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エロすぎる"女性向け官能小説"【1】

乙女小説にエロ表現を用いたタブー破りのレーベル「ティアラ文庫」が売れる理由

──少女マンガコーナーの一角に並べられる”少女小説”。これまで”少女が憧れる”さわやかなストーリーを描くことが常だったが、昨年誕生した「ティアラ文庫」には、これまでタブーとされていた”性描写”が積極的に取り入れられ、多くの女性に支持されているという。その理由とは一体?

1008_cover_otome.jpgティアラ文庫の公式HP。

 未成年の女性を読者に想定した、文芸の一分野「少女小説」。80年代後半に「集英社文庫コバルトシリーズ(現コバルト文庫)」や「講談社X文庫ティーンズハート(06年に刊行終了)」などのレーベルが巻き起こした”少女小説ブーム”の中、男女のプラトニックな恋物語が楽しめるライトノベルとして、人気を博していた分野だ。ところが、90年代初頭になると、女性向けに男性同士の恋愛を描く「ボーイズラブ(以下、BL)小説」が普及し、ブームはあえなく終焉。近年では”純粋系”少女小説は鳴りを潜めてしまった感が否めない。

 しかし、そんな少女小説業界に新風を吹かせたのが、フランス書院発売、プランタン出版発行により、昨年6月に創刊されたレーベル「ティアラ文庫」だ。「キスだけじゃ終わらない。新・乙女系ノベル」をコンセプトに、性描写のある少女小説を月に2〜3冊のペースで刊行。出版物の取次販売会社・大阪屋発表の文庫本週間売り上げランキングにおいて、「少女小説は2週続けてランクインすれば及第点」といわれる中、ほぼすべての作品が2〜3週にわたるランクインを果たす人気ぶりだ。

 これまで少女小説界では「キスより先は描かない」という暗黙の了解があった。その”タブー”を破り、ティアラ文庫を立ち上げた経緯を、副編集長のM氏は次のように語る。

「『少女小説』『BL小説』『ロマンス小説』という3つの”女性向けの恋愛小説”の特性をそれぞれ生かしつつ、以前から私が『こうすれば、もっとおもしろくなるのに』と感じていた部分を反映した小説がつくりたいと思ったんです。まず『少女小説』では、キスより先の展開があまり描かれない状況の中、それを望んでいる女性読者もたくさんいるだろうと。次に『BL小説』では、あえて男性同士にすることで、主にセックスの時に受動的な役割を担う”受け”と能動的な役割を担う”攻め”の両方に共感できるという特性を、男女でも生かせるのではないかと思いました。そして、最も意識したのがハーレクインに代表される『ロマンス小説』。ハーレクインは書き手が西洋人であるため、登場人物の思考やセリフが日本人の感性に合わないと感じることが多かったのですが、それなら日本人の作家が書けば、たとえ登場人物は西洋人のままでも、日本人が受け入れやすいロマンス小説になるのではないかと考えました」

 確かにティアラ文庫には、フランス宮廷を舞台に国王の忠臣と公爵夫人による禁断の恋が描かれる『薔薇と狼姫 ヴェルサイユ・ロマンス』【1】などをはじめ、王道のロマンス小説を彷彿とさせる作品が目立つ。しかし、本来ロマンス小説の読者層は、少女小説の読者層よりも世代が上になるのではないのだろうか?

「読者の年齢層は、特に想定していません。ただ、創刊のきっかけになった『少女小説』『BL小説』『ロマンス小説』の読者の方々が、より楽しんでいただける作品にすることは念頭に置いています。そのため、作家さんの傾向も大体その3タイプに分けられるんですよ。例を挙げると、『華の皇宮物語』【2】の剛しいら先生は、『少女小説』の特性を考えてお書きになるタイプ。『ヴァンパイア・プリンセス』【3】の水戸泉先生は、『BL小説』の特性を考えてお書きになるタイプです。お2人共、もともとBLの分野でもご活躍されていらっしゃる先生方なんですよ」(同)

 厳密に解釈すると、ティアラ文庫は従来の少女小説の枠にとらわれない、まさに”新・乙女系ノベル”のレーベルということになる。とはいえ、書店では「コバルト文庫」などの少女小説レーベルと共に陳列されており、また、装丁に少女マンガ風のイラストを使用していることもあって、やはり読者層で最も多いのは10代の女子なのだという。

最終更新:2010/07/15 18:00
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