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【元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第111回】

池田大作重病説は本当だった!? 元・看護師が明かす厳戒病室

motoki1024.jpg「週刊文春」10月27日号 中吊り広告より

第1位
「モノクログラビア 誕生日は、3月11日」(「週刊文春」10月27日号)

第2位
「池田大作『創価学会』名誉会長『厳戒病室』本当の病状」(「週刊文春」10月27日号)

第3位
「ミステリー作家黒川博行『怒りの独占手記』週刊現代デッチ上げで『かい人21面相』にされた私」(「週刊文春」10月27日号)

 1週間の中国旅行から帰った金曜日の夜、家人に買っておいてもらった週刊誌を読む。面白い。新聞はiPadでチェックしていた。週刊誌は雑誌の中吊りアプリでタイトルは見てはいたが、内容を読めない欲求不満がたまっていたから貪るように読んだ。

 厚生労働省が突然、年金部会に提示した「年金開始年齢を68~70歳で検討している。65歳に引き上げの前倒しもある」という理不尽な案に、当然ながら各誌が怒っている。だが、幾分不満なのは、ではどうすればいいのかという具体策について頷けるものはなかった。

 「フライデー」の「宮崎あおい、夫・高岡蒼甫とついに別居!」は、宮崎が二人の愛の巣を出て東京都下のマンションで暮らし、すでに二人の仲は破局していることを丹念な取材で明らかにしている。

 「週刊新潮」が東京都世田谷区の住宅街で発生した高い放射線量騒動を取り上げている。結果、放置された夜光塗料に使われていたラジウム226だったが「年間30ミリシーベルトを50年浴びた『女性』はガンになったか!」と、92歳の女性もその家族もガンでなくなった人はいないと、放射能にビクビクしている読者に、そう心配しなくていいのだといっている。

 22日土曜日の夜、お茶の水の山の上ホテルで行きつけのバーの「5周年を祝う」会があった。そこで話題になっていたのが、3位に上げた黒川博行の手記である。

 「週刊現代」でノンフィクション・ライターの岩瀬達哉が、時効になったグリコ森永事件を取材して連載した「スクープ直撃!あなたが『21面相』だ」の中で、仮名だが犯人と断定されたと怒っている。

 前の週の「週刊朝日」が黒川の「現代」告発を取り上げているが、こちらはより詳しく伝えている。

 事件当時、黒川はデビュー作が脅迫状の文面や身代金の受け渡し方法が酷似していたことで、兵庫県警に事情聴取されているが、その時点で疑いは晴れているとしている。岩瀬と編集者に3回取材されたが、「あなたが真犯人ではないのか」という質問はなかったという。

 岩瀬が黒川を真犯人だと疑う根拠は、犯人とされる人間との身長と年齢が合致、犯行に使用された車と似た車に乗っていた、容易に青酸ソーダを入手できた、脅迫テープに言語障害を持つ子どもの声が録音されているが、黒川の妹の息子にも言語障害がある、犯行現場に土地勘がある、などである。

 だが黒川は、妹に言語障害の息子はいない、土地勘はない、青酸ソーダを入手できるメッキ工場は親族が経営しているが、事件当時はプレス工場だったと3点は間違いだと主張している。

 取材の際のやりとりのおかしさから、黒川が真犯人だという思いこみが前提にあったとも指摘している。

 当然のことながら、岩瀬と「現代」に対して抗議したが誠意ある回答はないと憤る。今回「文春」も岩瀬と「現代」に取材しているが、コメントはない。

 私は岩瀬を知っているが、地道に取材をするライターである。年金問題を暴いたことでも有名で、彼が単なる思いこみで書くとは思いにくいのだが。

 「朝日」は今号でも、犯人らがグリコ社長拉致に使用した車について、岩瀬の重大な事実誤認があると批判している。「週刊ポスト」も、かつて犯人のキツネ目の男に酷似しいているといわれた作家の宮崎学を、この件でインタビューしている。宮崎は連載も読んでいないし、コメントのしようがないとつれないが。

 仮名で書いたのだからという言い逃れはできない。「現代」と岩瀬側はどんな反論をするのかと期待して「現代」を読んでみたが、おいおい、一行も触れていないではないか。

 2年前になるが、「新潮」で朝日新聞襲撃犯の手記を掲載し、それがまったくのウソだったことが朝日新聞や他誌の指摘で明らかになり、ついには告白した当人が「文春」などで、手記は「新潮」に強制されたと告白して、「新潮」は大失態を演じた。

 そのこともあって「新潮」だけではなく、他の週刊誌も売上げが減少し、存亡の危機に立たされたことを思い出す。

 その後、「現代」は鈴木章一編集長が「団塊向け週刊誌」という原点帰りをして部数を少しずつ戻し、東日本大震災や島田紳助スキャンダルで勢いをつけ、ナンバー1の「文春」に迫ろうかという時期に起きた大トラブルである。

 岩瀬も「現代」編集部も、黒川の批判にきちっと答える義務がある。小沢一郎のカネの問題で説明責任を果たせと追及してきた「現代」が、この問題に説明責任を果たさなければ、小沢追及とはいったい何だったのかを問われるのは間違いない。次号でやらなければ時機を逸し、また週刊誌への不信が高まり、「新潮」の二の舞になる。岩瀬と鈴木「現代」編集長が記者会見を開いて、説明すべきだと思うが。

 さて、池田大作創価学会名誉会長といえば、日本を牛耳るドンのナンバー1といってもいい人物である。その池田名誉会長が昨年5月中旬以降、公の場に姿を見せていないことから重病説もささやかれてきた。

 83歳だから、失礼だが病気で伏せっていてもおかしくはないが、なにせ大組織・創価学会を率いる人だから、万が一のことがあれば、組織や公明党まで、大きな影響を及ぼす。

 「文春」は、その池田名誉会長の病状を間近で見たというAさんから話を聞いている。これが今週の2位。

 Aさんは東京信濃町にある創価学会の医療関連施設「南元センター」で看護師として勤務していたという。数カ月にわたり看護をしてきたAさんは、池田名誉会長の病状をこう語っている。

「先生の病気は、脳梗塞です。梗塞は2カ所にあり、もともと糖尿病という持病をお持ちなので、合併症を誘発する恐れもあります。自力で歩くことはできず、移動は車椅子でした」

 聞き取りづらい部分はあったが、入院当初は会話はできていたという。しかし東日本大震災以降、他人を認識できないこともあり、咀嚼が困難になり、食事をきちんと摂れなくなったため、誤嚥性肺炎の恐れから1日3回、経管注入で栄養剤を入れているという。

 なぜ彼女は神のように崇めていた人の病状を明らかにしたのか。

「(中略)幹部の方々は、心配する我々学会員に対して『先生は元気です』とアピールするばかりです。しかし、それは学会員を欺き、池田先生を冒涜しているのと同じではないでしょうか。末端の学会員にも先生の現状をお知らせして、先生のために大勤行会を開いた方がいいと思うのです」

 私が読んだ印象では、この告白の信ぴょう性はかなり高いと思う。どちらにしても池田名誉会長の体調ははかばかしくなく、近い将来、後継者問題が表面化してくることは間違いない。次期リーダーに誰がなったとしても、彼ほどのカリスマ性を持ったリーダーにはなり得ないから、この大宗教団体の今後は波乱含みであろう。

 東日本大震災の傷跡はまだそこかしこに残り、復旧、復興はかけ声ばかりで、政治も役人も心底から被災者のことを思ったいるのか疑問に思えてならない。

 しかし、どんなに被害を受けようとも、新しい命が生まれ、育っていくことを、この「文春」のグラビア特集は気付かせてくれる。

 ここには3月11日に被災地で誕生した11の新しい命が載っている。春晴(はるせ)、瑞萌(みづき)、輝道(てるみち)、陽生(はるき)など、被災した親の思いがこもっている名前が多い。

 春晴ちゃんは「早朝、石巻の病院で生まれる。(中略)交通手段もなく、家族が全員で顔を合わすことができたのは、4月6日。『春晴という名のように、よく晴れた日で、一生忘れられないと思います』と父・健司さん」

 輝道ちゃんは、母親が初乳をあげようとしていたとき地震に襲われた。母親はとっさに輝道ちゃんにおおいかぶさると、その上から助産婦もおおいかぶさってくれたという。

 陽生ちゃんは地震の直後に生まれた。母親は福島県の病院の陣痛室でその時を迎えた。看護婦の誘導で、寒い中大きなお腹を抱えて病院の駐車場に移動し、彼女の父親の車のシートを倒して布団を敷き、そこで産んだ。

 お湯は出なかったから沐浴はできず、出生時刻を忘れないようにと、生まれたばかりの陽生ちゃんの足にマジックで書いたという。

 虎ちゃんが生まれたのは地震から40分後。仙台市内の病院の受付の奥にある簡易ベットだった。生まれたはいいが余震が続く。へその緒を切るはさみやタオルがなく、看護師が探してくれた。書くものがなかったので、生まれた時刻はその場にいたみんなで覚えた。父親は虎ちゃんが息をしていないことに気付く。看護師が管を見つけてきてくれて、虎ちゃんののどに入れ、吸引して泣き声が戻る。その後、外へ出ると、避難していた人たちが「良かったね」と拍手をしてくれたという。

 凛ちゃんの母親は青森市内の病院の分娩室にいるときに震災が起き、停電になった。「部屋が暗くなっていくので、早く産まなくちゃと焦った」と母親は話している。その夜は懐中電灯一つで過ごした。「人の痛みが分かる優しい子に育ってほしいと」と父親が言っている。

 「天から遣わされた」ような命がすくすくと育っていってほしいと思う。切った張ったばかりではなく、こうした目線が読む側をほのぼのと温かくしてくれる。これが今週のグランプリである。
(文=元木昌彦)

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

池田大作名言100選

沁みるっ!!

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最終更新:2013/09/10 19:05
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