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おしゃれan・an女がイタい!! “保守化”への逆行を徹底分析

20080221_anan.jpgかつては女性誌革命を起こした「an・an」
だが、今は……

 「an・an」(マガジンハウス)は、1970年に世界的ファッション誌「ELLE」の日本版として創刊。ファッションと旅行の2本立て企画で、まだまだ保守的だった女性たちに「(男がいなくても)おしゃれをして外に出かけよう」と提案した。翌年創刊した「non-no」(集英社)と共に「アンノン族」という流行を生んだほどのショックを世間に与え、創刊当時は黒川紀章や横尾忠則といった本物の文化人がメッセージを寄せるなど、最先端を行く媒体でもあった。


 「まだ当分結婚しないつもりの女の4つの楽しみ」や「20代で有名人になる方法」(共に87年)といった特集が誌面を飾り、恋愛企画でも「私好みの男(あなた)にしたい」(83年)と、あくまでもクールな視線を貫いた「an・an」は、読むだけでカッコ良かったのである。そんな固定観念だけが自縛霊のように残り、リアル読者との乖離も進み、気付くと同誌はユルいオピニオン誌に転落、販売部数も創刊直後の60万部から26万部にダウン(日本雑誌協会調べ)。読者にも「特集によっては買っている」「好きなタレントが表紙だと買う」「値段が手頃だから」と、コアな層は少ないようで、毎号買う熱心な顧客は美容院だけになってしまっている恐れも!? バックナンバーを調べると、01年頃からファッションに混じって「恋する遺伝子」「勝負する女」といった「自分磨き」系特集が目立つようになってきた。03年にはついに「男にウケる女」特集が。“愛されるためにはどうしたらいいか?”で全ページが構成されている「CanCam」の台頭とも、ちょうど符合する。

「行動する女」から「最大公約数の女」へ

 ただ、同じイタい女性誌でも、「CanCam」には全身全霊で「モテた~い!」と叫んでいる潔さ(?)があるのに、「an・an」は創刊39年のプライドが邪魔するせいか、「モテ肌」「モテメイク」などと、細切れにサインを出すだけなので、みみっちさも漂わせている。07年発行の50号のうち、なんと22号が「オンナの品格」などの自己啓発系企画で、9号が恋愛・結婚企画だったところを見ると、陰ではモテたくてモテたくてのたうち回っているようなのだが……。

 ダサさを醸し出すもうひとつの原因は、芸能人の濫用だろう。同じマガジンハウスから発行されていた“芸能人御用達メディア”の「平凡」が84年に廃刊し、その役割を引き継いだのがまさしく「an・an」だった。88年に小泉今日子という、サブカルチャーと超メジャーの橋渡しをする「おしゃれ文化系アイドル」が表紙に登場し、芸能化に拍車をかけた。そして、そのギョーカイ路線により、自分たちが作りたいものよりもマーケティング(と芸能プロからの売り込み)が優先されているようで、どんどん雑誌の色が消されていっているのだ。保守層にアピールすることで女性誌革命を起こした同誌が、皮肉にも超保守層に取り込まれつつある!?
(オカヂマカオリ/「サイゾー」3月号より)

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最終更新:2008/02/25 12:00
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