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メディアはリサイクルの優等生? 取り上げるネタは“再利用”のオンパレード

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Getty Images

 近年、産業界ではリサイクルやリユースが当たり前。使えるものは何度も使うのが大原則だが、マスコミ界ではちょっと違った形でそれが実行されつつある。テレビではドラマやアニメの再放送はめずらしくないが、その“適用範囲”が徐々に拡大。再利用が大流行だ。

「先日、ニュース番組の情報コーナーで街中華が特集されていましたが、その内容には驚きました。リポーターがノースリーブを着ているので『ずいぶん前に撮影したものだな』と家族で話していたら、数年前に放送されたものとのこと。続いて紹介された2軒目、3軒目も過去の放送の使い回しでした。こんな手抜きの方法もあるんだと、呆れるやら感心するやら……。テレビ欄には『人気のお店を紹介』と書いてありましたが、そんな昔に撮った映像を使うなんてテキトーなものですね」(40代男性)

 ずっと人気の店が紹介されたのならテレビ欄の文言にもウソはないが、人気店紹介の内容が数年前の映像の使い回しだったことにモヤモヤした視聴者は他にもいたに違いない。

 この指摘には、テレビマンも苦笑い。

「過去の映像を使い回す手法は、コロナ禍で一挙に顕著になりました。当初はロケができなくなった情報番組や旅番組が、過去の映像を再編集して急場を凌いでいたものが、いつしか当たり前の手段に。『○時間SP』と謳いながら、大半が過去の映像の寄せ集めだったりするのはしょっちゅうですし、ちょっとだけ編集を加えたり、使わなかった素材を足したものをもう1回流す番組は珍しくありません。要するに“かさ増し”ですよね。

 情報番組などの場合、『これは○月○日に放送されたものです』というテロップが出ますが、バラエティなどで再編集を加えた場合、そのテロップが出ないことも多く、途中で『これ、前に見たな』と気づく視聴者も多いはず。よほど有用な情報や、大きな話題となった番組なら何度も放送する意味はあるでしょうが、散歩番組の再放送など、視聴者をナメきっていると思われても仕方がない」(キー局関係者)

 視聴者から何のクレームが入らないのなら、真剣にテレビを見ている視聴者がいないということか。そうなると再利用はどんどん進みそうだが、ネタの使い回しは週刊誌も酷いという。

「かつては通勤時の必須アイテムだった週刊誌ですが、今やコア読者層は完全に60代以上のリタイア、もしくはセミリタイア組。特集も、病気、薬、健康法、食事法などライフ系のものと、年金、投資、相続、ふるさと納税などマネー系の特集の使い回しばかりです。ピックアップされるネタや芸能人も“昭和”ばかりなので、若手の編集部員の中には、自分にはチンプンカンプンな記事ばかりやらされてウンザリしている者も多く、明るい未来はまったく見えません」(フリー記者)

 “大切なことは何度でも言う”という姿勢は大事だが、それを手抜きの方便にされてはかなわない。こういった状況を見ると「オワコン」という単語がチラつくが、有効資源の再利用と考えれば、褒められてしかるべきなのか……?

 

藤井利男(ライター)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

ふじいとしお

最終更新:2022/11/16 08:00
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