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「snoozer」「ぱふ」……およそ200誌 2011年休刊雑誌クロニクル

snoozer2011xl.jpg「snoozer」最終号

 言わずもがな不況続きの出版業界。「Kindle」や「iPad」が華々しく登場し、「次は電子出版の時代だ!」とその一筋の光に数々の出版社が先行投資するも、フタを開けてみれば継続的に売れているのは携帯電話向けのエロ漫画くらいのもの。電子書籍が広まっている欧米と違い、日本人はエロでヲタクな電子化にしかお金を落とさない現状……。

 そんな中、今年は「ぴあ」(ぴあ)、「PS」(小学館)、「MISTY」(実業之日本社)、「この映画がすごい!」(宝島社)、「PC fan」(毎日コミュニケーションズ)をはじめ定期刊行物がバタバタと休刊・廃刊。2011年のその数は、メジャー誌から専門誌までおよそ200誌にも及ぶ。今は亡き雑誌たちを、敬意を表していくつか思い起こしてみたい。

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●「Hana* chu→(ハナチュー)」
(主婦の友社/4月1日発売号にて休刊)

 「花の中学生」が由来の誌名で2003年に創刊。成海璃子や北乃きい、南明奈らがモデルを務め、全盛期は約15万部を発行。しかし競合誌である「nicola」(新潮社)、「ラブベリー」(徳間書店)、「ピチレモン」(学研パブリッシング)との四つ巴の戦いに負け、発行部数は約半分まで落ち込んでしまった。


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●「snoozer(スヌーザー)」
(リトル・モア/6月18日発売号にて休刊)

 「渋谷系」の名付け親としても知られる音楽評論家の田中宗一郎氏が1997年に創刊した隔月刊誌。日本のアーティストではくるりをよく取り上げ、終刊号の表紙も彼らであった。ちょっと引くくらいにアーティストに心酔するような文体は、良くも悪くも独特。それは田中氏による休刊の挨拶からも十分伝わるだろう。「どれだけ客観的に見ても、ここ十数年、こんなにも熱烈に愛され、必要とされた雑誌はなかった。時として我々は、あなたのことを家族よりも近しい存在のように感じていました」とか。


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●「ぱふ」
(雑草社/6月30日発売号にて休刊)

 少女漫画やBLを中心に漫画情報全般を取り扱う月刊誌。同人誌即売会のスケジュールなども掲載されており、30年以上に渡り腐女子のバッグにヌルッと忍ばされていた。休刊理由は明らかではないが、雑草社の他の刊行物もほぼ同時期に休刊しているため、版元の倒産が噂されているが真相は不明。ちなみに、”けもこびる”ことデビュー前の高橋留美子先生なども同誌で作品を発表していた。


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●「お笑いポポロ」
(麻布台出版/8月6日発売号にて休刊)

 アイドル誌「ポポロ」の姉妹誌として2002年に創刊。女子中高生向けにお笑い芸人をアイドルのように取り上げ、主にインタビューを掲載していた。「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)などネタ番組の終了を追いかけるように休刊。


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●「PopSister(ポップシスター)」
(角川春樹事務所/9月17日発売号にて休刊)

 ギャルファッション誌「Popteen」のお姉さん雑誌として創刊。専属モデルに益若つばさ、菅野結以、小森純などのカリスマモデルが多数いたが、数あるお姉ギャル誌に押され約1年半の歴史に幕を閉じた。


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●「GAKUMANplus(ガクマンプラス)」
(小学館/10月3日発売号にて休刊)

 2009年に休刊した「小学五年生」及び「小学六年生」の事実上の後継誌として、2010年春に創刊。「世界初(!?)の学習まんが専門誌!!」を謳い、『名探偵コナン』の青山剛昌先生や『Dr.コトー診療所』の山田貴敏先生など豪華執筆陣が連載していた。TVCMも多く放送されたが、1年半足らずで休刊。小学館の代名詞でもある小学生向け学習誌は、このまま廃れてしまうのだろうか。


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●「原子力eye」
(日刊工業新聞社/10月8日発売号にて休刊)

 創刊は原子力基本法が制定された1955年。57年もの長きに渡り、原子力界をリードする専門誌として原子力発電を中心に、医療や食品などの放射線利用など幅広く取り上げてきた。版元サイトの「福島第一原発事故はなお深刻な状況が続いています。(中略)こうした重大局面で、休刊のやむなきに至ったことは残念でなりません」との文面に胸が痛む。ちなみに終刊号の特集は「原子力の解体的な再出発への提言」「汚染地域の本格的な除染に向けて」。


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●「歌謡曲ゲッカヨ」
(ブティック社/11月24日発売号にて休刊)

 1979年に「月刊歌謡曲」として創刊。「歌いたくって仕方がないヴォーカル・フリークのための日本一ハッピーに歌える元祖譜面雑誌!!」を謳い、流行のJ-POPを中心に300曲以上を掲載していた。小室ファミリー全盛期など流行歌がはっきりしていた時代には部数を伸ばしたが、人々の音楽の趣向も多様化してしまい部数が激減してしまった。


 最後に、”決して雑誌が悪いわけではない! 買わない消費者が悪いのだ!”……と、何となくフォローしたところで、いつか復活できるその日までどうか安らかにお眠りください(合掌)。
(文=林タモツ)

サイゾー 2011年 12月号

サイゾー買ってください!!

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最終更新:2013/09/10 10:38
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