日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 著者がリアルにもくろむ「旧・大宮市の独立」『消滅した国々 第二次世界大戦以降崩壊した183カ国』
こんなに多くの国が消滅していたなんて!

著者がリアルにもくろむ「旧・大宮市の独立」『消滅した国々 第二次世界大戦以降崩壊した183カ国』

■自分だけ生き残った、ひんしゅくものの権力者たち

 さて、滅亡した183カ国の中は、平和裏に滅んでいったものは少ない。そういった国の王様や大統領は、いったいどうなってしまうのか? ここも、吉田氏が消滅した国々に、興味を引かれたポイントだ。だいたいは、処刑されたり無惨な最後を遂げたかと思いきや、のうのうと生き残っている人がけっこう多いのだ。中には、国の最後と運命を共にした人もいるだろうし、権力者だけが生き残るなんて、ひんしゅくものではないか。

 その最も顕著な事例が、1967年から3年あまりの間に存在したビアフラ共和国のオジュク大統領だ。ナイジェリアの東部州だったビアフラは、同国の有力な産油地帯。住民は、黒人のキリスト教徒のイボ族主体で、自分たちの土地から湧き出る石油の利益が、民族も異なり宗教もイスラム教主体の他州の人々に吸い上げられているとして、民族紛争の末に独立を目指したもの。独立をめぐるビアフラ戦争で、内陸部に押し込まれたビアフラ側は200万人あまりの餓死者を出し、一時はビアフラ=飢餓のイメージは広く浸透していた。

 最終的に、首都に攻め込まれ亡命したオジュク大統領は1984年に赦されて帰国すると、一転しナイジェリアの支持者に! 2003年には大統領選にも出馬したが、得票率わずか3%で落選したのだとか。

 どうも、彼の中では「今のナイジェリアは当時とは違う、いい国」とつじつまが合っているらしいが……200万人も餓死させておいて虫のいい話である。

 ほかにも、王様が若いアメリカ娘を嫁にしてハァハァしていたら、国民に見限られてインドに併合されたシッキムなどが本書には登場する。権力者は、スチャラカ過ぎて興味を引かれる人ばかりである。

123
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

山崎製パンで特大スキャンダル

今週の注目記事・1「『売上1兆円超』『山崎製パ...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真