日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 狩野英孝とテレビの「成立」

狩野英孝の「野生の勘」とテレビの「成立」

狩野英孝の「野生の勘」とテレビの「成立」の画像1
『有吉クイズ』(テレビ朝日系)TVerより

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(2月19~25日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

アルピー・平子「カルトの勧誘に似てるんですよね」

 アイマスクをつけた芸人が、スタッフに両手を引かれて小さい歩幅で歩いている。そんなシーンでおなじみの『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、22日、アイマスクに関する企画が放送されていた。

 題して「アイマスク着脱チャレンジ」。例のごとくアイマスクをつけて集められた芸人8人に、「アイマスクを取らずに待て」とだけ指示をする。そのうえで、制限時間の2時間以内に全員がアイマスクを外せば賞金100万円が山分けでもらえる。1人でもつけたままの人がいたら賞金はなし。最後までアイマスクをしていた人には賞金10万円がもらえる、というルールだ。

 賞金が絡むとちょっとややこしいけれど、要は、お互いのコミュニケーションだけで全員がアイマスクを外せるか否かのゲームである。

 集められた芸人は、藤本敏史(FUJIWARA)、平子祐希(アルコ&ピース)、八木真澄(サバンナ)、たかし(トレンディエンジェル)、根建太一(囲碁将棋)、みなみかわ、オカリナ(おかずクラブ)、金ちゃん(鬼越トマホーク)である。アイマスクをつけた8人は、「このままアイマスクをとらずにお待ちください」と天の声に指示され、放置される。室内に置かれたモニターに今回の企画のルールが書かれており、アイマスクを外した人は把握できる形になっている。

 さて、ここから何が起きるか。まずは、この場に誰がいるのかを確認していく芸人たち。どこから連れてこられたのかを報告し合うなどし、企画の趣旨を推測する。が、次第に芸人たちはほかの出演者を疑いはじめる。全員目隠しをしているのか。誰かアイマスクをつけていないのではないか。疑心暗鬼が芸人たちを包んでいく。

 その後の芸人たちの立ち回りには、それぞれの“らしさ”が現れていた。真っ先に指示を破りこっそりアイマスクを外すたかし、アイマスクを外すもなぜか外してないフリを咄嗟にしてしまう根建、ちょっとズレた言動を繰り返してツッコまれる八木、予期せぬタイミングでヌルッと外すみなみかわ、そして最後まで周囲を疑い続けアイマスクをつけたままだった平子など。それぞれの立ち回りが映えるキャスティングが絶妙だ。

 全体の流れは、「アイマスクを取った=ルールを共有した者」が誘導するも、「取っていない=ルールを共有しない者」が不信感をつのらせていって、というもの。アイマスクを取り誘導側に回る人が増えれば増えるほど、取らない側がむしろ疑いを深めて頑なになっていく。そんな様子が、なんだか社会の一側面を表現しているようでもあった。アイマスクを取るよう周囲から繰り返し説得された平子は言う。

「ずっと何かに似てると思ったら、カルトの勧誘に似てるんですよね」

 ただし、である。今回の企画、表面的には他人のアイマスクを言葉だけで外すチャレンジだ。が、おそらくそのルールが共有されているだけでは、今回のチャレンジは成り立たないだろう。一般人がやると、全員がすぐにアイマスクを外して終わりそうな気がする。途中で展開が二転三転し、最後まで拒否する平子のような存在も出てくるには、その場で明示されていないルールが共有されていなければならない。出演者で協力してテレビの企画を“成立”させる――表面的なルールのさらに底にあるそんな真のルールの共有が。

 室内のモニターに書かれたルールは、最初は誰も見えていなかったかもしれない。しかし、真のルールだけはむしろアイマスクをつけられた瞬間からみんな見えていたのだ。

12
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed