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ITライター柳谷智宣の「賢いネットの歩き方」第21回

過去最大級の出会い系の温床に!? 若者を中心に大人気の「LINE」に忍び寄る暗い影

20130711.jpgイメージ画像

 中高生を中心に大人気のコミュニケーションツール「LINE」。現在、ユーザー数は1億5,000万を超え、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。それと同時に、大人と児童が手軽に出会えるツールとしても利用されており、多数の事件を引き起こしている。


 実際、今年だけでも数え切れないほどの逮捕者が出ている。1月8日には愛知県で、児童買春などの疑いで会社員3人が逮捕された。14~16歳の少女とLINEで知り合い、関係を持ったという疑いだ。3月11日には32歳の会社員がLINEで知り合った15歳の女子高生とホテルで関係を持った。その後、クルマの助手席に乗せているときに検問で引っかかり、職務質問のうえ逮捕されている。さらに悪質な事件も起きている。LINEで知り合った女子高生に睡眠薬を飲ませて乱暴した32歳の男が、京都府警に逮捕されている。合意・非合意にかかわらず、表に出ているのが氷山の一角であることは間違いない。

 これまでも、無料掲示板からSNSまで、出会い系に使われるサービスはあったものの、LINEは規模が違う。スマートフォンが若年層まで広がったうえ、手軽に使えるサービスとあって、これまでにないほど中高生のユーザーが増えているのだ。また、友だちになるにはLINE IDを交換する必要があるが、それを媒介するサービスが多数登場したことも大きな原因だ。それらの無料アプリをインストールすれば、すぐに女子中高生の投稿をいくらでも閲覧できる。中には「¥」「さぽ」など、露骨に援助交際を求めている投稿もある。そこでIDをコピーし、LINEアプリで連絡を取るという仕組みだ。

 先月末、LINEの出会い系アプリ「L!マッチ」を提供している業者が、京都府警の要請でアプリストアからの削除に応じた。これは全国初のことで、取り締まりに向けたいい流れではある。とはいえ、この手の事件が掲示板で取り上げられると、「裏山死刑」「動画はどこ?」といったコメントが殺到する。大人にもお金が欲しい児童にも大きなニーズが存在するため、徹底的に対応しないと、駆逐するのは難しいだろう。LINEも大いに頭を悩ませている問題だとは思うが、このままずるずるユーザーを増やしていくと、パブリックエネミーに祭り上げられかねない。

 まずはAppleやGoogleと協力し、仲介アプリを根絶。セキュリティサイトと連携し、出会いサイトをNGサイトとして登録してもらったり、警察の取り締まりもさらに強化し、誘いをかける児童側にも罰則を設けるといった対処も必要だろう。児童ポルノ根絶に関して見当違いの運動を必死に行っている政治家や慈善家には、ぜひその労力を目の前にある事件を減らすために使ってもらいたいものだ。
(文=柳谷智宣)

最終更新:2013/07/12 16:30
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