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「俺たちは“オリジナル”!」 前田日明×窪塚洋介(前編)

kubodukaakira.jpg写真/早船ケン

 前田日明と窪塚洋介。発しているニオイが同じである。すなわち“異分子”の香り。それぞれの世界で、圧倒的な存在感を放ち続けている2人が、「生きざま」や「人生の流儀」をめぐり、ひざを突き合わせて激論を交わす!

 ついに、格闘界と芸能界の“アウトサイダー”同士が初顔合わせ。対談開始時刻、2人が揃うと、室内にピリッとした緊張感が張りつめた。目つきが違う。身にまとうオーラが違う。両陣営が固唾を呑んで見守る中、60分1本勝負のゴングが、鳴り響く──。

前田 今、いくつなの?

窪塚 29歳です。

前田 そうか、俺のちょうど20歳下になるのか。

窪塚 俺らの世代からすると前田さんって、現役時代をガッツリ見ていたわけではなく、伝説的な「語られるレスラー」っていう存在ですね。

前田 俺は窪塚君のことをドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)や映画『凶気の桜』で見て、久々に、役者としてどう成長していくのか楽しみな子が出てきたな、と思っていたよ。

窪塚 ありがとうございます。

前田 今って大根役者が多いじゃない? どいつもこいつもワルといったら、凄んで睨んでわめき散らして暴力ふるって終わり、みたいな紋切り型の演技ばかり。でも本物のワルは違う。無言の圧力があるんだよ。それを窪塚君はしっかり演じようとしたところがあるよね。

窪塚 そう言っていただけると嬉しいです。

前田 ワルと言えば、俺は今、『THE OUTSIDER(ジ・アウトサイダー)』という大会を主催してて。

窪塚 どういう大会なんですか?

前田 全国の不良を集めた格闘技大会。7月19日にディファ有明で第2回大会が行われるんだけど、
俺自身の目論見としては、不良の中から力石徹や矢吹丈を探すつもりでやっている。でも参加する側からすれば「タイマン日本一選手権」だって(笑)。

窪塚 ヤバいっすね(笑)。

前田 でも、ワンパンチKO伝説を持つ与国秀行っていうステゴロ(素手の喧嘩)の達人がいるんだけど、彼なんか、ただの元不良じゃなくて、いろいろ真剣に日本という国を案じて、日本の未来について考えているみたいだね。「大和魂」について長い論文を書いて、「読んでください」と俺に提出してきたよ。

窪塚 実は俺も「大和魂」ってなんなのか、じっくり考えたことがあるんですよ。結論として思ったのは、「武」というより「和」なのかな、ということ。懐が深く、なんでも受け入れて、自分なりに消化して自分のカタチにしていく。清濁併せ呑む、みたいな。そういう精神が今こそ大事だと思っています。

前田 窪塚君には哲学があるよね。それに、本気でモノを言う。俺も似たところがあって、ゆえに異端児と呼ばれたりもするんだけど、俺から言わせりゃ「異端」じゃなくて、「オリジナル」なんだよ。

窪塚 間違いない! 同感ですよ。別に俺も、不良じゃないし、優良でもない。役者だけでもないし、歌手だけでもない。なったカタチが俺でいいや、と思ってて。周囲にどう呼ばれても構わないけど、俺は俺。オリジナル。俺が何かを言うと、面白がられるだけで終わりがちだけど、いつも本気で言ってるし、そうなってくれれば世の中良くなると思ってるんで。何も言わないことのほうが怖いですよ。

“一匹狼”は何もできないヤツ
変わらない仲間こそが大事

前田 そういう性格は、どこで培われたの?

窪塚 小学生のとき、ブルーハーツというパンクバンドに出会ったのが大きいですね。

前田 俺も聴いてたよ。

窪塚 ホントですか? ブルーハーツを聴いて、「あ、この人たち、絶対間違ってない!」って直感して。やがて同じ感覚、同じ覚悟のヤツらが集まるようになって。気づいたら今、不良の国体優勝者みたいなヤツらが周りに大勢いる、っていう状態になってるんですけど(笑)。でも、だからといって俺は不良ぶるわけじゃない。自分自身、そのまんまの生き方をしていれば、ハートでつながるんだと思いますね。

前田 オリジナルであるためには、感情を純化しないとダメなんだよね。俺の場合、相手に対する思いやりとして一時的に感情を偽ることはあっても、自分を綺麗に見せるために偽ることはない。だから周囲は、良くも悪くも緊張感を感じるようだし、逆にやすらぎを感じる人もいるみたいで、結構、仲間も集まってくる。よく前田は“一匹狼”と言われるけど、俺はそんなヘナチョコじゃないよ。一匹狼なんて、何もできないヤツのことだよ。せいぜい3匹の子豚の家を壊したりとか、赤ずきんちゃんを襲おうとして逆にやられちゃうとか、その程度のもん。俺は違うよ。

窪塚 そうですよね。

前田 「前田はいつも組織作っては壊してを繰り返してもったいない」とも言われるけど、作ったものよりも、一緒にやってきた人間の気持ちが一番大事だから。カネなんかどうだっていいんだよ。カネなんてもんはね、ゴミ溜めのゴミの底に埋まってるもんなんだから。

窪塚 そんなものに自分の気持ちを左右されたくない。カネの支配下になったら終わりだな、と思いますね。

前田 でも自分自身がそのつもりでも、いろんなヤツがカネの匂いを嗅ぎつけて、寄ってくるんだよ。で、こっちが活動を止めた途端に、「あれ、なんで誰もいなくなったの?」となったり(笑)。

窪塚 俺もマンションから落っこちたとき、それこそ落下してる最中にいなくなったんじゃないかっていう勢いで、浅い付き合いの連中がパーッといなくなった。でも変わらずにいてくれる人は、結局何も変わらないんですよ。
(岡林敬太・構成/後編へ続く「サイゾー」8月号より)

『卍LINE』

衝撃のファースト・アルバム!

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くぼづか・ようすけ
1979年、神奈川県生まれ。95年、ドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ)でデビュー。その後、『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)や『GO』『凶気の桜』など数多くのドラマ・映画に出演し、人気を不動のものにする。映画『まぼろしの邪馬台国』『ICHI』が今秋公開予定。俳優業と並行して、レゲエ・Dee-Jay「卍LINE」としても年間100本近いライブをこなし、6月にはデビューアルバムをリリースした。

まえだ・あきら
1959年、大阪府生まれ。77年、新日本プロレス入門。UWF旗揚げを経て、リングスを設立。今年、「不良」を対象とした格闘技大会「THE OUTSIDER」を立ち上げ、3月30日にディファ有明において第1回大会を開催。7月19日には第2回が開催される。斬新な発想力でプロレス・格闘技界をリードしている。リングス公式サイト

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最終更新:2008/08/04 21:10
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