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『ブラタモリ』も『ふしぎ発見』も今春終了、“まともな番組”が消えるテレビ界

『ブラタモリ』も『ふしぎ発見』も今春終了、まともな番組が消えるテレビ界の画像1
写真ACより

 卒業シーズンはテレビ業界もお別れの時期。番組改編に合わせて、今年も多くの番組がその歴史に幕を下ろすが、今春の特徴は、家族そろって安心して見られるような番組が相次いで終わりを迎えることだ。

 タモリが神出鬼没に全国各地に出かける『ブラタモリ』(NHK)は、レギュラー化から15年目で終わり、各界の著名人が講義を行う『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)は放送20年目で、ミスタリーハンターが世界を巡る『世界・ふしぎ発見!』(TBS系)は38年目で終了。各局を代表する長寿番組が、まもなく最終回を迎える。

「『世界一受けたい授業』は、PTAが選ぶ『親が子に見せたい番組』で、2006年から6年連続で1位を獲得。楽しく学べる番組として定評がありましたが、近年視聴率は低落傾向にあり、20年目の節目が打ち切りのタイミングになりました。30年以上も続いた『ふしぎ発見』も視聴率は下がり気味でしたが、気の毒だったのはコロナ騒動です。売りである海外ロケができなくなってしまい、番組のパワーが一挙にダウン。昨年4月からは番組の顔である草野仁に替わって、フリーアナの石井亮次を総合司会に迎える荒療治を行いましたが、数字は上向くことなく、ついに終了を迎えることになりました。一方、『ブラタモリ』は状況が異なり、特番の可能性があります。こちらは毎週確実に視聴率2ケタをキープする超優良コンテンツで、NHKはまだまだ続けたかったはずですが、来年80歳のタモリが長時間にわたって野外ロケを行う現状の収録方法はそろそろ限界。NHKは特番で続けることに含みをもたせており、何とかタモリに負担がかからないようなスタイルを模索するようです」(テレビ情報誌記者)

 テレビが“一家に1台”から“ひとり1台”あるいは“テレビは見ない”となった今、“家族で楽しめる番組”という発想自体が時代遅れなのかもしれないが、老若男女が同時に楽しめる番組を作るために重ねた苦労は、並大抵ではなかったはずだ。テレビマンの間では、こういった番組が終わることで、“いよいよテレビも終わり”という声さえ上がっているという。

「『ふしぎ発見』や『世界一受けたい授業』は、他の番組のスタッフがうらやむほどお金や手間が掛けられており、やっかみの声が上がる一方、目標でもあった。『ふしぎ発見』は地球上のあらゆる場所が舞台でしたし、『世界一受けたい授業』には昨年、岸田文雄首相が講師として出演しました。現役首相がバラエティ番組に出演するのは異例中の異例で、そのことだけでも番組の格が分かります。番組作りに携わる若手たちは、頑張り続けていれば、いつか夢のようなことができる贅沢(ぜいたく)な番組を作らせてもらえると誰もが信じていました。しかし、そういった夢のある番組は次々と終わり、番組作りのスケールはどんどんと小さくなるばかり。制作現場の士気は下がる一方です」(キー局関係者)

 中でも厳しい目で見られているのが、『ふしぎ発見』の後継番組だ。まだ正式発表には至っていないが、一部報道によれば、昨年12月に特番で放送された『いくらかわかる金?』が内定しているとのこと。ハライチ澤部佑がMCで、お金に関する調査や検証の結果をクイズ形式で出題するという番組だが、『ふしぎ発見』のファンにマッチするかどうかはいささか怪しい。

「『いくらかわかる金』の特番でやったのは、コストコに張り込んで一番購入金額が高い人を探したり、くら寿司で大食いファミリーが好きなだけ食べた金額を当てたりといったもの。クイズという形式を取っていますが、要するに企業の宣伝番組です。最近は、チェーン店やスーパーに詳しいマニアがオススメ商品を紹介したり、企業潜入と称して新製品やサービスを紹介したり、企業のPRのような番組が本当に多いですよね。代表的なのは、『ジョブチューン』『坂上&指原のつぶれない店』(TBS系)、『ウワサのお客さま』(フジテレビ系)などですが、あの手の番組は制作費が抑えられますし、上手くいけばCM出稿も期待できる。『ふしぎ発見』の代わりに、そういう番組がまた1つ増えるということです」(民放バラエティ番組制作関係者)

 あえなく“ボッシュート”となる予感がプンプンと漂っているが、超売れっ子の澤部の腕で前番組なみの長寿番組になれるだろうか。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2024/03/09 09:00
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