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官邸ドローン事件は“規制論の火種”か“法整備への追い風”か──世界各国の「ドローン事情」を探る

 また、韓国唯一の玩具用ドローンメーカー・バイロボット社のドローンも、人気がうなぎ上りのようだ。14年比500%の売り上げを目指しており、累計販売台数はすでに2万台を突破した。韓国でも廉価な中国産ドローンが販売されているが、国内市場の奪還は目前だという。もちろん、同社は海外にも販路を拡大。カナダやメキシコでもすでに販売開始されているそうで、米大手流通業者とも契約が間近だという。また、日本のバンダイグループとも、すでに独占契約を結んだと、現地メディアは報じている。4月26日には、サムスンライオンズとロッテジャイアンツのプロ野球中継にドローンが使用された。これは、韓国初の試みとなったが、トラブルもなく成功裏にミッションを終えたそうだ。世界に負けじと、商用利用の実績を着実に増やしている。

 日本のドローン産業関係者は、「ほかの国は安全性に難があっても、どんどん販路と市場を拡大していく」と、苦々しい表情で話していた。日本のドローンが世界で勝ち抜いていくためには、安全性を担保した技術力はもちろんだが、ビジネス的なスピード感が必要とされているようだ。

 そしてそれらドローンのあり方を決める法的枠組みがどう作られるかは、世論に左右されるだろう。国産ドローンの開発者として知られる千葉大学・野波健蔵教授は、以前SFのようなドローン構想を聞かせてくれたが、最後にこう指摘した。

「技術も大事でしょう。ただ、日本のドローン産業の未来を決める最も重要な要因は世論になる」

 まるで、今回の事態を予想していたかのような指摘だ。

 首相官邸を襲ったドローンは、規制論を強化する火種となるのだろうか。はたまた、法的整備の議論を助長させ、日本のドローン産業を後押しする追い風となるのだろうか。いずれにせよ、今回の事件を契機に、ドローンに関する議論をより真剣に進めていかなければならないだろう。望もうと望むまいと、すでに無人飛行機が空を飛びまわる時代に突入したのだ。
(取材・文=河鐘基)

最終更新:2015/08/27 12:12
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