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【逆襲のスター列伝】第1話「壇蜜~遅く咲く花~」

 かくして、22歳がやったら単なる「若気の至り」と言われたかもしれないエロ事を、壇蜜は「生き様」に昇華させた。自分の中にある、拭い去れないエロスを彼女に投影させて共感するアラサー女性も、今後は増えていくだろう。実際、彼女がフルヌードを披露している青春SM映画『私の奴隷になりなさい』は、女性の観客の姿も目立った。

 しかしながら、人の心に咲く花は、育ちやすく枯れやすい。短期間で上り詰めた有名人の賞味期限が短いことは、歴史が証明してしまっている。彼女が当初まとっていたある種の神秘性は急速に剥がれつつあり、トークのエロネタも一巡した感がある。今後、期待されるキャラに応えようと過剰に振る舞えば振る舞うほど、彼女が咲かせたい花とは別の何かになっていく危険をはらんでいる。壇上でパンツを脱いで客席に投げたりしていると、あっという間に岡本夏生的なポジションへとシフトしていくことになるだろう。本人はそれも本望なのかもしれないけれど。

 それでも、近年では吉木りさしか成功しなかった死屍累々のグラビア界を活性化させた彼女の功績が大きいことに変わりはない。建前として、セックスどころか恋愛をも否定されたグループアイドルがメディアを覆い尽くす中、壇蜜は強烈なコントラストで浮き上がった。我々は、少なくともメディアは、心の何処かで壇蜜の登場を待っていたのだ。

「置かれたところで咲くことが私の使命。今はタブーといわれるものに挑戦したり、みなさんにハァハァしてもらうことが、自分がきれいに咲くという一番の術だと思っている」

 報われなかったグラビアアイドルたちの抜け殻が無数に転がる荒野で狂い咲く夜の花。人はそれを「壇蜜」と呼ぶ。
(文=真実一郎<http://blog.livedoor.jp/insighter/>)

最終更新:2013/01/07 14:58
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