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コットン西村が終止符を打つ、芸人界の陰陽合戦

コットン西村が終止符を打つ、笑人界の陰陽合戦の画像1
『あちこちオードリー』(テレビ東京系)Twitter(@AchikochiAudrey)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(2月12~18日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

バイきんぐ・小峠「荒れてるよねぇ。いい街だよ」

 夜中に煌々と明かりがついている場所を取材する『不夜城はなぜ回る』(TBS系)。取材先は、お店だったり、工場だったり、趣味で何かをしている人の作業場だったりする。そもそもこの人はこんな夜中に何をしているのか。そんな探究心を入口にしながら、いつの間にか取材対象者の思いもよらない人生とか、事象を取り巻く社会問題とか、そういう意外なところにたどり着くVTRが面白く、毎週楽しみにしている。

 そんな同番組で、13日、特別企画として小峠英二(バイきんぐ)が東京都内の見知らぬ店で飲む映像が放送されていた。題して「小峠英二 不夜城を飲み廻る」。今回で第3弾である。

 VTRは、小峠を下から捉えた映像に「夜中明かりが灯る不夜城を小峠が飲み廻る記録」とテロップが入った画面から唐突にはじまる。小峠は手持ちのカメラで自身を写しながら歩いているようだ。右上のワイプには、MCの東野幸治らの顔が写っている。

 映像のなかの小峠は「ごきげんよう、酒場決まった?」と誰かに話しかけられる。それが誰なのか、どこかの店の人なのか、説明は一切ない。そもそも小峠がどこを歩いているのかもわからない(VTRも中盤になって、ようやくここが大森であることが会話とテロップで告げられる)。

 その後も、説明は最小限に抑えられる。「この店いいなぁ」と小峠が入ったのは、高架脇にある店。横の席のサラリーマンらしき人たちが、誰かの噂話をしている。それを聞いているのかいないのか、小峠は店内におかれたパイロン(三角コーン)を見て「いいねぇ」とつぶやく。

 なるほど、「夜中明かりが灯る不夜城を小峠が飲み廻る記録」とテロップが出ていたように、これはあくまでも“記録”である。もちろん小峠が1人で行動しているわけではない。小峠がカメラを持った姿を捉えた画面もある。ただ、映像はまるで小峠が趣味で撮影した“記録”であるかのように、あまり整序されない形で(というか、あまり整序されてない形に見えるように整序されて)お届けされている。だから何か事件が起こるわけではないし、いつの間にか誰かが同席していたりもする(しばらくして後輩芸人であることがわかる)。

 そんな整えられていない“記録”のなかでは、場面はスナップショットのように切り替えられ、価値観も時に反転する。ハイボール片手に店の外を見ながら、小峠がつぶやく。

「夜10時で、ちょいちょい制服を着た高校生がうろちょろしてるっていう。荒れてるよねぇ。いい街だな」

 世間一般の良識からいえば、「荒れてる」の後に続くのはネガティブな言葉である。はっきりと語られない場合でも、「荒れてるよねぇ……」と沈黙を交えるなどして、ネガティブな印象がわかる人にはわかる形で暗示され、共有されたりする。

 だけどこれは、そんな世間的なチェックをくぐる前の“記録”である。だから言葉の秩序は一旦解かれ、「荒れてる」と「いい街」が結びつく。もちろん、テレビでもよく見るロックな私服(革のライダースジャケット)を着た小峠のビジュアルや、彼のぶっきらぼうな口調が「荒れてる」と「いい街」を無理なく統合する。

 この『不夜城はなぜ回る』、もともとはスタッフの趣味だった夜中の探索が番組化したものだという。だからだろう、お店や工場の取材もなんだかプライベート映像のような雰囲気がある。番組のいつものVTRが意外なところにたどり着いたように感じるのも、既存の価値観を一旦フラットにしてカメラに捉える(ように見える)、そんな“記録”としての性格ゆえなのかもしれない。

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