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元左翼革命家・宇賀神寿一インタビュー(後編)

「戦いはいまでも続いている」 爆破テロ犯が振り返る、左翼運動とその思想

ugajin_kouhen.jpg宇賀神さんの著書『ぼくの翻身』(模索舎)。

前編はこちら

 1970年代に東アジア反日武装戦線のメンバーとして、社会を震撼させた「連続企業爆破事件」に関わっていた宇賀神寿一氏。指名手配から7年間にわたる潜伏後、82年に逮捕。90年に懲役18年を言い渡され、03年に刑務所を出所するまで21年間の獄中生活を送った。その後の「救援連絡センター」メンバーとしての活躍は前編の通り。後編では、その「事件」に至るまでの経緯をうかがった。

 高校時代から左翼運動に関わり始めた宇賀神氏。在日コリアン問題や下層労働者の問題に取り組み、「東アジア反日武装戦線」に参加。このグループには死刑判決を受けた大道寺将司 、益永利明や無期懲役判決を受けて服役中の黒川芳正、現在も逃亡中の桐島聡らが参加していた。

 三菱重工や三井物産、大成建設などの大企業を標的にした連続企業爆破事件では、宇賀神氏は鹿島建設と間組の爆破事件に関与していた。はたして、その事件の裏にはどんな思想があったのだろうか?

――「連続企業爆破事件」では、鹿島建設と間組の件に関わっていますが簡単に概要を説明していただけますか?

「僕らは建設会社を標的としていました。鹿島建設が戦時中に起こした花岡事件を問題視したのがきっかけです。鹿島建設では戦時中、秋田県の花岡鉱山に中国人を強制連行し、過酷な労働により、虐待・殺害しました。敗戦後、建設会社は中国人に賠償するのではなく、逆に自分たちが 国から損害賠償をもらい、戦後は国内の下層労働者を搾取して金儲けをしていたんです。それに対してストップをかけ、企業の責任を追及するために闘いました」

――しかし、「爆破テロ」という方法以外には考えられなかったのでしょうか?

「いまから考えれば別の方法もあったと思います。当時は『武装闘争』というのが盛んに叫ばれていたんです。当時、僕らが使える武器は爆弾くらいでした。だから、爆弾を使用した武装闘争に流れてしまったんです」

――連続企業爆破テロは74年〜75年にかけての犯行でした。あさま山荘事件が72年ですから、左翼運動は勢いを弱めていた時期ですよね。

「あさま山荘でのリンチ殺人が発覚して、左翼全体が元気をなくし、武装闘争も下火になりかけていました。しかし、一方ではパレスチナなどで日本赤軍が『テルアビブ空港乱射事件』などを起こしていたんです。それがあさま山荘事件に対するアンチとしての戦い方ではないかと思ったんです」

――企業に対して爆破テロをすることによって社会全体を変えようと思っていたんでしょうか?

「社会を変えるというよりは、悪いことをしてきた企業の責任を追及することが第一でした。企業活動を阻むことで、そういった悪事を止めようと思っていたんです。だから、左翼革命によって革命社会を実現するという目的ではなかったんです」

――いま振り返って、宇賀神さんにとって左翼運動とは何だったと思いますか?

「僕自身のきっかけはベトナム反戦でした。いま、ベトナムで殺されかけている人間がいて、自分はどのような行動をするのかというのが問題だったんです。それで、デモや活動に入っていきました。だからはじめから左翼思想によって動いていたという訳ではありませんし、いまでも自分が左翼だったかどうかは分かりませんね」

――宇賀神さんにとって重要なことは、企業爆破テロと同じように「理想の左翼社会を実現する」ということではなく、「今目の前にある問題を解決したい」ということですよね

「運動のきっかけはヒューマニズムだったんです。社会や企業の不正に対して怒りを感じ、社会を変えようという思いが生まれます。だから左翼を意識しすぎると、その根本となる『何を変えるか』『なぜ変えるのか』という動機が分からなくなってしまうんです」

――事件を起こしてから30年以上の時間が経ちましたが、変化はありましたか?

「現代にも企業悪はありますよね。ただ、当時は戦争が終わってからそんなに経っていないということもあり、花岡事件に対する思いも強かったんです。最近、鹿島が花岡事件の企業責任を一部認めていましたが、今でも日雇いや野宿労働者に対する排除や虐待は増えているし、昔より良くなったというわけではないでしょう」

――現在、宇賀神さんの闘争心は何に対して向けられているんでしょうか?

「抑圧であったり、他人が困っているという状況に対して反抗しています。救援連絡センターの活動も同じで、権力からの抑圧状況に対して反抗しているんです」

――戦いは続いているんですね。

「『戦い』という言葉は恥ずかしいけどね(笑)。現状をなんとか良い方向に変えたいとはいまでも思っています。身近な例で言えば、電車の中に妊婦がいても老人がいても席を譲ろうともしない人が多いですよね。人と人との関係が断ちきられてしまって、一人一人バラバラになっちゃっている。だから、できなくなっちゃったんです」

――70年代風に言えば『席譲り闘争』ですね(笑)。

「小さいけれどもそこからですよね。今は、人間関係を再構築して繋がり合うということを考えているんです」

――最後に若い人に対してメッセージをお願いします。

「現状を変えたいと思ったら行動に移さなきゃなりません。現代では行動に移すということをしないですよね。自分より弱い相手に対して、暴力を振るったりするのではなく、国家権力など、強者に向かっていかないとダメだと思います。抑圧状況に対してしっかり反抗していかなきゃならないんです」
(取材・文=萩原雄太[カモメマシーン])

●うがじん・ひさいち
1952年、東京都出身。東アジア反日武装戦線「さそり」班の元メンバーとして連続企業爆破事件に関与し逮捕される。出所後は人権団体「救援連絡センター」の事務局員として活動。

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最終更新:2010/11/10 21:00

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