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渋谷のギャルが記した天真爛漫な“韓国獄中記”『韓国女子刑務所ギャル日記』

 街で出会ってしまったら、すかさず道を譲りたくなるような存在感にあふれるヤマンバギャル。ここ数年は、その数もやや少なくなっているものの、実はその人気はヨーロッパをはじめとする海外に飛び火しており、世界を侵食し始めているという。

 今や、世界を股にかけるギャル文化の中心で「アゲアゲ」な日常を送っていたヤマンバギャルが、ある日突然韓国の警察に捕まってしまい、3年間を刑務所で過ごすこととなった……。そんな顛末を記したちょっと変わった獄中記が『韓国女子刑務所ギャル日記』(辰巳出版)だ。

 本書を執筆したあきは、渋谷を中心に活動するギャル・サークルの元リーダー。ダイエットに勤しみ、マンガ喫茶に通い詰め、キャバクラ嬢として夜の世界で大活躍と、自由気ままに青春を謳歌していた。そんな彼女の生活が一変するのは20歳の時。知り合いから紹介された「マレーシアで何日か遊んで、荷物を持って帰ってくるだけで30万円」という怪しいアルバイトを引き受けてしまったのだ。

 関西国際空港にて覚せい剤密輸容疑で逮捕された女子大生が記憶に新しいが、当然、そんなおいしいバイトが無事に終わるはずもない。マレーシアで受け取ったスーツケースを手に指示された韓国へ向かうと、入国審査でストップがかけられる。スーツケースをこじ開けられると、二重底になっていたそこには大量の覚せい剤が……。異国の地で、彼女は身に覚えのない覚せい剤密輸の現行犯で逮捕されてしまった。

 その日から、彼女の長い3年間は始まる。

 だが、自分の犯した罪を深く反省したり、あるいは塀の中という独特の世界で自分を省みたり……という獄中記にありがちな展開をみせることがないのが、この本のユニークなところ。同じ外国人部屋に収監された日本人受刑者の上から目線に腹を立て、同房の中国人の班長を「デブ」「むかつく」と罵る。塀の中でもマイペースを貫き、いつものようにダイエットを続ける彼女。タバコも酒も携帯も取り上げられ、生活スタイルは変われども「自分らしく生きる」という揺るがない信念には呆れを通り越してただ敬服するばかりだ。

 もちろん、3年の間に彼女の中にも少しずつ変化は芽生える。WBというニックネームの受刑者と友情を育み、日本にいる両親に対しても「迷惑をかけた」と反省し、感謝の気持ちを思い出す。「一番じゃなきゃ嫌だ」という性格の彼女は、3年間の努力の末についに部屋の班長に指名された。受刑者たちから中国語や韓国語を学び獄中で記していた日記も韓国語や中国語で書くことができるようになり、日本に帰国した現在も中国語の勉強を続けており、通訳になるのが彼女の夢だ。

 韓国女子刑務所の内情や、そこで考えた男や金に対するギャルの心情など、気になる部分もリアルに綴られている本書。獄中で執筆された日記の原文や、手書き文字によって当時を振り返った現在の気持ちが書きこまれており、さまざまなレイヤーから、彼女の刑務所体験を知ることができるだろう。

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