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原発内の過酷な作業映像もついに公開

「メルトダウン? 英語に訳せばそうなりますか」国民をナメきった東電副社長の答弁

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 去る12日に東京電力(以下、東電)がようやく認めた福島第一原発1号機でのメルトダウン(炉心溶融)。冷却水から露出した燃料棒が溶け落ち、圧力容器を破損させて漏れ出していた事実が明らかになった。さらに東電では、「2、3号機でも同様のリスクがある」とその可能性を認めている。

 東電はこれまで、格納器ごと水に浸す「冠水」で冷温停止を図る作業を進めてきたが、格納容器の破損で水がためられない以上、冠水の実施は困難。実際、これまで1号機に注ぎ続けてきた約1万トンの水のうち約1割が外部に漏れ出したと見られており、うち約300トンの水がこのほど1号機建屋の地下から見つかっている。計画の大幅な見直しを迫られた東電は、17日の定例会見で工程表の改訂版の発表を余儀なくされた。新工程表によると、冠水に代わる圧力容器の冷却方法として、原子炉建屋にたまった汚染水を除染処理、塩分処理して原子炉に戻して冷却を図る「循環注水冷却」(図参照)を採用。そのための設備を早ければ6月までに構築すると説明した。

todenhaihushiryou0519s.jpg↑クリックすると拡大します

 東電が事故収束へ向けたロードマップとなる工程を初めて発表したのは約1カ月前。「収束へ向けて最も重要なのは原子炉を冷却すること」(武藤栄原子力・立地本部長=東電副社長)と東電が自ら強調するように、原子炉冷却は工程の根幹。その最重要工程が、わずか1カ月で修正されたことになる。また、溶けた燃料棒や汚染水が漏れ出た破損部分はいまだ特定できておらず、「循環注水冷却」があくまで応急措置に過ぎないことは明らかだ。

 なにより、3月11日の地震発生から「ない」と言い続けてきたメルトダウンの事実が明らかになりながら、会見で淡々と説明を続ける東電関係者に、出席した記者たちのいら立ちは募った。説明に当たった武藤本部長、松本純一本部長代理は、共に慎重に言葉を選びながら「炉心溶融」「メルトダウン」という表現を一度も使おうとしない。

 さらに、配布された資料にも「炉心溶融」の文字はどこにも見当たらない。気付けば、4月に発表された工程表に設けられていたはずの「現状」の欄が削除されている。そこにはこれまで、福島第一原発の「現状」として、「燃料の一部損傷」の文字が記されていた。本来なら今回のメルトダウン発覚により、この欄は「炉心溶融」と改められるべきはずである。その欄が消されている。発言からも資料からも、メルトダウン的な表現を排除した対策本部の意図的な姿勢がうかがい知れる。

 当然ながら、記者団からの質問は「メルトダウンをどう認識しているのか」に集中した。

――メルトダウンはないと言い続けながらあったわけだが、これをどう考えるか。

「どうであれ、我々のやるべき対策は同じだと思っています。とにかく炉を冷やすこと。それに変わりはないわけで、これからも続けるということです」(武藤本部長)

――メルトダウンの事実はお認めになるのですね。

「私は英語が苦手なのであくまで日本語で炉心溶融という表現をしていますが、まぁ、翻訳すればそういうことになるのかもしれませんが」(同本部長)

――ご自身の認識が甘かったとは思われませんか。

「そうは思っておりません。我々は当初から、とにかく炉を冷やすことを最優先に考えてきた。それはこれまでも、これからも変わらないわけでして……」(同本部長)

 まさに答弁は堂々めぐり。武藤本部長は表情を変えずに淡々と答え続ける。ある全国紙の記者は、「まだこういう態度でくるかね」とあきれたようにつぶやいた。

 ちなみに東電は、2、3号機のメルトダウンについては、「(1号機と)同様のリスクはある」としながらも、データが不十分であるとしていまだに事実として認めていない。事ここに至っても、その場しのぎのごまかしを改めようとしていないのだ。

 「避難されている方々のご帰宅の実現および、国民の皆様が安心して生活していただけるように全力で取り組む所存です」(武藤本部長の冒頭のあいさつより)との言葉がむなしく響く。国民の安心に向けて本気で取り組むならば、まずは正確な情報の公開と現状の認識が求められるだろう。もはや東電にその場しのぎをしている時間は一秒も残されていない。

■東京電力が福島第一原発の最新映像を公開

 福島第一原子力発電所の対応に追われている東京電力は17日、今月6日に撮影したとされる同原発の最新映像を報道陣に公開した。

 約13分の映像には、水素爆発で窓ガラスや什器などがめちゃくちゃに破壊された事務所の内部や、津波に流されて横転している職員らの乗用車などが映されているほか、放射性物質の漏洩を防ぐためにクローラーダンプと呼ばれる特殊車両で飛散防止剤を散布する作業、無人重機による放射線値が高いがれきの撤去など、過酷な作業の様子なども収められている。

 また、作業員が寝泊まりをしている「免震重要棟」では、建物内部に放射線が入り込まないように作業員が注意深く出入りしている様子や、物資をバケツリレーで運び込む様子なども見ることができる。

 福島第一原子力発電所の1号機では、3月12日には全燃料が溶融して圧力容器下部に落下するメルトダウン(全炉心溶融)を起こしていたことが分かっており、地震発生時から「炉心溶融はない」と言い続けてきた東京電力は、事故収束へ向けて工程の大幅な見直しを余儀なくされるなど厳しい対応を迫られている。
(文=浮島さとし)

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