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チョコプラと狩野英孝の「7:3の法則」

チョコプラと狩野英孝の「7:3の法則」の画像1
『チョコプランナー』(テレビ朝日系)TVer公式サイトより

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(7月9~15日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

チョコプラ・長田「バズるやつはバズるんですけど、安定感がないんです」

 流行語ではないけれど、いつの間にかテレビでよく聞くようになった、そんな言葉がある気がする。たとえば“企画”という言葉がそうだ。出演者が番組のなかで「続いての企画は~」と口にする光景は、以前はあまり見かけなかったように記憶する。

 昔と比べてテレビ画面上で“企画”が言葉として使われるようになったのが仮に確かだとして、その理由はなんなのか。はっきりとはわからないが、SNSなどを通じた情報発信の機会が一般の人たちにも身近になったことで、“企画力”が求められる場面が増えているのかもしれない。さまざまな職業において、企画のアイデアが求められる機会が増えているからかもしれない。そういった一般社会の変化よりも、テレビ番組の製作スタイルや内容の変化によるものなのかもしれない。

 理由は明確ではないけれど、もし“企画”という言葉の使用頻度がテレビのなかで増えているのだとすれば、こんな企画が放送されるのも当然のことだろう。

 10日の『チョコプランナー』(テレビ朝日系)で、番組の企画やチョコレートプラネットのYouTubeチャンネルの企画をブラッシュアップする企画が放送されていた。いわば、企画についての企画である。

 同番組は放送開始から9カ月が経過した。MCを務めるチョコプラの長田庄平と松尾駿によると、当番組の最近の放送はTVerの再生数も悪くないという。ただ、Twitterのフォロワーは少ない。やっていること自体は面白いはずだが、評価がバラついているようだ。チョコプラのYouTubeチャンネルも同様の傾向があるらしい。長田は言う。

「バズるやつはバズるんですけど、安定感がないんです。少ないやつは少ないですし」

 そこで番組が企画のブラッシュアップのために呼んだのが、データアナリストの佐藤舞氏(通称サトマイ)である。番組で紹介されたところによると、大学時代に統計学を使ったマーケティングを学び、一般企業に就職後、独立してコンサルティング会社を設立、現在は企業のマーケティング・リサーチなどに携わるデータ分析のスペシャリストだという。長田が彼女のYouTubeチャンネルをよく見ており、今回の出演に至ったようだ。

 彼女は番組内で「親近性:新規性=7:3の法則」を説いていた。それによると、大事なのはみんなが知っていて注目度が高いもの(親近性)と、意外性やオリジナリティ(新規性)のバランスだ。たとえばYouTubeの動画を見てもらうには、サムネやタイトルなどから内容を7割くらい予想でき、残りの3割は予想がつかない常態がよい。なぜなら、私たちは脳に負荷をかけたくないので、未知の要素が大きいとストレスに感じてしまうからだ――そんな内容がレクチャーされていた。

 なるほど、なんだか納得感がある。新しすぎるものはよほど自分の心身の状態が良くないと受け付けない、というのは自分自身を振り返ってもよくわかる。録画したまま再生できていない番組は、そういう心理で再生ボタンを押せないのかもしれない、と合点がいくところも多い。

――と、思わず納得してしまうわけだけれど、ということは、この“法則”自体も親近性と新規性のバランスが7:3になっているのかもしれない。とても新しいことを言っているというより、どこかで聞いたことがある想像が飛躍しすぎない親和性のある内容を、別の文脈に置き換えて新規性を持たせているからかもしれない。確かに、企画はトガりすぎず、ベタを残しつつ、親近性と新規性の割合が7:3ぐらいがちょうどよいのだろう。

狩野英孝「おいしいとか、これが面白いんだとか、一切わかってなかったですね」

 11日の『アンタウォッチマン』(テレビ朝日系)で、狩野英孝が特集されていた。芸能界で随一のイジられ芸人である狩野。そのルーツが辿られていた。

 狩野は2003年にピン芸人としてデビューした。ナルシストキャラを武器にお笑いライブのオーディションに合格していくが、そのなかにウッチャンナンチャンやバナナマンを輩出したラ・ママ新人コント大会もあった。

 ラ・ママの主催者である渡辺正行によれば、狩野は当時からイジられる存在だったようだ。ラ・ママでは、ネタ中に一定数のお客さんの手が挙がるとネタが強制終了するゴングショー形式の名物企画があった。狩野もそこでネタを披露することになるのだが、自己紹介をしている間に観客の笑い声とともに手がどんどん挙がり、ネタに入る前に強制終了になってしまう。そんな状況にさらされる狩野のリアクションを、客は面白がっていたのだ。狩野は当時を振り返る。

「初めてイジられたって感覚。でもこっちは2分のネタを用意してるし、練習もしてるし、一生懸命準備してきたのにもかかわらず、お客さんが面白がって手を挙げるっていうのが……渡辺リーダーが『はい終了~』ってニコニコしながら来るんですけど、そこでお客さんもウケてるんですけど、なんで俺にネタをやらせてくれないの? ひどいよ! みたいな感じで本気でイライラした。それがおいしいとか、これが面白いんだとか、一切わかってなかったですね。マジで嫌でした」

 その後は『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)などにも出演するが、やはり狩野が人気を確実にしたのは『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)のドッキリ企画だろう。番組の総合演出・エグゼクティブプロデューサーを務める加地倫三氏は語る。

「初めて(狩野と)仕事したのは『ロンハー』の寝起きドッキリ。部屋に潜入したら女の子の名刺があって。実はロケをする前に見張りについてたスタッフが、女の子を部屋に呼んで帰らせてるところを見たっていう。寝起きドッキリでそういう直前に女の子がいたっていうのが初めてだったので、とても印象的で、この子は面白い子だなって思いました」

 加地氏は「そんな面白い出会い方したら、もっとやりたくなるじゃないですか」と語るが、たしかにその後『ロンハー』では特番が組まれるなど、狩野のドッキリ企画はおなじみになっていく。狩野を重宝する理由として、加地氏は田村淳(ロンドンブーツ1号2号)との相性の良さのほかに、次のようにも語った。

「狩野に(ドッキリを)かけるときってワクワクするんですよね。こんな仕掛けしたらどうだろう、こう来るんじゃないかな、こんなこと言ってくれるんじゃないかなとかって。引き算しないっていうか、足し算の発想だけ。もっとこんなことしたい、あんなことしたいばっかり思いついてそれをやるみたいな。制作をワクワクさせてくれる芸人かもしれないですね」

 近年では、狩野はYouTubeでのゲーム実況も人気になっている。狩野はそこでも視聴者からコメントなどでイジられている。その人気について富澤たけし(サンドウィッチマン)は「なんかやってくれると思って見ちゃうんでしょうね」と語っていた。

 なるほど、番組や動画などに出ている狩野は何か意外なアクシデントを繰り広げる。面白いアクションなりリアクションなりを起こす。これは確実だ。約束されている。しかし、そのアクシデントの具体的な内容はわからない。既知の未知。狩野がメディアに出るときは、知らない何かを確実に見せてくれるということが知られているわけだ。

 そう考えると狩野の人気も、面白いアクシデントが必ず起きるとわかっているけれど、どんなアクシデントかは予想を超えてくるという意味で「親和性:新規性=7:3の法則」に当てはまるのかもしれない。

 ――というふうに、結果から逆算して論理を組み立てどんな事象にも当てはめられそうなのもこの法則の使い勝手の良さだ。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2023/07/18 07:00
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