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週刊アニメ時評 第12回

「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ

 キャラクターの会話、一挙手一投足に注目し、画面に映るあらゆるオブジェクトに注意をめぐらしながら、作品と向き合ってほしい、というスタッフの意気込みを感じるようだ。そんな作品に込められた志を惜しげもなく晒したのが第1話であった。

 ただのモブキャラのように描かれる用務員の描写が、まさか事件の鍵となるとは。原作小説をすでに読んでいた視聴者も、あまりにもさりげない伏線の張り方に驚いたことだろう。これが従来のアニメなら用務員の動きを強調して描いたり、主人公たちが最初から気にするようなそぶりを見せるなど、もっとわかりやすい伏線の張り方をしていただろう。しかし、本作はあえてそのような、手とり足とり視聴者を甘やかすようなことはしない。我々にも、登場人物と同じように少しだけ頭を捻って物語に参加してみては、と語りかけているかのようだ。

 確かにハードルは高く、ストイックで地味だが、それゆえに深みのある物語が展開されるのだ。そんなわけで、アニメ『氷菓』をあまり楽しめなかった視聴者は、ここで一つ頭を切り替えて、登場人物と一緒に頭を捻って事件解決に向き合ってみてはいかがだろうか。受け身ではなく、積極的に作品に参加することで、今まで気づかなかった『氷菓』の魅力に気づくかもしれない。
(文=龍崎珠樹)

最終更新:2012/10/11 13:48
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