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【元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第94回】

「地デジ普及率95%」はウソ!? 総務省アンケートのトリックにポストが斬り込む!

motoki110606.jpg「週刊ポスト」6月17日号中吊り広告より

第1位
「あと50日足らず『地デジ化率95%』の重大疑惑」(「週刊ポスト」6月17日号)

第2位
「史上空前の大アンケート 原発やめますか、続けますか」(「週刊現代」6月18日号)

第3位
「激撮スクープ!自民党代議士 後藤田正純『ハレンチすぎる不倫!』」(「フライデー」6月17日号)

 永田町では国民をないがしろにした「バカとアホウの絡み合い」が延々と続いている。総理の座にしがみつく菅直人はぶざまだが、そんな人間のウソを見抜けなかった鳩山由紀夫、小沢一郎も同類である。

 菅を辞めさせるのはいい。しかしその後、民主・自民で大連立を組むのはやめさせなければいけない。確かに復興支援法など緊急を要する法案が成立しやすくはなるだろうが、まっとうな野党といえば共産党しかいないとなれば、与党の政治屋たちの私利私欲で、彼らに都合のいい復興プランや原発収束になるのは目に見えている。

 NHKのスクープだと思うが、原子力安全委員会の班目春樹委員長が、国の原子力安全指針が1990年に改定され、そこでは全電源喪失の場合をまったく想定していなかった、また、そのような対策も取られていなかったと白状した。その上、今回の原発事故は「人災」だとはっきり認めたのだ。

 ここまで来たら、菅首相辞任後、多少の政治空白はできても、復興対策、消費税増税か否かを争点に、解散・総選挙をやるべきだろう。

 政治家への憤りを並べ立ててきたが、カミソリと言われた故・後藤田正晴代議士を大叔父に持つ後藤田正純自民党代議士(41)の破廉恥行為にもあきれ果てる。

 後藤田が所属する自民党内で、内閣不信任案提出の機運が高まっていた5月23日の夜、彼はこっそり銀座の中華料理店で高級クラブの美人ホステスと食事していた。その後、彼女のクラブへ同伴。

 そこに5時間も長居した後、彼女と六本木のバーへ向かう。そのバーのカウンターで、周囲も驚く痴態を繰り広げ、その揚げ句、彼女がトイレに立った後に続いて一緒に入ってしまったのだ。このトイレは男女共用。そこから20分以上も出てこなかったと書いている。

 まだまだ続きがある。早朝4時過ぎにバーを出た2人は、そのまま赤坂の議員宿舎に入っていったのである。彼女が出てきたのは朝8時ごろ。その5時間後、本会議場で眠りこけている後藤田議員の姿も「フライデー」はバッチリ撮っている。

 2004年に結婚した女優・水野真紀とは不仲説もあり、現在、別居状態だという。「フライデー」の直撃を受けた後藤田議員、神妙に、今の役職はすべて辞めるとして、こう話す。

「私はフライデーさんに撮られて良かったとも思っているんですよ。これを機会に、本当に反省して、出直さないと」

 むかしむかし国会議員のことを「選良」と言った時代があったが、今では死語である。

 今週の第2位は、かけた労力だけはすごかったと思われる「現代」の記事。一流企業のトップ100人、有識者50人に「原発をやめるか、続けるか」アンケートをしている。

 三菱重工からソニー、東芝、三井物産、読売新聞まで聞いたようだが、社長自ら選択肢を選び、コメントも寄せたのは100社中22社。

 中にはアンケートを受け取らなければよかったと言われた社もあったそうだが、私から見ると、回答数は意外に多かったと思う。

 こうした状況の中で条件付きでも稼働すべきと答えるのは、なかなか勇気がいるのではないか。その勇気ある会社は、他の大手ゼネコンが手を引いたにもかかわらず、東京電力福島第一原発の処理を引き受けて、多くの作業員を派遣している清水建設をはじめ、大和ハウス、東芝、東レ、富士フイルムHD、森ビル。

 富士フイルムHD社長の古森重隆社長はこう回答している。

「国内発電の3割を占める原発を代替するエネルギー源の確立には時間がかかる。次世代のエネルギー開発を進めながら、その安全性の向上を図り、自然災害への備えも含め徹底的に検討すべき。世界的な原発安全基準の設定も必要」

 有識者の中で条件付き稼働派は、有馬朗人元東京大学総長、池谷裕二東京大学大学院薬学系研究科准教授、岡本行夫(外交評論家)、竹内薫(サイエンス作家)、外山滋比古お茶の水女子大学名誉教授、堀田力さわやか福祉財団理事長、森永卓郎(経済アナリスト)などがいる。編集部の諸君、ご苦労さまでした。

 今週の第1位。地デジ完全移行の日が迫っているが、まだまだ移行していない人が30%はいるのではないかと、遅らすべきではないかと疑義を呈している「ポスト」の記事。

 大震災や原発事故で、本来ならもっと議論されるべき問題が、国民的な合意もないまま通ってしまっている。大相撲の八百長問題もそうである。まだ完全に片付いたとは思えない八百長問題だが、相撲協会は名古屋場所開催を強行することで、けりをつけようとしている。それを後押しするようにNHKの中継が決まってしまった。

 菅直人首相の在日韓国人からの違法献金問題もうやむやになったままである。

 完全地デジ化移行は、被災地3県を除き、あと50日足らずで強行される。その根拠は「ポスト」によれば、昨年12月に実施され、今年3月に発表された総務省によるアンケート調査で「地デジ普及率95%」という数字が出たからだが、この数字自体が怪しいというのだ。

 第1の問題点は、このアンケート調査では、母集団から約260万もある80歳以上の高齢者世帯が除外されている。

 第2に、この調査は、固定電話を持っている人だけに電話をかけ、答えるという返事をもらった人にアンケートを送付していることだ。いまや携帯電話やIP電話保有者が増え、固定電話の普及率は全世帯の35%なのに。

 そこで「ポスト」編集部がもろもろ試算してみると、一般家庭のテレビの約30%が地デジ対応ではないとみられるという。また、地デジ対応テレビを持っていても、アンテナをVHFからUHFに交換していない、UHFアンテナの向きを調整する工事をしていないなどの世帯がかなりあると思われるのだ。

 私事で申し訳ないが、わが家にあるテレビは6台。そのうち地デジ対応テレビは3台あるが、アンテナを取り替えていないから、このままいけば7月24日を過ぎると地デジ難民になる。

 カネがもったいないということもあるが、そもそも郵政省(現総務省)と組んで、故・氏家齊一郎日本テレビ社長(当時)が中心となって、キー局温存と民放ローカルネットワーク網維持、テレビメーカーの金もうけのために始めたことに、なぜわれわれが不必要な費用を負担させられるのか、いまだ納得がいかないからである。

 7月24日が過ぎたら、何も映らないテレビを眺めながら、子どものころ、テレビがない時代があったことに思いをはせるのも一興ではないだろうか。そう今は思っているのだが。
(文=元木昌彦)

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

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最終更新:2011/06/07 11:40
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