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90年代の子どもカルチャーの変遷が一目瞭然!?『よみがえるケイブンシャの大百科 完結編』

9784900963696『よみがえるケイブンシャの大百科[完結編]』(いそっぷ社)

 みんなー! ケイブンシャの大百科の大百科だよー!

 君はどの大百科を読んだことある? ちなみに僕のファースト大百科は「超新星フラッシュマン大百科」。当時小学生だった僕は、敵の女幹部役の女優さんがにこやかに取材に応じるオフショットやら、少女漫画チックな漫画(いわゆる同人誌的なタッチ)に衝撃を受けたもんだ。「スーパーマリオブラザーズ1・2・3大百科」では、女性モデルさんがマリオのコスプレしてて、生まれて初めて「コスプレ」なるものを知ったのはこれまた大百科……。

 この後、僕はオタク道を驀進するようになったんだけど、間違いなくケイブンシャの大百科の影響だろう。

 そんな感じで、アラサー以上の世代にサブカルチャーの洗礼を与えまくったケイブンシャの大百科とは、今は亡き出版社・勁文社より1977年から2002年まで発行され続けていた文庫サイズの子ども向け豆事典シリーズである。通し番号は697番。改訂版などを含めれば、700種以上の大百科が世に産み落とされた定番シリーズであった。

 その内容は、特撮、アニメ、プラモデル、ゲーム、鉄道、釣り、スポーツなど子どもなら誰もが興味を持ちそうなホビー系から、オカルト、怪談、芸能ネタ、料理、クイズ、マナーまで実に多彩。

 ライター陣も、各ジャンルのマニアが集結。専門誌顔負けのコアな情報満載で、その充実した情報には大人のマニアのファンも多くついていたという。

 このケイブンシャの大百科の、昭和時代に発売されたラインナップを網羅した『よみがえるケイブンシャの大百科』(いそっぷ社)が上梓されたのが昨年のこと。それからおよそ1年のスパンを経て、平成時代に発売された大百科を集めた続編『よみがえるケイブンシャの大百科 完結編』(同)が、先日満を持して出版された。この2冊でケイブンシャの大百科の全タイトルが明らかとなった!

 それだけでも当時の読者は感涙ものだが、今回の『完結編』では別冊として出版された「ゴジラマガジン」編集者・野村宏平氏、数多くの大百科を制作した編集プロダクション・ワークハウスの元主宰者・山下幸雄氏などケイブンシャの大百科黄金期を盛り上げた人々へのインタビュー。さらに2000年代以降、ネット上で幻のトラウマ漫画として一世を風靡した「蝉を食べた少年」の作者への取材&漫画の再録も敢行するなど、大百科ファンにはたまらないラインナップが並ぶ。後にも先にも「ケイブンシャの大百科」をここまで丸裸にした書籍なんて、存在しないはずだ。

 そんな『完結編』最大の見どころは徐々に子ども向けホビーがテレビゲームとアニメに駆逐されていく姿であろう。90年代初頭までは、ゲーム、アニメ、特撮に混じって鉄道、野球、釣り、料理など幅広く題材を取り扱っていた大百科も、90年代半ばになるとほぼゲーム、アニメの(しかも、かつてのようなライターの遊び心あふれる内容ではなく、お行儀のいい公式感バリバリの!)ラインナップ一色となる。いかに当時、テレビゲームとアニメが強かったのか、ということがうかがえる。と同時に、バブル崩壊の影響か、それまでのように取材や撮影に予算が割けなくなったのでは……という台所事情も、当時の関係者へのインタビューからもうかがい知れる。その点、アニメやゲームは基本的に編集部内でゲームをプレーし、画面を撮影すればいいのだからかなりお手軽である。

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