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配達のために“2階から飛び降りて骨折”する配達員まで!? 中国成長産業の光と闇 

chinatakkyuubin.jpgイメージ画像(「NBD」より)

 お歳暮やクリスマスシーズンまっただ中の日本では、陸運業界の人手・車両不足による遅配が問題となっているが、お隣中国では責任感の強すぎる配達員による、まさかの事故が発生した。


 毎年11月11日、光棍節(独身の日)の前後はネットショッピングでセールが行われ、国内の物流は繁忙期を迎える。そんな中、一人の配達員の多忙と疲労はピークに達していた。

 11月23日午前、青島市北区で配達業務を行っていた25歳の男性配達員が突然、ある集合住宅の1階と2階の間にあるベランダから飛び降り、右ひざ下を骨折した。過労自殺しようとしたわけではない。男性配達員によると、「その集合住宅への配達を終え、下に降りたが、入り口の門が開かなかった。次の配達に遅れてはならないと、焦って飛び降りた」という。

 その場に居合わせた近隣の住民が救急車を呼んだが、この配達員は救急車の到着を待つ間、携帯電話で次の配達先に遅配を詫びる連絡を入れることを忘れなかった。

 この事件に対し、ネット上ではさまざまな反響がある。中国版Twitter「微博」では、「こんな責任感の強い人物は、官僚にでも引き立てるべき」と配達員を賛美する声がある一方、「社員をそこまで追い込む会社が怖い」と、労務環境を問題視する向きもある。

 中国国内の電子商取引が飛躍的に発展する中、陸運業界、特に速達業務は新たな成長産業として認知されつつある。毎年50%の売り上げ増加を更新中の物流業界は、今まさに経済を牽引する存在へと変貌した。

 陸運業界の需要は年々増え続けており、年間の取り扱い件数は、2006年の10億件から13年には91.9億件へと増加。年平均37.3%増と、市場規模の拡大は世界で第2位である。また、11年3月以来、陸運業務の量は44カ月の累計が平均増加幅50%となっており、今年10月20日までに陸運業業界の企業累計配達量は100億件を突破した。

 末端として働く配達員の報酬も増加している。北京市のある配達員が明かしたところでは、彼らは一つの荷物を届けるごとに1元(約20円)、さらに荷物の運賃の10%が歩合として支給され、毎月の給与は5,000~6,000元(10~12万円)は確実だ。会社が食事と住居、電話代を負担してくれるし、忙しくて使う暇もないので、お金はよくたまるという。ただ、ショッピングシーズンなどの繁忙期には、毎日200個以上の荷物を配達し、朝8時から夜11時までのハードワーク。それでも、ほかの業界と比べても給与が高いだけに、無理な仕事量を押し付けられても、ひたすら耐えるという配達員が少なくないようだ。
(文=牧野源)

最終更新:2015/01/16 17:12
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