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「デモ」に関する誤解を払拭! ド素人でも分かる手引書『デモいこ!』

demoiko.jpg『デモいこ! 声をあげれば世界が
変わる街を歩けば社会が見える』
(河出書房新社)

 昨年3月の東日本大震災と、それに伴う東京電力福島第一原発事故によって、さまざまな社会的な現象が引き起こされている。そのひとつが、いわゆる「デモ」の増加だ。震災以降、原発の安全性を疑い、原発依存からの脱却や原発停止を訴えるデモが、従来の活動家だけでなく一般市民の間からも起こり、10カ月近く経った現在でもその動きは続いている。

 しかしその一方で、「デモ」というものに対して多くの人々が根本的な誤解をしている場合が少なくない。たとえば、デモという行為を「違法なもので、参加しただけで逮捕されることがある」とか「労働組合や左翼の活動家がやる政治的な運動」などと思い込んでいるケースだ。さらには、ジャーナリストなどと自ら名乗りながら、「火炎瓶が飛び交って権力サイドの建物が炎に包まれないとサマにならない」とか「本気さがないガス抜きのお祭りパレード」などと、まったくトンチンカンなことを言い出す者まで出てくる始末だ。

 だが、デモは違法なものではまったくない。社会的に認められた正当な行為であり、デモを主催したり参加しただけで警察に拘束されたり、逮捕されたりすることなどない。また、労組や活動家の政治的な道具でもない。いわば、手紙を書いたり音楽を演奏したりすることと同じ、表現活動のひとつなのである。

 そうした誤解だらけの状況の中、デモについての手引書が話題を呼んでいる。昨年末に河出書房新社から刊行されたばかりの『デモいこ! 声をあげれば世界が変わる 街を歩けば社会が見える』がそれである。著者のTwitNoNukes (ツイットノーニュークス)は、震災後にTwitterを介して組織された脱原発デモを実行する有志。ほとんどのメンバーが、震災以前はデモなどまったく縁がなかった「ド素人」だった。

 同書は「デモとは何か」を簡潔かつ分かりやすく解説、実際にデモを実行する際の手順がていねいに説明されている。また、デモの歴史的概要や、実際のデモ参加者の感想やデモ主催者へのインタビューなども合わせて収録されている。コンパクトな冊子だが、充実した内容となっている。
 
 同書の執筆者の一人である松沢呉一氏は、「デモのことを知らない人があまりに多いことに大きなショックを感じた」という。

「デモに対して『無許可であんなことをしていいのか』と言う人がたくさんいることに驚いた。我々の世代なら、デモの際には警察に届け出るというのは当たり前のこと。それが、いつの間にか誤解だらけになってしまった」(松沢氏)

 同書の内容は、ごく当たり前のことばかりだが、だからこそ重要な情報を提供してくれる。実際、インターネットの普及によって昔に比べて情報収集手段が格段に飛躍した現在でも、デモを主催実行する際の手順をまとめたものはどこにもなかったわけである。

 「デモをしよう」という呼びかけは、いわば「詩や俳句を書こう」とか、「みんなでラジオドラマや自主映画を作ろう」と同じ表現活動であるということを教えてくれる1冊だ。
(文=橋本玉泉)

デモいこ!

行こう!

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最終更新:2013/09/09 20:16
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