本多圭の『芸能界・古今・裏・レポート』

北野武監督、新作『首』のPRになぜか消極的…逆風の中、ヒットするのか?

北野武監督、新作『首』のPRに消極的…逆風の中、ヒットするのか?の画像1
北野武監督『首』KADOKAWA 公式サイトより

 ビートたけし原作小説を二宮和也・波留主演で映画化した『アナログ』が大ヒットを記録するなか、その余勢を駆るかのごとく、11月23日から“世界のキタノ”こと北野武監督の新作『』が全国公開されるが、作品を出品した第36回東京国際映画祭にたけし本人が登場せず、関係者の間で不興を買っているという。

「『アナログ』のほうは大ヒット中ですが、たけし本人は、『首』の公開にこぎつけるまでのこの6年間でブレーンが次々に離れたこともあって、もはや“過去の人”的な存在になっていますからね。それなのに、製作のKADOKAWAが『首』の宣伝のため、せっかく東京国際映画祭に出品したにもかかわらず、監督兼主演のたけしが出てきませんでした。たけしが宣伝しなければ 前作『アウトレイジ 最終章』のような大ヒットは期待できないでしょう」(映画関係者)

 実際、これまでの北野映画を支えてきたのは、「オフィス北野」の社長を務めていた森昌行氏だった。

「たけしは、86年に起こした『フライデー』襲撃事件で当時所属していた太田プロダクションとの関係が悪化したため、88年に独立。『オフィス北野』(現・TAP)を設立しましたが、その時、当時制作会社の番組プロデューサーだった森氏を自らスカウトして制作部長に就任させました」(映画ライター)

 92年、社長に就任した森氏は、たけしが映画を撮るようになると、映画プロデューサーとしての力を如何なく発揮した。

「『その男、凶暴につき』でたけしが初めて映画監督を務めると、事務所は映画製作に進出して北野映画を支えてきました。たけしが“世界のキタノ“と呼ばれるようになったのは、森氏の力が大きいことは間違いありません」(前同)

 その2人の関係がギクシャクするようになったのは、17年に公開された『アウトレイジ 最終章』の頃からだった。「それまで金銭に無頓着だったたけしが、急に“俺は森に搾取されている“と疑い出したことから、翌年3月の独立騒動に発展したんです。たけしの意を受けたたけし軍団が森氏の経営責任を追及しましたが、森氏に反論されて返り討ち状態になり、騒動は収束しました」(前同)

 その後、たけしは軍団を連れず、ひとりで独立した。

「それだけではありません。軍団のメンバーだった水道橋博士が、れいわ新選組から参院選に出馬(当選後、辞職)した際には、“俺を巻き込むな“と突き放し、今年3月には、たけし軍団が40周年を迎えたにもかかわらず、我関せずを貫いた。彼なりの考えがあったのかもしれませんが、かつては面倒見がよかったたけしの変貌ぶりに、人が変わってしまったと、“たけし離れ”していく人も少なくありません。たけしのレギュラー番組の低視聴率ぶりも、それを物語っているかのようです」(テレビ関係者)

 そんなたけしだが、今回、戦国時代劇をテーマにした小説『首』の映画化を決意。しかし、コロナ禍で撮影が延期した末、編集段階で原作・製作のKADOKAWAと契約トラブルになり、一時は公開が危ぶまれた。

「KADOKAWAとしては、15億円以上の製作費を投入していますからね。引くに引けず、結局たけしサイドに頭を下げて公開までにこぎつけたそうです。ただ、今回のKADOKAWAとのトラブルで、たけしは映画界の信用を失いました」(前出の映画ライター) しかも、『首』は当初、主演にハリウッド俳優・渡辺謙の起用を予定していたものの、変更を余儀なくされたという。

「スケジュールの都合で断られた、というのが表向きの理由ですが、一部では、『首』の脚本を読んだ渡辺が、過激さばかりが目立つ内容に“つまらない”とダメ出しして断ったと報じられています。ヒットさせなければ、たけしの面目が立たないはずなのですが……」(映画関係者)

 そのような中、10月23日から開催された第36回東京国際映画祭は、6年ぶりの新作を宣伝する大チャンスだったはずだが、たけしはそれに出席しなかった。「当然、関係者はたけしが登壇して宣伝することを期待していましたが、姿を見せませんでした。理由はわかりませんが、かつてたけしの要望で始まり、自ら審査員長まで務めていた『東京スポーツ映画大賞』も、再婚した妻がギャラを要求したことから中止になったと伝わっていますから、今回も“ギャラが出ないなら、出ない”と断ったのでは、という噂が流れています」(映画関係者)

 別の関係者は、「5月にカンヌ国際映画祭に出品した時は、たけし自ら再婚妻と一緒に現地入りして、“まるで新婚旅行だ”と不興を買いましたが、それでもプロモーションにはなりました。実際、これまでの北野作品は、公開間際になると宣伝プロモーションのため、たけし自らあらゆる媒体のインタビューに応じてきた。ところが、今回はそれがない。たけしは、独立後、軍団だけでなく、それまでたけしのブレーンだったメディア関係者とも距離を置くようになったと言われていますから、その影響なのでしょうか……」と肩を落とす。

 『アナログ』は公開3週目で観客動員数50万人を突破しているが、はたして『首』は『アナログ』を超えられるか――注目したい。

(文=本多 圭)

本多圭(ジャーナリスト)

芸能取材歴40年以上、タブー知らずのベテランジャーナリスト。主な著書に『 スキャンダルにまみれた芸能界のトンデモない奴ら』など。

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最終更新:2023/11/07 12:00
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