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「地獄のような生活……」高速バス死傷事故があぶり出した中国残留孤児問題の今

「10代の若者ならともかく、帰国者の多くは40代や50代の人ばかり。1年程度では、言葉や文化を習得するのは困難です。その結果、仕事にあぶれ、社会の枠組みからはみ出してしまう。生活保護をもらっている人も、とても多いのが現状です」(同)

 NPO法人「中国帰国者・日中友好の会」は、そんな彼らに対して、いつでも日本語や日本文化を学べるようにという目的で08年に設立された。現在、会員数は300人程度。国からの援助は受けておらず、運営に必要な経費は、餃子の販売や、支援者からの寄付で賄っている。
 
「02年に裁判を起こして、ようやく07年に、中国帰国者に対する国民年金の支給が認められました。月6万6,000円。このお金が支給されることによって、中国帰国者はとても暮らしやすくなったんです」(同)

■20年間の努力が一瞬で消えた

 この裁判を通じて、池田氏は河野容疑者の両親とも旧知の仲となった。

「彼の両親は、帰国してからとにかく頑張る人でした。裁判に向けた会合の際も、面倒だからといって顔を出さなくなってしまう人が多い中、休むことなく顔を出してくれていたんです。事故が起こった後に電話をしたんですが、両親とも苦しみのあまり倒れてしまっていた。『自分たちが悪いので何も言えない』そう繰り返していましたね。河野さん一家は、日本に来て、昼夜を問わず死に物狂いで働いて、ようやく今の生活を手に入れたのに、今回の事故ですべてパーになってしまった。私たちも、いまだになんと声をかけたらいいのかわかりません」

 20年間にわたる努力は、長時間労働のもたらした一瞬の気の緩みによって、台無しになってしまった。だからといって、この事故を起こした責任を擁護することはできないが、その裏で積み重ねられてきた苦しみや努力の大きさに思いをはせると、どこかやるせなさが募る。

 いったい、残留孤児やその家族たちに対してなされるべき支援とはなんだろうか?

「残留孤児として取り残された人々は、貧しい家に引き取られた人が多く、半分くらいの人が子どもの頃に教育すら受けられませんでした。数カ月から1年間という短い期間だけではなく、仕事をしながら日本語の学習を続けられるようにしてほしいですね」(同)

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