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ジャニーズ「泥船化」で退所さらに加速か…数十億円規模の金銭的補償の可能性も

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ジャニーズ事務所

 ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題について、調査に当たった国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の専門家が、被害者への「金銭的な補償」に言及したことが波紋を広げている。もしそうなればジャニーズ事務所が経済的にも追い込まれる可能性があり、退所者の増加が懸念されているようだ。

 注目の発言があったのは、4日に日本記者クラブで開かれた会見。元ジャニーズ所属タレントらへの聞き取りなどの訪日調査を実施した作業部会議長のダミロラ・オラウィ氏とアジア・太平洋地域メンバーのピチャモン・イェオパントン氏が出席し、イェオパントン氏が「ジャニーズ事務所のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と報告。

 さらに、オラウィ氏は「政府が主な義務を担う主体として透明な捜査を確保し、謝罪であれ金銭的な補償であれ、被害者の実効的救済を確保する必要性がある」とし、ジャニーズ事務所による被害者への謝罪と金銭的補償に言及。しかも、それを政府が指導するべきという、いち芸能事務所への対応としては異例の見解を示した。言い換えれば、それだけ作業部会が性加害問題を深刻かつ悪質だととらえているということだろう。作業部会は今後も調査を進め、2024年6月に国連人権理事会に報告書を提出する予定だという。

 被害を訴える人の中には、約70年前に被害を受けたと告白しているケースもあり、それだけ昔からジャニー氏が性加害を繰り返していたのだとすれば、作業部会が報告した「数百人」という数字も現実味がある。もしジャニーズ事務所が政府の指導によって金銭的補償を迫られた場合、数百人が被害者として名乗り出れば、補償金の合計はどんなに少なく見積もっても億単位。数十億円レベルに達することも十分に考えられ、一部では100億円を超えるとの推測まである。いくらジャニーズ事務所が大手プロダクションだといっても、そうなれば経営が傾きかねない。

 ただ、加害者とされるジャニー氏が故人であることもあって法的拘束力はないとの見方もある。実際、作業部会の「政府が主体となって被害者を救済するべき」という声明について、松野博一官房長官は7日の記者会見で「法的拘束力を有するものではない」との認識を示した。今のところ政府が動く可能性は少ないが、「政府が主な義務を担う主体として透明な捜査を確保」すべきと指摘される中でのこの発言にネット上で批判が集まっており、今後の世論によって事態が急変することも考えられる。

 この性加害問題の影響を大きく受けそうなのが、デビュー目前とみられていたジャニーズJr.の有力グループたちだ。

 現在、ジャニーズJr.では「Aぇ! group」「HiHi Jets」「美 少年」の3グループがCDデビュー間近とされている。実際、Aぇ! groupは6月に「文春オンライン」(文藝春秋)でデビュー内定が報じられ、9月から開幕する『FIVB パリ五輪予選 ワールドカップバレー2023』のスペシャルサポーターに就任するタイミングで正式発表があると目されていたが、先日「朝日新聞」などが性加害問題に関してジャニーズグループの起用に抗議の声を上げる国があり、「サポーター就任内定が取り消しになった」と報じた。この影響で、Aぇ! groupの年内デビューの話自体が流れたとも一部で報じられている。今のような状況下ではたとえデビューしたとしても厳しい目を向けられる可能性は高く、Aぇ! group以外についてもデビューの話はしばらく「凍結」となるかもしれない。

 さらに、作業部会の報告を受けて政府が何らかの形で動くようなことになれば、ジャニーズ事務所はイメージ的に新規のCMオファーはこなくなり、下手すればテレビ業界でジャニーズタレントの番組起用を敬遠する動きが生まれるおそれもある。日弁連国際人権問題委員会の委員でもある弁護士の伊藤和子氏はNHKの取材に対し、「これはジャニーズ事務所単体の問題ではなく、芸能界と深く関わりがあるメディアや広告業界など関連する取り引き機関すべてに関わる問題」との見解を示している。

 ジャニーズ事務所では、今年5月だけで元King & Princeの平野紫耀ら10人以上が退所するなど、このところ退所者が相次いでいる。そんな中、ジャニーズJr.はいくらがんばってもデビューできず、デビュー組のタレントも今後どうなるか分からないという「泥船」状態になってしまえば、退所者の増加に拍車がかかりそうだ。

 折しも、元ジャニーズ事務所副社長の滝沢秀明氏が立ち上げた新事務所「TOBE」は平野ら退所組10名が合流しており、ジャニーズ所属タレントの中から「TOBEに行ったほうがいいのでは」と考える者が続々と出てくる可能性がある。特に、現在ジャニーズの稼ぎ頭になっているSnow ManとSixTONESは滝沢氏が育てたグループであるだけに動向が注目されている。

 HiHi Jetsの作間龍斗がNHK大河ドラマ『どうする家康』に出演することが先日発表され、美 少年の浮所飛貴はまもなく放送開始となるNEWS・増田貴久主演ドラマ『ギフテッド』(Season1はフジテレビ系、Season2はWOWOW)でバディ役を務めるなど、デビュー組と遜色のない活躍をするジャニーズJr.も増えてきているが、そうした仕事を与えることで退所を防ごうとする目的があるのではとも推察されている。

 ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長は、被害の実態について「知らなかった」とし、現体制の会社には責任がないともとれるような主張をしているが、金銭補償問題を含めて被害者に誠実な対応をしなければ、社会的信用が失墜して業績に大きな影響を与える可能性もある。ジャニーズ事務所がこの局面をどう乗り切るのか、大きな鍵を握るのが記者会見だ。ジャニーズ事務所は、今月末に外部専門家による「再発防止特別チーム」の提言を受けた上で、今後の対応について記者会見を行う予定だと発表している。ジュリー社長も出席するのではとみられているが、ここで事務所の責任問題や金銭的補償についてどのような見解を示すかによって、ジャニーズおよび所属タレントたちの運命は大きく変わりそうだ。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/08/07 21:00
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