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お笑い評論家・ラリー遠田が徹底分析!

『ザ・ドリームマッチ09』NON STYLE石田&オードリー若林が優勝した2つの理由

 8月9日、『ザ・ドリームマッチ09 真夏の若手芸人祭り!!』(TBS)が放送された。今回は、芸歴10年前後の生きのいい若手芸人(計22人)が集まり、この日限りの即席コンビを組んでネタを披露した。

 11組の中で最優秀コンビに選ばれたのは、石田明(NON STYLE)と若林正恭(オードリー)のペア。昨年のM-1優勝者と準優勝者のゴールデンコンビが、本格的な漫才で見事栄冠に輝いた。彼らの勝因はどこにあったのか。漫才の「ネタ」と「見せ方」の2つの側面から分析してみたい。


 まず、「ネタ」について。彼らはネタ作りにあたって、自分たちが世の人々からどう見られているのかということを意識していた。そして、「オードリーの若林は、春日と比べて地味」「NON STYLEは、M-1優勝したのにオードリーより売れてない」という世間のイメージを踏まえて、それらを積極的にネタに取り入れていった。自分たちの悪い印象を逆手に取って、見る者の心をつかむことに成功したのである。

 さらに、彼らは、それぞれが元のコンビで見せている一発ギャグやお決まりの掛け合いを、ネタの端々に挟んでいった。2人がちょっとした口論の後に仲直りして向き合って笑う。石田が自分の太ももを叩いてつっこむ。誰もが知っているお決まりの流れを随所に詰め込んだのは、それを待ち望んでいる観客の期待に応えたいという彼らのサービス精神の現れだろう。

 また、このネタは単純に漫才としての完成度も高い。ネタの枠組みとしては、バーベキューに行くことを題材にしながらも、その中で2人が仲良くなれるかどうかという一回り大きな物語も同時並行的に進んでいる。後半には一気にたたみかけて盛り上がりを作るくだりもあり、オチもきれいに決まっている。漫才のお手本のような見事なネタだった。

 石田と若林は、それぞれがコンビでネタ作りを担当している。そんな2人が手を組んだからこそ、ここまで隙のないネタが仕上がったのだろう。M-1で若手漫才師のトップに立った彼らは、漫才作家としても一流であることを証明した。

 次に、ネタの「見せ方」について。ボケ役の石田は、体全体を使って激しく動き回り、小さいボケを次々に繰り出していった。一方の若林は、観客に向かって話しかけるような独特のしゃべり方でネタを先導していった。動きとテンポの良さが売りのNON STYLEの漫才。言葉の切れ味と2人の関係性が売りのオードリーの漫才。それらが高いレベルで融合して互いの持ち味が引き出されていた。見た目がさほど派手ではない2人だが、漫才師としては突き抜けたセンスと独創性があることを見せつけたと言えるだろう。

 番組内で、石田とのネタ打ち合わせで盛り上がった若林は、「楽しい漫才ができそうだね」と笑顔を見せた。やっている側が楽しい漫才は、見ていても楽しい。M-1という舞台で真剣勝負を戦った2人の男がこの番組で提示したのは、「笑いは勝ち負けじゃない。自分たちが楽しめるかどうかだ」という、もうひとつの価値観だったのである。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)

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最終更新:2018/12/10 19:22
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