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『秘密結社 鷹の爪THE MOVIE3』フロッグマン監督インタビュー

夢やぶれて、夢を叶えた逆転人生! 予算表示に込めた”蛙男”の想いとは?(後編)

■前編はこちら

──後半は作品内容についてもお聞きしたいと思います。今回は熊そっくりな容姿をしたレオナルド博士と幼なじみであるジュリエット(声:川村ゆきえ)とのラブストーリーでもあるわけですが、2人の告白シーンは意外にもキュンと来ます(笑)。”鷹の爪団”が感動のあまり”もらいゲロ”してしまうというギャグ落ちにしていますが、あれは一種の”照れ隠し”でしょうか?

フロッグマン そうですね、照れ隠しも入っていると思います(笑)。まぁ、感動的なシーンを作ってしまうと、最後にオチを加えないと、次のシーンに展開できないという理由からでもあるんですけどね。でも、ボク自身は”泣き”のシーンは嫌いじゃなくて、むしろ好きなんです(笑)。実写映画の駆け出しスタッフだった頃に、プロデューサーから「山本周五郎の時代小説を読んだことはあるか? 日本映画を作るつもりなら、山本周五郎ぐらい読んでおけ」と言われたことがあるんです。それ以来、『さぶ』などの小説を繰り返し読むようになったんです。人間の心の機微は、どの時代、どの国に行っても普遍的なもの。恋人同士だったり、親子関係だったり、主従関係だったり……。そんな人間関係をドラマチックに描ければ、派手なCGやVFXにこだわる必要はないと思うんです。それをね、心の機微も分からずに映像に凝っていると、●●●●監督みたいになってしまう。

──古墳ギャル・コフィーの生みの親らしい毒舌ですね(笑)。●●●●監督の実名を出してもいいですか?

フロッグマン いやいや、実名は困ります(苦笑)。その点、友情参加してくださった山崎貴監督はVFXはあくまでも脇役であり、人間を主人公として描くバランス感覚のとれた監督です。でも、正直言って、山崎監督の予算の見積もり額を見たときはびっくりしました。山崎監督が描いてくれた”博士の動く城”が登場するのは後半の正味1分程度なんですが、『鷹の爪』の全予算のかなりの部分を占めています。それでも、随分と友情プライスにしてくれたそうなんですが(苦笑)。

takanotsume_sub01.jpg『鷹の爪THE MOVIE3』では、天才科学者レオナルド
博士の隠された素性が明かされる。博士の過去を知る
女性・ジュリエット(声:川村ゆきえ)との純愛ストーリー
は、観る者の胸を締め付ける(マジで)。
(c)「秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3」製作委員会

──声優初挑戦となるアイドル女優・川村ゆきえの起用は、監督の個人的な趣味からですか?

フロッグマン ぶっちゃけ、マスコミ対策だったんです。グラビアアイドルとして人気のゆっきーを起用すれば、マスコミが取り上げてくれるだろうと。かなり割り切ったキャスティングだったんです。それで、アフレコの時間も最初は2時間しか予定していなかったんですが、ゆっきーのマネージャーから「せめて5時間は欲しい」と言われ、「え、5時間も。半日潰れちゃうよ」と内心思いました。当日ゆっきー本人から「声優は初めてなので、リハからやりたい」と言われ、さらにジュリエットはどんなキャラなのか取材されたんです。すごくストイックな姿勢でアフレコに臨んでくれた。プロの声優じゃないので、未熟な部分はあるけど、ジュリエットの心情を理解した上でのアフレコだったので、気持ちが入っていましたね。シリーズ第3弾になって、ボクもどこか真剣に取り組む姿勢を忘れかけていた部分があった。ゆっきーに学ばせてもらったなと思います。

──48歳で歌手デビューを果たしたスーザン・ボイルが歌う『夢やぶれて』が主題歌というのも話題です。

フロッグマン 最初はソニーミュージックからの提案で、You Tubeで有名になった変なオバサンが主題歌やってくれたら笑えるよなくらいなノリだったんです。でも、よく考えてみると、彼女の生きる姿勢と”鷹の爪団”の世間に笑われながらも「地球に優しい世界征服」を目指す姿はシンクロするものがあった。夏ごろソニーから主題歌の件を打診してもらったんですが、急激に売れ出してなかなか返事がもらえなかった。10月~12月はテレビシリーズの製作があったので、9月中に劇場版は完成させておきたかったけど、彼女からの返事を待っていたので、テレビシリーズと並行してエンディングシーンを修正したんです。大変でしたが、彼女からの返事を待ってお釣りが返ってくる出来になったと思います。忙しいから、諦めてしまうのか、それともギリギリまで粘るのか。限られた予算とスケジュールの中で、どこに勝負どころを置くかを見極めることは重要だなと改めて思いました。スーザン・ボイルには感謝しています。あれ、サイゾーらしからぬ、ちょっとイイ話になっちゃいましたね(笑)。もっと下世話な話題のほうがよかった?

──下世話な質問OKでしたら、島根時代の年収を教えてください!

フロッグマン えぇと、ボクが年収60万円程度で、妻が年収100万円。2人合わせて年収160万円でした(苦笑)。映画監督として5本も劇場公開できたこともうれしいんですが、それ以上に年末年始を無事に過ごすことができるようになったことが何よりもよかった。島根時代は正月を迎える僅かなお金さえありませんでしたからね。カミさんと2人で「よかった。新年を迎えられるね」と抱き合って泣いているんですよ(笑)。

 * * *

「お金と時間は大切に」というフロッグマン監督からの身に染みる金言。いや~、フロッグマン監督の”鷹の爪”ならぬ”爪の垢”をお裾分けいただきたいものである。
(取材・文=長野辰次)

●ふろっぐまん
1971年東京都生まれ。「蛙男商会」の代表を務める映像クリエイター。映画、TVドラマの製作現場を経験後、結婚を機に2002年に島根県に移住。2004年、wed上で配信した自主製作アニメ『菅井君と家族石』が話題となり、2006年から深夜番組『ザ・フロッグマン・ショー』(テレビ朝日系)内で『秘密結社 鷹の爪』を放映。2007年に9カ月間におよぶロングラン公開された初監督作『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE 総統は二度死ぬ』は、ニューヨーク国際インディペンデント映画祭アニメーション部門最優秀作品賞と監督賞をダブル受賞。2008年に6カ月間にわたってロングラン公開した劇場版第2弾『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE2 私の愛した黒烏龍茶』はサブタイトルのネーミングライツが話題となった。その他の監督作に『菅井君と家族石THE MOVIE』(08)、『ピューと吹く!ジャガー いま、吹きにゆきます』(09)がある。現在、実写映画の企画も密かに検討中。

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●『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 http://鷹の爪.jpは永遠に』
監督・脚本・キャラクターデザイン・録音・Flash・編集・声の出演/フロッグマン 友情監督/山崎貴(白組) ゲスト声優/川村ゆきえ、板東英二、もう中学生、堂真理子(テレビ朝日アナウンサー) 主題歌/スーザン・ボイル 配給/DEL 1月16日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国TOHOシネマズ系にて公開
http://鷹の爪.jp

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最終更新:2010/01/18 01:24
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