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YOUと菊地亜美のやさぐれ巧者&バラエティーがつく本質

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『週刊さんまとマツコ』(TBS系)Twitter(@sanmatsuko_tbs)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(3月26~4月1日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

YOU「私は強い権力にひれ伏しますけどね」

 26日の『週刊さんまとマツコ』(TBS系)で、「やさぐれ女子」に注目した企画が放送されていた。番組によれば、現在のバラエティ番組には周囲に一切媚びない女性タレントがあふれている。そんな女性たちに着目しようという企画だ。

 番組は「芸能界でのやさぐれ」を、「強い権力や大物の前でも一切媚びることなく、素で生きるクールな人間」と定義する。ゲストはYOUと菊地亜美。YOUは「やさぐれ界の女帝」としての出演、菊池はこれから「やさぐれ女子」の枠に入ることで芸能界の生き残りを図ろうとするポジションでの出演である。

 番組は「芸能界のやさぐれ派閥」を読み解いていく。誇張気味に、裏社会の派閥抗争のパロディのように。もちろん、番組MCの明石家さんまやマツコ・デラックス、進行役の川島明(麒麟)がツッコミを入れて面白くしながら。

 番組がボードで整理するところによれば、「女帝」であるYOUと並び立つ「やさぐれ組織『ドラゴン』」にはMEGUMIと若槻千夏がいる。一方、関西の「やさぐれ女子」が属する「西日本やさぐ連合」には、海原やすよ・ともこ、ファーストサマーウイカ、野々村友紀子、ヒコロヒーがいる。なるほど、「やさぐれ」というイメージに合致した面々が列挙されていく。

 「やさぐれ女子」の相関図はさらに入り組んでいく。「やさぐれ界」に旋風を巻き起こした「トオルとヒロシ」として名前があげられたのは、いとうあさこ、大久保佳代子(オアシズ)。知識と教養を兼ね備えた「やさぐれ女学院」には大橋未歩、大島由香里。レジェンドが集まる「やさぐれ旧車會」には研ナオコ、加賀まりこ、仁支川峰子。そして、「やさぐれ女子」の憩いの場「スナックやさぐれ」にいるのは島崎和歌子である。なお、以上を総括してマツコは主張する。

「いろんな方(の名前が)出ましたよね。ホントにやさぐれてるのは島崎和歌子だけです」

 なお、番組の序盤、「強い権力や大物の前でも一切媚びることなく、素で生きるクールな人間」という「芸能界でのやさぐれ」の定義がしめされると、「やさぐれ界の女帝」ことYOUは言った。

「私は強い権力にひれ伏しますけどね。全然平気でぐるぐる巻きにされる」

 番組が示す「やさぐれ女子」の構図に簡単に乗らない。かといって、番組の企画を台無しにするわけでもない。「やさぐれ界の女帝」という外からのお仕着せをさっさと脱ぎ捨て、番組の設定から外れる素振りを見せることで、周囲が容易にコントロールできない「やさぐれ」の強度を逆に見せつける。もちろん、その後は番組の趣旨にそった発言もするのだけれど、最初の“かまし”が効いているので半身で企画に乗っかってる感がずっと出る。

 番組全体の構図に対する引いた視線と、乗るところは乗る態度。YOUのバランス感覚を感じさせる発言だった。

 一方、菊地は番組冒頭で「私はすごいやさぐれたいの」とMCの明石家さんまやマツコ・デラックスに訴える。YOUとは対称的に企画の趣旨に全面的に乗るスタンス。かと思うと、番組が進むなかで自分があまり「やさぐれ」に向いてないことがわかると、「あんまり『やさぐれ』に入れてなかったんで、もし『やさぐれ』以外の何かがあったらまた来ていいですか?」と、どんな企画でもいいからとにかく番組に呼んでくれとさんまらに直訴した。

 番組が扱ってきた「やさぐれ」があくまでショーであったことを印象づける、こちらもまた巧者の立ち回り。そんな菊池のあたかも節操のない翻身に対し、さんまが「お前、仕事ほしいだけやないか」とツッコミを入れる。麒麟・川島のたとえもさえる。

「おるんですよね、コーヒー飲みたいだけで車屋来るやつ。買う気ないやろ」

川島明「11年前、俺もあんな感じの灰色の目をしてたんだなと」

 『週刊さんまとマツコ』で行われていたのは女性タレントのキャラクターやポジションの整理だけれど、芸人のそれを整理する番組といえば『アメトーーク!』(テレビ朝日系)である。趣味について語る回も多い同番組だが、同期が集まったり、ルームシェアをしている芸人が集まったり、人見知りの性格やなんらかの生きづらさを抱える芸人が集まったりと、芸人の人間関係をエンタメにする企画も多い。

 そんななか、30日に放送されていた企画は「先輩に可愛がってもらえない芸人」。タイトルどおり、先輩から飲み会に誘われなかったりする芸人たちがトークする企画である。出演者は、菅良太郎(パンサー)、野田クリスタル(マヂカルラブリー)、長田庄平(チョコレートプラネット)、水田信二(和牛)、粗品(霜降り明星)、後藤拓実(四千頭身)、南條庄助(すゑひろがりず)、ZAZYだ。

 この「先輩に可愛がってもらえない芸人」、もともとは11年前に川島明(麒麟)がプレゼンし、第1弾が放送された企画である。今回はMC横に座る川島は、ひな壇に座る面々を見て言った。

「11年前、俺もあんな感じの灰色の目をしてたんだなと」

 番組では、なぜ可愛がられないのかをひな壇の面々が自己分析していく。たとえば、「圧倒的に可愛げがない」と語るパンサー・菅。「芸歴の前半がトガリすぎていた」というマヂラブ・野田。「若くして成功しすぎた」と振り返る霜降り・粗品など。それぞれの自己分析が面白くも物悲しい。

 番組はさまざまな角度から、芸人たちの愛されないながらも愛すべきキャラクターを浮き彫りにしていく。先輩に可愛がってもらえない芸人の“あるある”として、先輩がほかの後輩を誘ってる現場を見てないフリをしてしまうといったエピソードが語られたり、「俺たちは飲み会にいないに越したことはない」と卑下の極地のような発言をしたり。

 あるいは、ほかのメンバーが“あるある”を語るなかで、パンサー・菅が自分はちょっと周りとは違うタイプの「先輩に可愛がってもらえない」であることに気づき、同じ悩みを抱えているはずのメンバーのなかでさえ疎外感を覚えてしまったり。

 さらには、フジモンこと藤本敏史(FUJIWARA)が管、野田、粗品を誘ったらどう反応するかを検証する隠し撮りの映像が放送されたりもしていた。そっちが先輩に選ばれないのではなく、まずそっちが先輩を選んでいるのではないか、みたいな企画の前提を問い返すようなツッコミがあったりもした。哀愁を帯びた可笑しみにあふれた回だった。

 それにしても、である。芸能人がプライベートもふくめてどのような人間関係を築いているのかとか、どんな悩みを抱えているのかとか、それ自体はずっと前からバラエティ番組で取り扱われてきたトピックだ。私自身、そういった企画を面白く見てきたし、そういった企画で描かれてきた芸人相関図を参考にバラエティでの芸人たちの立ち回りを楽しんだりしてきた。

 ただ、たとえば、先輩に選ばれないのではなく先輩を選んでいるのではないか、みたいな“本質”をついた場面を、私は本当にバラエティで見たかったのだろうか、と思ったりもする。一般的なコミュニケーションや人間関係でも参考になるような視点、みたいなの、バラエティ番組から得たかったのだろうか。笑いながら、ちょっとよくわからなくなるときがある。

 いや、ちょっとわからなくなるときがあるというだけで、おそらくまた私は芸人の人間関係を扱った番組を面白く見るだろう。そしてときどき、またちょっとわからなくなるだろう。わからないからといって、別に答えがほしいわけではない。そしてもちろん、「そんなところに引っかかるのはお前がただ先輩に選ばれないと言いながら先輩を選んでいる側だからだろう」なんて“本質”をついてほしいわけでもない。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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Twitter:@inyou_te

いんようてれび

最終更新:2023/04/05 19:00
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