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リアルな息詰まる心理戦! 目と耳で堪能する芸術作品『裏切りのサーカス』

m0000000682.jpgJack English (c) 2010 StudioCanal SA

 今週は、英国発のスパイ映画に米国産のコメディー映画という、それぞれお家芸的なジャンルの蓄積を土台にしつつも現代的な表現を取り入れることで普遍的な魅力を獲得し、本国をはじめ世界中で高い評価を得ている大人向けの新作2本を紹介したい。

 現在公開中の『裏切りのサーカス』(R15+指定)は、英諜報部に所属したキャリアで知られるスパイ小説家、ジョン・ル・カレの代表作を映画化したスパイスリラー。英国の対外諜報部「サーカス」は東西冷戦時代、ソ連のKGBと水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた。二重スパイの情報を求めてハンガリーに派遣した工作員が撃たれたことで、責任を取ってリーダーと共にサーカスを去ったスマイリー(ゲイリー・オールドマン)。失意のスマイリーはある日政府の次官に呼び出され、サーカス最高幹部4人の中にいる二重スパイを突き止めろ、との極秘指令を受ける。

 本作で今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたオールドマンをはじめ、昨年の同賞を『英国王のスピーチ』(2010)で受賞したコリン・ファースや、『エレファント・マン』(1980)のジョン・ハート、『ミュンヘン』(05)のキアラン・ハインズといった英国を代表する名優たちが、息詰まる心理戦を抑制の利いた演技で渋く表現。スウェーデンの凍てついた空気感を巧みに映像化した『ぼくのエリ 200歳の少女』(08)のトーマス・アルフレッドソン監督が、本作でもシックな色調と緊張感漂う画面構成、ジャズとストリングスのスタイリッシュなBGMにより、「目」と「耳」で堪能する芸術作品に仕上げた。スパイ映画といえば『007』や『ミッション:インポッシブル』といった人気シリーズのように、イケメンのスパイが銃撃戦やカーチェイスなど派手な大立ち回りを演じる娯楽アクション大作のイメージが強いが、『裏切りのサーカス』はそうした誇張されたフィクションとは一線を画し、「現実の諜報戦とはこういうものなんだろうな」と思わせる、まさに“本格”の味わいだ。

 お次の『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(4月28日公開、R15+指定)はガラリと雰囲気が変わり、花嫁介添人(ブライズメイド)たちが巻き起こす騒動を描いたコメディー。ミルウォーキーに住む30代独身のアニーは、手作りケーキの店を開業するも失敗、恋人には捨てられセフレがいるだけという、人生行き詰まり状態。婚約した親友リリアンから花嫁介添人のまとめ役を頼まれ、喜びと寂しさが相半ばする心境で大役を引き受けるが、クセ者揃いの介添人たちをまとめるどころか、奮闘が空回りして自らトラブルを連発。混迷を極める自身の人生とリリアンの結婚式準備に、果たして光は差すのか……。

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