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こんなに多くの国が消滅していたなんて!

著者がリアルにもくろむ「旧・大宮市の独立」『消滅した国々 第二次世界大戦以降崩壊した183カ国』

■著者がもくろむ、消滅した自治体の復活

 しかし、本の内容以上に興味深いのは、著者の吉田一郎氏自身。吉田氏は「大宮の自治と独立」を主張する、さいたま市議なのである。本の内容も興味深いが、この主張も興味深い。いったい、吉田氏の目指すものは、なんなのか?

「さいたま市誕生のための合併は、平成の合併による政令指定都市誕生のモデルケースとして、国主導の住民不在で行われたものです。当初は、さいたま新都心に首都機能が移転するという触れ込みだったのですが、実際にはごくわずかな機関が移転したにとどまりました」

 吉田氏によれば、いまや旧大宮市の扱いは、前述のビアフラ共和国のような状態だという。

「旧大宮市、浦和市、与野市は表向き対等合併しましたが、実際には行政機能が集中している浦和市に有利となっています。大宮市の税収はおろか、図書館の本まで浦和市に奪われてしまっているのです。市議会でも市に対して合併して、どういった利点があったか質問したこともありますが、市の職員すら満足に答えることができないのが現状なんです」

 いったん誕生した市から再び独立することなんて、雲をつかむような話に聞こえるが、吉田氏は本気だ。そもそも、市会議員に当選するだけの支持があるわけだから、旧大宮市民からの期待も大きい。でも実際に、いきなり分離独立することが困難なことは、吉田氏も認めるところ。まずは、財源や権限を分割する自治から、手をつけることを構想している。

 消滅した自治体を復活させようと、リアルに企む吉田氏。そこからは、本書が単なる雑学本でないという意志が伝わってくる。
(取材・文=昼間たかし)

最終更新:2013/01/14 18:00
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