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紅白に続くか――若返りと負の遺産の払拭に奔走するレコード大賞の運営と大賞選考

紅白に続くか――若返りと負の遺産の払拭に奔走するレコード大賞の運営と大賞選考の画像1
NewJeans(写真/Getty Imagesより)

 12月30日にTBS系で生中継される『第65回 輝く!日本レコード大賞』(日本作曲家協会主催)の各賞が22日、発表された。

 注目の大賞候補10曲だが、いずれも大晦日の『NHK紅白歌合戦』に初出場を決めた女性4人組ダンス&ボーカルグループ・新しい学校のリーダーズの「オトナブルー」、3人組バンド・Mrs.GREEN APPLEの「ケセラセラ」、Adoの「唱」、レコ大の常連となった男性歌謡グループ・純烈の「だってめぐり逢えたんだ」などが入った。

 10曲のうちには、K-POPのガールズグループ・NewJeansの「Ditto」も選ばれたが、同曲の歌詞は韓国語と英語で、日本語詞ではない楽曲が選ばれるのは異例である。

 1979年には社会現象まで巻き起こした西城秀樹の「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」が海外楽曲のカバーであったため審査対象から除外された。また直近では2018年に大ヒットしたDA PUMP の「U.S.A.」がこちらも外国人による楽曲のカバーのため、受賞を逃した経緯があるからだ。

「これも時代の流れなのだろう。すでに、『レコード大賞』という名前自体が古くさいが、ここ数年、CDの売り上げのみならずダウンロードやストリーミングの再生回数も対象になっている。10曲のうち、『オリコン上半期ランキング2023』のCD売り上げ、デジタルダウンロード数と配信再生数を合わせた『合算シングルランキング』でトップ10入りしているのは『Ditto』のみ。トップ10入りしていた大賞獲得経験のある乃木坂46の『人は夢を二度見る』、乃木坂をしのぐ人気ぶりの日向坂46の『One choice』は選考から漏れた。さらに、大賞候補と目されていたYOASOBIの『アイドル』は同ランキングで4位だったが、『特別国際賞』の受賞にとどまった」(レコード会社関係者)

 レコ大といえば、1980年代は真剣勝負で賞レースが行われ、受賞のカギを握る審査員たちには秘密裏に各レコード会社や芸能事務所から“実弾(=現金)”が飛び交っていたと言われている。そして、90年代は芸能界の実力者らがしっかり調整を行い、デキレースと言われるようになっていった経緯がある。

「大賞受賞の絶対条件が当日の会場での生歌唱となり、大手レコード会社の持ち回りという様相で、毎年、審査員の満場一致で決定していた。さらに2005年に審査員の謎の焼死、2016年には一部で大手芸能事務所の1億円買収が報じられたことなどもあって、世間のレコ大に対する見方が変わっていった」(芸能記者)

 大賞は今年の紅白に14組を送り込み、レーベル最大勢力となっているソニーの歌手の楽曲が、2016年から20年まで5連覇を達成。また、21年はDa-iCEの「CITRUS」(エイベックス)、22年はSEKAI NO OWARIの「Habit」(ユニバーサル)が受賞するなど、レコ大運営サイドも負の遺産を払拭するかに見える。

「今年の大賞候補で“政治的”なもので入っているのは市川由紀乃の『花わずらい』ぐらいか。韓国でも人気のimaseの「NIGHT DANCER」が生中継で曲を披露する大賞候補に入るなど、NHKの紅白同様、明らかに若い視聴者層の取り込みを狙っている」(同)

 昨年の平均世帯視聴率はここ10年でワーストの10.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、第2部)。ひとケタに転落すればワースト更新となってしまうだけに、運営側も必死なようだ。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2023/11/28 09:00
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