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注目度No.1! ヴェネチアが認めた若き才能がぶつかり合う『ヒミズ』

m0000000656.jpg(C)『ヒミズ』フィルムパートナーズ

 正月休みの余韻がまだ残る時期ではあるが、そろそろ気持ちを入れ替えて新しい一年を本格始動させたい。そんな思いに弾みをつけてくれそうな、アツいメッセージがガツンと胸に響く新作映画2本を紹介しよう。

 1月14日に公開される『ヒミズ』は、古谷実の同名コミックを鬼才・園子温監督が実写映画化した作品。貸しボート屋に暮らす祐一は、「普通の大人」になることを願う15歳。身勝手な両親と、借金取りの男たちによって、祐一は次第に追いつめられていく。やはり両親から愛されない同級生の景子は、思いを寄せる祐一に猛アタックし、疎まれながらも祐一を支えようと奮闘。だが、そんな日々を一変させる事件が発生する。

 撮影準備期間中に東日本大震災が起き、園監督は設定を「震災後の日本」に急遽変更。葛藤の末ロケを敢行したという被災地の光景に、思わず息を飲む。祐一役の染谷将太と景子役の二階堂ふみは、園監督の厳しい演技指導に全身全霊で応え、絶望の淵に立ちながら「生」に向き合う若者を好演。昨年の第64回ヴェネチア国際映画祭で、そろって新人俳優賞を受賞するという快挙を成し遂げた。長い苦悩と絶望の果てに訪れる、ラストの激走と絶叫は、震災という悲劇を体験し将来に不安を覚える今の日本人すべてに送られるエールに違いない。

 同じく1月14日に封切られる『マイウェイ 12,000キロの真実』は、第2次世界大戦中のある東洋人兵士の実体験に着想を得た壮大な戦争ドラマ。日本占領下の朝鮮半島で幼い頃に出会った辰雄とジュンシクは、マラソンのライバル同士として成長するが、ノモンハンの戦場で関東軍の上官と部下として再会。ソ連軍との戦闘に敗れ捕虜になった2人は、収容所での強制労働を経て、ソ連兵としてヨーロッパの対ドイツ戦線へ。凄惨な戦闘を生き延びた辰雄とジュンシクは、ドイツ側への亡命を試みるが、さらに過酷な試練が2人を待ち受けていた。

 メガホンをとったのは、『シュリ』(2002)『ブラザーフッド』(04)のカン・ジェギュ監督。韓国映画史上最大額の製作費25億円を投入、広範に及ぶロケ地でリアルな戦場を再現し、大迫力の戦闘シーンと時代に翻弄される人間の生き様を描き切った。主演のオダギリジョーとチャン・ドンゴンは、互いに反目しながらも一緒の部隊で戦い、やがて心を通わせるようになる2人の兵士をそれぞれ熱演。中国人スナイパー役のファン・ビンビンも鮮烈な存在感を放っている。「アジアの戦争映画もここまで来たか!」と感嘆させられるスケール感に満ちた映像と、数奇な運命を走り抜いた男たちの感動のストーリーを、ぜひ映画館の大スクリーンで堪能してほしい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『ヒミズ』作品情報
<http://eiga.com/movie/56356/>

『マイウェイ 12,000キロの真実』作品情報
<http://eiga.com/movie/55982/>

冷たい熱帯魚

でんでんがキーパーソン。

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最終更新:2013/09/09 19:40
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