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大追跡!「ハロウィンのかぼちゃ」って、食べ物を粗末にしてません?

hallowin.jpgハロウィンのかぼちゃは、この世を彷徨う霊を歓迎したり、
悪霊から家族を守ったりする役割をもつ。

 秋の大型イベントとして今や日本でもお馴染みのハロウィン。キリスト教起源のアメリカ文化と思われがちだが、元は2,000年以上前のヨーロッパ先住民族・ケルト人による死者の霊を弔う神聖なる行事。古代ケルト暦の大晦日にあたる10月31日の夜に魔女が集まるという言い伝えが、北米大陸に伝わりアメリカ文化とミックスし、幽霊やモンスターに仮装するアメリカ人好みのファンキーなイベントに昇華。日本へはディズニーキャラクターなどのイメージとともに、さらに能天気にデフォルメされたかたちで伝播され、玩具メーカーやお菓子会社などの格好の販促キャンペーンに活用されていることは周知の通りだ。

 玩具・書籍の小売りチェーン「キディランド」では70年代後半からハロウィン・グッズに力を入れはじめ、83年には一般参加を呼びかけ表参道でパレードを企画。ところが当時の日本人はほとんどがハロウィンを知らなかったため、パレードの参加者約100人は大半が在日外国人だったようだ。キディランド社によれば「メディアが注目し始めたのはその2、3年後から」(同社広報)というから、ハロウィンが日本に浸透したのはここ20数年の話とみていいだろう。

 パレードは今年で27回目を迎え、『ハロウィン・パンプキン・パレード』として神宮エリアの恒例行事として定着している(今年は25日に実施された。関連サイト<http://www.harajuku-halloween.com/>

 ところで、ハロウィンと聞いて思い出すのは、あの黄色いかぼちゃのお化け。中身をくりぬいて顔を作り、内側から蝋燭を照らす魔法の提灯は、ハロウィンのシンボルとして欠かすことができない存在だ。毎年10月になれば、街の花屋さんの店頭などで巨大なかぼちゃが売られているのを目にすることもあるだろう。

 それにしても、ダチョウ倶楽部がおでんネタをするだけで「食べ物を粗末にするな!」と局に苦情電話がかかってくるこのご時世。年に一度のお祭りとはいえ、かぼちゃでおもちゃを作るなんて、どっかの良識派(?)団体が非難声明を出したりしないのだろうか。そもそもあのかぼちゃはどういうルートで花屋さんへ?

 実はこれらは通称「おもちゃカボチャ」と呼ばれ、毎年計画的に生産されている観賞用農産物なのである。「おもちゃカボチャ」の代表的産地の一つである静岡県の遠州夢咲農業共同組合(JA遠州夢咲)では、在来種の小玉果や変形果から選び抜いた20数種類を、肥料を全く与えずに栽培。7月末に収穫を終え、今年も例年並みの約1万個を出荷した。

「あくまで観賞用。食用ではありません。黄色いかぼちゃはハロウィンのディスプレイとして人気ですし、赤や緑、小粒なものはフラワーアレンジメントや大手花屋さんのイベント等に需要があります。比較的安定した数のご注文を頂戴しています」(広報部)

 そもそも、JA遠州夢咲の管内である静岡県掛川市や菊川市は、もともとが「夢咲かぼちゃ」のブランドで全国展開をしているかぼちゃの名産地。同JAでは目玉となる特産品を模索する中で、20年ほど前から地元の婦人メンバーのアイデアにより始められ、ハロウィンの国内浸透と並行するかのように需要を拡大。今に定着した。

 ところでこのかぼちゃ、食べられるの?

「た、食べたことないですね(笑)。一応は農作物ですが肥料も与えていませんし、おいしくするための手間も一切かけていません。お腹を壊すようなことはないけどお勧めはしません」(同生産販売部)とのこと。

 さらに生産農家のご婦人にお話を伺うと、「たまに聞かれますけど、食べられないとお答えしてます(笑)。種は種苗業者から仕入れますけど、観賞用の種類として売買されてるものですので。実際、固くてとても食べられませんですねぇ」と、お忙しいところ笑顔で優しく教えてくれた。

 つまり、”彼ら”はハロウィンの飾りになるためにこの世に生まれてきた非食用かぼちゃなのだ。従って「食べ物を粗末に…」という心配は全く無用。心おきなく中身をくりぬき、素敵なお化けに仕立て上げて月末のハロウィンに華々しくデビューさせてほしい。
(文=浮島さとし)

ハロウィン 07HW 笑うかぼちゃ スティッチ

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最終更新:2009/10/30 11:00
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