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藤子プロの突き上げが発端 ドラえもん最終話騒動の真相

 1990年代末にチェーンメールで全国に出回った都市伝説をコミック化した同人誌『ドラえもん最終話』。05年末頃から、インターネットや同人誌専門書店などを通じて1万3000部以上を販売。本家『ドラえもん』の出版元である小学館とトラブルになっていたが、ようやく和解が成立した。

「和解の条件などは明らかにされていませんが、作者の田嶋・T・安恵氏が著作権侵害を認めて小学館と藤子プロに謝罪。今後、同様のことをしない旨を書いた誓約書を提出し、不当に得た利益の一部を返還したとのことです」(社会部記者)


 5月29日付の朝日新聞をはじめ、今回の一件を報じた多くのメディアの論調は、田嶋氏がまるで「偽ブランド」や「海賊版」と同様の犯罪に手を染めたかのような扱いだったが、ここまで騒動を大きくしてしまったのは、小学館サイドの無知と、常に後手後手に回った、その対応のまずさにあったという。小学館関係者が耳打ちする。

「出版直後からネットなどではかなり話題になっていたにもかかわらず、会社の上層部が『ドラえもん最終話』の存在を知ったのは、昨年4月に、ある月刊誌から『こういうものが出回っているのだが、どう思いますか』という取材があったからでした。当時、現場のスタッフの中には当然知っている人もいたようですが、社内では特に問題視はされておらず、取材に対する回答も『話がこちらに上がってきた時点で、適切に対処することになると思う』と、まるで他人事だったと聞いています」

 そんな小学館サイドが態度を一変させたのは、くだんの月刊誌が発売になった直後のことである。最終話の中身をブログにそのまま転載していた管理者などに対して、掲載をやめるよう突如として、警告メールを送りつけたのだ。

「実情を知って驚いたというのもあるのでしょうが、記事を見た藤子プロサイドから『見過ごすわけにはいかない』という突き上げがあったといわれています。それで、会社としても動かざるを得なくなったわけですが、当初は肝心の田嶋氏の本名や連絡先などがわからず、ブログの管理者に警告メールを送りつける一方で、『もし田嶋氏の連絡先を知っていたら、教えてほしい』と、尋ねて回っていたようです」(同)

 小学館サイドが同人誌事情に疎かったのは疑うべくもないが、その後、なんとか田嶋氏の連絡先を割り出し、交渉の端緒を開いたのが昨年10月頃。田嶋氏に対して、『ドラえもん最終話』が著作権侵害に当たる旨を内容証明で通告。先方がそれを認めて文書で謝罪したことを受けて、当時2200部余り市場に流通していた在庫をすべて廃棄処分にさせたといわれていたのだが……。解決は近いとみられていながら、その時点から今回和解が成立するまでに、さらに半年以上もの時間を要したのは、いったいなぜだったのだろうか。

「難航したのは、賠償金の金額です。田嶋氏の申告によれば、出荷部数は1万5550部で、実売は1万3380部。単純に売り上げだけを見れば、700万円以上が懐に転がり込んだ計算になりますが、製造原価や廃棄処分にかかった費用などを差し引くと、利益はそれほど大きくはないと主張したようなのです。最終的には、200~300万円の間で落ち着いたと聞いていますが、当初会社側が要求していた金額と田嶋氏が支払えるという金額の隔たりがなかなか埋まらず、決着に手間取ってしまったと聞いています」(同)

 小学館は、今回、異例ともいえる厳しい措置を取った理由を、(1)絵柄や装丁がよく似ていて本物と間違える人がいる(2)作品の世界観を勝手に改変した(3)部数が同人誌の範囲を超えている、ためなどと説明しているが、前出記者のこんな笑えない証言もある。

「ある小学校の教諭から小学館に連絡があり、“とても感動したので道徳の授業で『ドラえもん』を使わせてもらえないか”というので詳しく話を聞いたら、なんと『ドラえもん最終話』のことだったという話もあるそうです」

 今回の措置には、ニセモノが本物以上の支持を得たことに対する嫉妬があったのでは……というのは、言い過ぎだろうか?(有栖川礼音/「サイゾー」8月号より)

最終更新:2008/06/06 15:45
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