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我が家に“食人族”がやって来た! 奇才ジャック・ケッチャムの異形世界『ザ・ウーマン』

the_woman01.jpg食人族最後の生き残り“その女”が、弁護士一家が暮らす一軒家にやってきた。
法律やモラルにとらわれない世界一自由な女だ。

 おいらはブライアン。14歳になるクソガキさ。エッチなことに興味津々な年ごろってわけ。父親のクリスは弁護士をやってるゲス野郎。外では善人づらしてるけど、権威主義の塊みたいな大人だ。母親のベルと高校生の姉ペグは、いつも父親の顔色ばかり見ている。少しでも父親の機嫌をそこねると、すぐに鉄拳が飛んでくるからね。母親と姉に言わせると、おいらはそんなオヤジと性格がそっくりらしい。学校じゃ目立たない存在だけど、クラスの女の子にこっそり悪戯をしているときだけ無性にワクワクするから、確かにそーかもしんない。まぁ、いいやそんなことはどーでも。それよりも我が家は最近、チョー盛り上がり中。オヤジは趣味でときどき猟銃を持って森へ出掛けるんだけど、この間の獲物はすごかったよ! なんせ、森で暮らしてた裸族の女を連れて帰ってきたんだぜ。全身からウンコをシチュー鍋で煮詰めたようなすげー臭いがプンプンして、鼻が曲がるかと思ったよ。それでオヤジは地下室にその女を鎖で吊るして、家族みんなを、幼い妹のダーリンも集めてこう言ったんだ。「みんなで責任を持って、この女性を飼育しよう」って。しかも、オヤジはちょっと油断した瞬間に中指を食いちぎられたんだ。どーやら、その女は食人族らしい。もうサイコー! 放課後は同級生となんか遊んでいられないよ。なんたって我が家の地下室では、食人族の女がお腹を空かせて待っているんだからね!

 こんな狂ったストーリーを書き上げたのは、スティーヴン・キングが絶賛する米国のカルト作家ジャック・ケッチャム。彼の最新作『ザ・ウーマン』が映画化され、日本でも劇場公開される。文明から離れて暮らす野生の女が現代に生きていたという設定自体が奇天烈だが、さらにその女は食人族の最後の生き残りという異常さ。ザ・カニバリズム。しかも、主人公である弁護士一家は、彼女を捕獲して地下室で飼い馴らそうとするアブノーマルな香り。藤子・F・不二雄先生もびっくりな、実写ホラー版『ジャングル黒べえ』の世界ですよ!

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