きてたの」と話す。真犯人などいないと言っていただけに、京花の言葉をなかなか信じられないB一だが、LLが誰なのか問い詰める。すると京花は微笑みながらナースコールを押し、B一が驚き、慌てて逃げる姿を後目に高らかに笑い声を上げるのだった。路地裏に逃げ込んだB一は「LLはいた……」「父さん、俺は間違ってなかったよ」と、涙を浮かべながら笑う。

 終盤にはさらなる展開が。B一が潜伏先の廃校に身を潜めていると、浦島エイジの協力者で、京花に重傷を負わせた疑いで警察に追われているB一の逃亡にも力を貸したナミ(川栄李奈)がやってくる。しかしそこに、ナミを尾行していた刑事の桃井薫(桜井ユキ)が乗り込んでくる。ついに逮捕されるか……と思いきや、なぜか桃井は「浦島エイジは発見できなかった。全員引き揚げろ」と無線で連絡する。そして京花自身が自分を刺したのはLLだと話したというB一とナミの会話を聞いていたことを伝え、桃井は、当時担当していたLL事件について語り始める。

 燃え上がる山小屋で焼死した真。追い詰められたLLが自死したのだと警察は判断したが、桃井は現場で燃え残った写真を拾う。八野衣エイジが写ったその写真の裏には、何者かの血痕が残っていた。その血液からは誰のものかわからないDNAが検出されたが、しかしそれが誰なのか身元特定すらさせてもらえず、捜査本部は解散。上司の猿渡(髙嶋政宏)からは「捜査に落ち度はない。これ以上ほじくり返すと身内を敵に回すぞ」と警告される。警察のLL事件の幕の引き方に対する疑問がずっと胸の内でくすぶっていた桃井は、B一の話を聞き、「3日やる。その間にお前の父親の無罪を証明してみせろ」と告げる。その態度に激高するB一だが、桃井は自分が動けない理由を「この事件には警察の人間が深く関わっている可能性がある」からだと伝え、第6話は幕を閉じた。

複雑なゆらぎを持つ“復讐者”B一を繊細に演じる山田涼介

 門脇麦演じる京花は、重傷を負い入院中にもかかわらず、今回も狂気に満ちあふれていた。そしてそのバックで賛美歌が流れるという演出は、より一層、京花の狂気を際立てていた。そんな京花に、B一はエイジ以上に振り回されているように感じ、足元を救われるのではないかと不安に思った視聴者は多かっただろう。はたしてLLに刺された京花の“証言”は信頼できるのだろうか。

 第6話では山田涼介演じる主人公は、ここにきてようやく「B一」がメインとなったが、浦島エイジを「あいつは弱くて頭も悪い、ただの腰抜けだろ。俺にとって無駄なものが寄せ集められた、ただのガラクタなんだよ。処分されて当然だろ?」と冷徹に言い捨てたかと思えば、ナミに「LLの息子」呼ばわりされると激高し、真犯人が存在する可能性が浮上すると涙を浮かべて喜ぶ。復讐者としての狂気を抱えつつも、父親が殺人鬼なわけはないと信じる純真な面も持ち合わせ、「LLが戻ってきた」「私を刺したのはLL」といった京花の言葉に振り回される“弱さ”ものぞく。葉子に対する態度も、本当にただ利用しただけだったのか。山田は、ただ腰抜けの“浦島エイジ”との対比という単純なものでなく、ただの復讐の鬼ではない、複雑なゆらぎを感じさせるB一を繊細に演じて見せている。

 SNS上では「本当のLLは誰?」という考察で盛り上がっている。主に候補は2人に絞られているようで、白菱を演じていた佐野史郎がすでに退場してしまったこともあり、警察の猿渡を演じる髙嶋政宏と、エイジの義父・浦島亀一役の遠藤憲一が、「大物俳優」ということで疑われているようだ。この手のサスペンスドラマは警察が事件に関与している作品も多く、ある意味”お約束”のパターンだが、桃井の話ではいかにも猿渡が怪しく、次回予告でもB一、桃井、猿渡がそれぞれに銃を向けるシーンがある。猿渡の「怪しすぎる」という点はどう捉えるべきか。桃井は、第3話までの第1章でエイジの前に立ちふさがったサイ(尾上松也)をいきなり銃殺するという不自然な行動も取っていたのも気になるところだ。

 全9話と発表されているだけに、残すところあと3話。原作と大きく設定が異なる部分もあり、一部ストーリーも変わっているだけに、ドラマではどのように真犯人へとたどり着くのか、原作ファンにとっても見どころとなるだろう。今夜放送の第7話は、いったいどのような急展開を見せるだろうか。

■番組情報
水曜ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて
フジテレビ系毎週水曜22時~
出演:山田涼介、川栄李奈、門脇麦、尾上松也、早乙女太一、髙嶋政宏、桜井ユキ、佐野史郎、遠藤憲一 ほか
原作:井龍一・伊藤翔太『親愛なる僕へ殺意をこめて』(講談社ヤングマガジン刊)
脚本:岡田道尚
音楽:☆Taku Takahashi(m-flo)
主題歌:Hey! Say! JUMP「ウラオモテ」
プロデュース:草ヶ谷大輔
総合演出:松山博昭
制作・著作:フジテレビ
公式サイト:fujitv.co.jp/shinainarubokue

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/11/16 12:00
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