日刊サイゾー トップ > カルチャー  > “隠れ名優”柳ユーレイ流の「役づくりしない」演技論とは?

“隠れ名優”柳ユーレイ流の「役づくりしない」演技論とは?

20080311_yanagi.jpg

 ホラー映画界の誇る名優・柳ユーレイ。アクのないシンプルな演技は、こだわり派監督たちの世界観を体現するのにぴったりと評判だ。中田秀夫監督のデビュー作『女優霊』、清水崇監督による『呪怨』シリーズの第1作オリジナルビデオ版にそれぞれ主演。ハリウッドで活躍する両監督がブレイクする直前の作品に主演、という控えめな経歴も心をくすぐる。「俳優になる気はまったくなかった」という彼が映画デビューを果たしたのは、師匠・北野武監督の『3-4×10月』。突然の主演抜擢だった。

「たけし軍団で集団コントをずっとやってて、オレの役割は“落ち”へ持っていくための“筋振り”だったんです。筋振りは、余計なことはしちゃいけない。師匠の教えである『何もしない』を、映画の現場でも守ってるだけなんです。『3-4×10月』で主演と言われたときは驚いて、断りに行ったんですよ。そのときも師匠に『大丈夫。何もしなくていいから』と説得されたんです(笑)」

 今も役者の自覚がないと言うが、演じる仕事を続けていく上で転機となった作品に、神代辰巳監督の遺作『インモラル・淫らな関係』を挙げる。ビデオ作品ながら、これも彼の主演作だ。

「神代監督はすでに体調が悪くて、いつ倒れてもおかしくない状況だったんです。オレ、神代さんが大監督だと知らなくて、現場でケンカばかりしてました。でも、酸素ボンベ持って、鼻にチューブ挿してる神代さんの懸命な姿を見てたら、途中から改心して、後半からはできないなりに頑張ったんですけどね。完成直後に神代さんは亡くなって、オレ、すっごく後悔しました。それから、どんな仕事も手を抜かずにやろうと思うようになったんです」

 清水監督が参加したお笑いホラー『幽霊vs宇宙人』(2本立て)では、主演以上においしいキャラを演じている。

「清水監督は、ハリウッドに行っても全然変わらない人。全米興収で1位に2度もなったのに、こんなバカバカしい低予算映画を嬉々として撮ってるわけでしょ。好きですね、そういうの(笑)。オレもハリウッド映画、出られるものなら出てみたい。だって笑えるじゃないですか、ハリウッド大作に『柳ユーレイ』って名前がクレジットされたら」

 師匠同様、直弟子も一筋縄ではいかない人物だ。
(長野辰次/「サイゾー」4月号より)

『幽霊vs宇宙人』
清水崇&豊島圭介監督の自主製作から始まった、カルトな人気シリーズ第3弾。「ロックハンター伊右衛もん」と「略奪愛」の豪華2本立て。今回は本当に宇宙人と幽霊が対決する。
監督/清水崇、豊島圭介 出演/山中崇、宮下ともみ、柳ユーレイ/高橋和也、山本彩乃/ハリセンボンほか 3月8日より、シネセゾン渋谷にて上映中
URL:http://www.yureivsuchujin.com/main.html

柳ユーレイ
1963年、広島生まれ。83年にたけし軍団入り。存在感のなさで逆に注目される。90年『3-4×10月』で映画主演デビュー。北野監督作『HANA-BI』『監督・ばんざい!』などに出演。『リング』『リング2』『奇談』『水霊 ミズチ』『口裂け女』『怪談』など、数多くのホラー映画にも出演している。

【関連記事】 欧州で“世界のキタノ”くらい有名な“無名”日本人監督って?
【関連記事】 関係者も苦笑 創価学会とスタジオジブリの意外な接点!
【関連記事】 史上初! 中国人監督が、日本のタブー“靖国神社”を撮ったワケ
【関連記事】 ピンク映画にも高齢化の波? “老人の性”を描いた『たそがれ』

【お知らせ】 よろずや【才蔵】オープン! ~ヤバい本から“一癖アリ”のグッズまで~

最終更新:2008/03/17 14:35
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed