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山口組分裂騒動の長期化の一因は「離脱勢力のさらなる分裂」…それでも終焉は近い!?

特定抗争指定を受ける以前の山口組本部前の様子。定期会が開催される際には多くのマスコミが集まっていた。
特定抗争指定を受ける以前の山口組本部前の様子。定期会が開催される際には多くのマスコミが集まっていた。

 今年の夏を迎えれば、衝撃的だった山口組の分裂からまる9年が経過する。当時、この問題が長期化し、今日のような状況が生まれていることを誰が予想することができただろうか。この間、六代目山口組と袂を分かった神戸山口組は、覇権を握るどころか、内部から離脱に次ぐ離脱が起こり、事実上の空中分解。その神戸山口組から離脱したそれぞれの組織も勢力を衰退させ続けている。

 9年前は、ヤクザニュースなどを取り扱わないメディアまでもが、山口組分裂騒動を流し続けた。中でも、判官贔屓も相まって、神戸山口組に対して、連日スポットライトが当てられ続けていた。

 「今では考えられないことですが、派手な抗争事件だけではなく、組員の移籍や引き抜きなんてものも、関西地方を中心にお昼のワイドショーで流していました。理由は簡単で、とにかく数字が稼げたんです。視聴者もそれだけ当時は興味津々でしたしね。特に注目されたのは、神戸山口組の織田さん(織田絆誠・現絆會会長)でした。織田さんが移動する際は、レポーターが改札まで追いかけて行ってたくらいですから」(テレビ局関係者)

 多くのマスメディアは、神戸山口組贔屓の報道を展開させ、SNSには神戸山口組を応援する書き込みが多数寄せられた。その勢いは、六代目山口組に決して劣らないほどと見られていたのだ。

「状況が変わった原因はいくつかありますよ。一番は髙山若頭(髙山清司・六代目山口組若頭)の出所でしょうね。仮に織田さんが神戸山口組から離脱していなくても、後に髙山若頭が与えた影響力を考えれば、こうなっていたと思います。六代目の司忍組長は山口組のトップであり、シンボル的な存在で、現場の指揮官といえば髙山若頭です。神戸山口組としては髙山若頭が出所してくるまでに、自分たちの存在を認めらさせるための何らかの規定なり、協定なりを六代目山口組と結んでおきたかったのではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 それが先にも述べたように、神戸山口組内部に生じた軋轢が事態を悪化、長期化させていくことになった。

 「結局、ヤクザ社会の道理においては、本家が正しかったということ。これまでの山口組の歴史がそれを証明している。過去にも山口組から抜けて勢力を維持し続けた組織はどこにもない。ただ、ここまで長引くとは誰も予想はしていなかったのではないか。山一抗争(山口組と、山口組から脱退した勢力によって結成された一和会との抗争。1984年に勃発)でも4年で終結している。それが、今回は勢力の差が一目瞭然でありながら、もうじき9年だ。実際、神戸山口組の活動実態なんて誰にもわからないだろう」(業界関係者)

 神戸山口組だけではなく、同組織から離脱した絆會、池田組にしても、組織の活動内容は不透明となっており、つい先日も関連施設に手榴弾が投げ込まれるなど不穏な空気は漂い続けている。

「法的の解釈で考えれば、神戸山口組が解散し、トップである井上邦雄組長が引退すれば、特定抗争指定団体からは外れると思われますが、六代目山口組サイドとしては、それですべての決着ということにはならないのではないでしょうか。絆會と池田組、それに二代目宅見組の処遇、つまりそれらを組織的に壊滅させてこそ、分裂騒動は終焉になるわけです。逆に言えば、神戸山口組だけでなく、そこから離脱したそれぞれの組織が解散しない限り、今後も六代目サイドからの暴力の行使があり得るかもしれません」(法律に詳しい専門家)

 六代目山口組から抜け出た組織がすべて解散したときが、長きにわたる分裂騒動の終焉となるというわけだが、その日は突如として訪れるだろうか。もしくは、さらなる歳月が費やされるのだろうか。あるマスコミ関係者は、このように漏らしていた。

 「山口組といえば、神戸市灘区にある山口組総本部が拠点であり、象徴だった。ここで月に一度、定例会が総本部で開催されるのですが、その内容は下部組織の事務所に行けば、ある程度は取材することができました。それは当局も同じだったと思います。ところが今では、いつどこで集まっているかすら、なかなか掴めない。もともと山口組が正式に取材に対応してくれることはありませんでしたが、施設に出入りする人たちの雰囲気で察したりすることができました。総本部前に全国から高級車に乗った親分衆らが集結してくる時は迫力がありました。ただ、2020年に特定抗争指定を受け、総本部が使用禁止になって以降は、そんな様子も見られなくなりました」

 山口組の組員にとっての聖域といわれる総本部は、今もまだ使用を禁じられている。そこに再びマスコミが集まる日が来るとすれば、それは分裂騒動の幕が降りていることを意味するのだろう。

(文=山口組問題特別取材班)

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

やまぐちぐみもんだいとくべつしゅざいはん

最終更新:2024/05/05 14:00
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