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令和ロマンを追い越せ! 人気芸人YouTubeチャンネル「登録者数20万人以下」の世界

【グルメ】カミナリ思い出のサロンで出された絶品コーヒーを完全再現! – YouTube

「私、YouTuberになりたい」
「熱でもあるの?」

 2014年に『THE MANZAI』(フジテレビ系)で博多華丸・大吉が披露した漫才の一節である。それから10年、芸人がYouTubeで活動することも、すっかり当たり前になった。

 かまいたち、霜降り明星、チョコレートプラネットなど、バラエティ番組の一線で活躍する芸人の公式チャンネルが軒並み登録者数200万人を突破し、テレビを見なくなった若い層へのアプローチに成功している。

 その一方で、積極的に更新を重ね、内容的にも充実しているにもかかわらず、なぜか伸び悩んでいるチャンネルもある。

 ここでは、登録者数20万人以下のオススメ芸人YouTubeチャンネルを紹介したい。なぜ20万人かといえば、先日の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で優勝したばかりの令和ロマンのチャンネルがちょうど20万人くらいだからだ。今、もっともアツい芸人を基準点として置いておきたい。

■Aマッソ公式チャンネル(18.1万人)

長いネクストブレイク期を経て、ようやく売れたAマッソ。チャンネル自体は2016年に開設しているが、19年ごろからオリジナルの企画を公開するようになった。初期から続く名物企画「面接官加納」は、どこの誰だかわからないクセの強い素人から、ワタリ119、ティモンディといった当時無名の若手芸人、さらには松竹時代の先輩後輩であるさらば青春の光・森田哲矢、みんなのたかみちらをゲストに招き、加納が圧迫面接を行っている。高圧的な態度を崩したくない加納と、天然回答や裏ネタで加納を笑わせようとするゲストとの駆け引きが楽しい。

また、アンガールズ・田中卓志やふかわりょうというワタナベの大先輩を招いて「テレビで売れるため」の講義を受ける企画では、田中の講師キャラが確立。Aマッソを差し置いて田中の『呼び出し先生タナカ』(フジテレビ系)ゴールデンMCにつながっていった。

現在のテレビではほとんど見られなくなった女性による女性への暴行も、このチャンネルの見どころのひとつ。学園祭では毎回キャットファイトを披露しているという2人の真骨頂と言えそうだ。

■カミナリの記録映像【公式】(12.6万人)

16年の『M-1』をきっかけにブレイクを果たし、茨城のローカルスターとして確固たる地位を築いているカミナリ。チャンネル開設は21年だが、バラエティあふれる企画でファンを楽しませている。

中でも出色だったのが、たくみがいたく気に入っている『ドンキーコング』のBGMを作曲したデビッド・ワイズという作曲家に会いに、イギリスに渡った企画。アポなしで自宅を訪ね、不在だったものの、近所の道端で偶然ワイズに出会い、インタビューに成功するという流れは多くの感動を呼んだ。

また、エロ方面に振り切っているのもカミナリYouTubeの魅力だ。地元のピンサロで出されていたというピンサロコーヒーを再現しようとしたり、新宿の“例のプール”でたくみにVRのAVを見せ、まなぶが局部を触るなどしながら、途中で映像を女優から母親に切り替えるなど、YouTubeならではの企画力が光る。

YouTubeならではといえば、2人がずっとタバコを吸っているのも印象的だ。

■ウエストランドのぶちラジ(6.81万人)

われらがウエストランドの「ぶちラジ」も紹介しないわけにはいかないだろう。チャンネル開設は13年。コンテンツとしての「ぶちラジ」は11年に始まっており、先日600回を迎えている。

22年に『M-1』を制覇したにもかかわらず、まるで増えない登録者。「人生が変わる」でお馴染みの『M-1』を勝ったのに、全然変わってなさそうな井口浩之の様子を眺める至福のひとときである。

基本的には愚痴と、パーマ大佐やバキバキ童貞や相方に対する悪口が中心だが、時おり視聴者からの相談に対して心の奥底にブッ刺さる人生訓のパンチラインが飛び出すのも「ぶちラジ」の魅力である。

『M-1』優勝当日に、あらかじめ準備してあっただろう漫才動画を配信。その中で「賞レースなんで手段なんだよ」と言い切っていた井口の姿は、いまだに忘れられない。

■山添ノ国(5.76万人)

相席スタート・山添寛が昨年開設した「山添ノ国」も注目のチャンネルだ。いまだ19本しか公開されていないが、「親友になりたい」という企画では「親友になるためにはお互い、言いにくいことを言うべき」というコンセプトで、第1回では担当マネジャーと悪口を言い合った。第2回では同期でかつてはルームシェアもしていたネルソンズ・青山フォール勝ちと対戦し、本当に雰囲気が悪くなる展開に。第3回では高校サッカー部の先輩後輩でもあるミキ・昴生を呼びつけ、罵倒合戦を繰り広げた。さらに第4回には山添をドッキリにかける形で、元カノであるプロレスラーの赤井沙希が登場。山添が困り果てることになった。

また、最近では「勢いのある若手を潰したい」として『M-1』優勝前の令和ロマン、神保町の有力株である9番街レトロを相手に、嫌味と理不尽を連発して吉本の先輩らしさを見せている。

 * * *

 先日放送された『令和ロマンの娯楽がたり』(テレビ朝日系)の中で、Aマッソ・加納の口から「芸人はいつまでYouTuberが再生回数回っても、悔しくないって思ってられるの?」という発言があった。

 Aマッソのチャンネルは、どちらかと言えばテレビでも使える企画としてアプローチしているように見える。一方のカミナリは、「仕事ではない」と割り切って好きなことだけをやっているように見える。ウエストランドの井口は「ぶちラジは仕事ではない」と毎回言いながら、「やるべきことを続けているだけ」に見えるし、山添はテレビでのキャラクターを補完・増強するための活動に見えた。

 伸び悩み芸人チャンネルの動画にゲラゲラと笑いながら、時代の変わり目をひしひしと感じることになった。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2024/01/03 19:44
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