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紗倉まな初の小説『最低。』は又吉の『火花』より文学的だ! 撮影、親バレ、引退後…AV女優のリアルを描く

sakuramana_01_160402.jpg紗倉まな公式ブログより

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】

 現役AV女優としては初の小説である紗倉まなの『最低。』(KADOKAWA)が話題だ。

 紗倉といえば、数々の連載や昨年出版した自伝エッセイ『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』(宝島社)で、その文才は高く評価されていたが、今作については、日刊SPA!のインタビューで「(エッセイは)明るい内容だったので、今回は業界のダークサイドを書きたかった」(日刊SPA!)と語っている。

 そこで、紗倉が体験したAV業界のダークな裏事情が赤裸々に暴露されているのか、と読んでみた。

 だが、読み進めているうちにそんなゲスい好奇心はどこかに消し飛んでしまった。とにかくうまい! そして深い! 読み終えた後、思わずこうつぶやいていた。

 これは、AV女優が書いた『火花』じゃないか!

 4人のAV女優をめぐる4つの短編からなる今作。業界暴露でもなければ、自分語りでもない。これまでメディア上で描かれてきた「AV女優」像、たとえば男にだまされたり搾取される被害者、セックス大好きの淫乱、裏返しとしてピュアで聖なる存在、あるいは過剰な承認欲求に突き動かされるメンヘラ女性……紗倉が描いたのは、そういう類型的なAV女優のよくある荒んだ設定の物語ではない。

 1章の「彩乃」。彩乃は、19歳でAV出演を決意した女性の物語。設定的には、18歳でAV女優となった紗倉自身にいちばん近い女性だが、たとえば、彩乃がAVの世界に身を投じ初めて挑んだ撮影は、こんなふうに描かれる。

〈彩乃の谷間に垂れた唾液が、光を跳ね返した。
 息つく間もなく、ゆっくりと後ろから男優のそそり立ったあれが入って来る。規則的な相手の振動に揺れ、彩乃は接合部をはずさないように、慎重に振り返った。レンズがそこにある。幾重にも重なるその構造に見入っていると、映り込んだ自分の目がこちらを、ぎょろり、と睨んでいた。あれ、わたし、こんなん、だっけ。口元を溶かすようにやわらげ、にこっと、映像向けの如才ない顔を作った。
 カメラの先に括りつけられた円盤形のタングステンライトが顔に近づくと、すこし熱を感じる。微かに開かれた(監督の)坂井の口元が、いいよ、と動いた。
「もっとアドリブでセリフを言っていいよ」
 数分前、坂井にそう耳打ちされたのだ。
 突き上げられ、下腹部に圧迫されたふくらみを感じて、あっ……と、彩乃はさらに声を荒立てる。だんだん急ぎはじめた男の波に、打ち付けられるように、揺れた〉

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