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高校スポーツ界に広がる“留学生が強すぎる問題”駅伝は規制強化へ、次の競技は…

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箱根駅伝(写真/Getty Imagesより)

 2024年1月2日、3日と熱戦が繰り広げられる箱根駅伝。冬場は駅伝シーズンの本番だが、23年12月24日に行われた『第35回全国高校駅伝女子』で衝撃のシーンが見られた。最後のたすきリレーをトップで通過した仙台育英(宮城)は、アンカーに超高校級留学生のカリバ・カロライン選手が控える神村学園(鹿児島)に1分20秒差を付けていたが、カロライン選手は猛烈なペースで先頭を追い、ゴール前の最後の直線で抜き去ると、2位と1秒差でゴールイン。歴史に残る大逆転を達成したのだ。

「ケニア出身のカロライン選手は、1年生で3000mの日本の国内国際高校最高記録を更新し、2022年と2023年は2年連続でインターハイの1500mと3000mの2冠を達成。今年5月に3000mで出した8分40秒86というタイムは女子の日本記録とほとんど変わらず、“歴代最強の留学生”との呼び声も高い選手です。24日のレース後、仙台育英の最終ランナーが『優勝できると確信してスタートした』とコメントすれば、監督は『もうどうすればいいのか』と脱帽した様子。カロライン選手の実力はライバル校の関係者の想像を上回るものだったようです」(フリーのスポーツライター)

 高いレベル選手が加わることで切磋琢磨する気持ちが高まり、競技レベルは上がっていくもの。まさに見事というしかない快走だったが、来年からはレースの光景は少し変わる。

大会の実行委員会は大会同日、来年から留学生の出場を最短区間に絞ることを発表。留学生が勝敗に与える影響が大きすぎることから、区間制限という決定に至った。

「高校駅伝に留学生が登場したのは1990年代のこと。仙台育英が2人のケニア人留学生を擁して圧勝したため、“出場は1人まで”というルールが作られました。ところがその後、最長区間に留学生を起用して優勝するケースが続いたため“最長区間もダメ”というルールが登場。そして来年からは、ついに“最短区間のみ”になります。陸上長距離において日本と世界の差は大きく、箱根駅伝で留学生ランナーが活躍しているのは周知の通り。箱根には区間制限はありませんが、出場は1人だけになっています。一方、元日に行われる実業団大会のニューイヤー駅伝は“インターナショナル区間”を設け、外国人選手が出場できる区間はそこだけ。そうでもしないと勝負にならないので、制限をかけざるを得ない状況です」(同上)

 高校スポーツの留学生問題は、駅伝だけに限らない。

「留学生の影響が大きい競技の1つがバスケットボールです。男女を問わず、留学生選手の身長は日本人選手より頭1つ大きい。リバウンドは取り放題で、県大会レベルなら無双状態。留学生を擁するチームがインターハイやウインターカップを制するケースが相次ぐ一方で、留学生がいるチームを打ち負かすことを目標に掲げる高校も多く、デリケートな問題になっています。

 ラグビーでも留学生パワーは席巻しています。ラグビーはコンタクトスポーツなので、体が大きい選手が断然有利。こちらも留学生がいるチームが花園で着実に上位に進出しています。ラグビーW杯での日本チームの活躍は記憶に新しいですが、現場の指導者に話を聞くと、日本代表チームの外国人選手たちを見て、“結局は体が大きくないとダメなスポーツ”だと尻込みする生徒も少なくないそうです。

 ちなみにサッカーは昔から留学生が活躍し、数年前にはある高校がナイジェリアの年代別代表選手を呼んだこともありましたが、FIFA(国際サッカー連盟)の規定に触れる可能性があることから、公式戦出場は原則的に禁止になりました」(週刊誌運動担当記者)

 スポーツ基本法の冒頭には「スポーツは、世界共通の人類の文化である」という一文が記されているが、現場には現場の悩ましさがあるようだ。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2024/01/02 08:00
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